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■ ウッディエンス メールマガジン 2011/03/31 No. 019
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■ 木材の科学は日進月歩! 日本木材学会から最新の情報をお届けします ■
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発行 日本木材学会広報委員会 ■
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日本木材学会広報委員会委員長 林知行
http://koho.cocolog-nifty.com/blog/
■■ 広報委員会からのお知らせ ■■
お見舞い
3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震により被災された皆様には、心よりお見
舞い申し上げます。またその他の地域にお住まいの皆さまも、 様々なご心労やご負
担を抱えておられるものと思われます。一日も早い復興をお祈り申し上げます。
本号では、2010年度日本木材学会賞,同奨励賞,同地域学術振興賞、同技術賞,
同論文賞を受賞された方々の受賞の声を掲載する予定でしたが、木材学会大会で授
賞式が中止されたため、掲載を次号(20号)に延期することとしました。
御了解頂くようお願いいたします。
なお、授賞式は6月25日の総会時に行われる予定です。
■本号の目次■
・本号では、再生エネルギー全量買取制度に関する繊維板工業会からの情報提供、
政策対応特別委員会の取り組み、ウェブ版『木力検定』の案内を掲載します。
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◆『木材資源−マテリアル利用かエネルギー利用か? 』
涌田 良一(日本繊維板工業会)
3月11日、東北地方太平洋沖地震が起こった。事務所(東京中央区)にいて、
建物が壊れるかと思うほど揺れた。ロッカーが倒れそうになり、鉄筋コンクリート
の柱がギシギシ鳴る状況で、生命の危険を感じた。その後TVを見ると東北地方の
とんでもない状況に唖然とするばかりであった。
日本繊維板工業会は木質ボード(インシュレーションボード、ハードボード、MDF、パーティクル
ボード)を製造するメーカの集まりである。この業界は、目下原料問題に直面してい
る。即ち、原料となるチップ(木質バイオマスとして最も一般的な利用形態)がバイオ
マス発電用ボイラー燃料として、多量に燃やされ、木質ボード原料と競合している。
統計的に見ると、マテリアル利用している設備能力(紙・パルプ設備を除く)
は、2006から2009年と、大きな変化は無い。それに引き替えエネルギー利用してい
る設備能力は、2006年から増加し、2009年に1.9倍となった。パーティクルボードのチップ
価格は、2003年を1とした時、2007年から上昇し2009年に2.7倍となった。これは、
エネルギー利用設備能力の推移と一致する。
今後、木質材料のマテリアル利用とエネルギー利用の状況はどうなるのであろう
か。現在、「再生エネルギー全量買取制度」が検討されている。その中、再生可能
エネルギー発電システムにバイオマス発電が入った。全量買取制度は、通常の価格
より高い価格で電力を買取り、消費者(電気の使用者)に高く販売するという。こ
の差額は、消費者に付けを廻す事になる。この仕組みでは、エネルギー業界は使用
原材料を高く買うことが出来、木質ボード業界、製紙業界等は高い原材料を買わね
ばならない。一方は高い価格に守られ、他方は市場原理で原材料を調達しなければ
ならない。不公平が生じる事になる。詳細は、「電気事業者による再生可能エネル
ギー電気の調達に関する特別措置法案について」(3月11日公表)をご覧下さい。
http://www.meti.go.jp/press/20110311003/20110311003.html
この法案は6月の通常国会通過を予定していた。そこへ大地震である。原発問題
が浮上した。日本のエネルギー政策が変更されるかも知れない。その際、木材資源
はどうなるのであろうか。ただ、HWP(炭素固定)の観点からマテリアル利用優先
の政策が続かなければ、日本は地球環境に反する国とのそしりを免れない。
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◆『政策対応特別委員会の設置目的について』」
日本木材学会政策対応特別委員会
2020年までに木材自給率を50%以上(国産材需要を4000〜5000m3に増加)とする
ことを骨子とした『森林・林業再生プラン』が公表され、推進本部長(農林水産大
臣)のもとに、「基本政策検討委員会」をはじめ、「国産材の加工・流通・利用」
など検討委員会において具体的な施策が検討されている。
また、『公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律』では、国が率先
して木材利用に取り組むとともに、地方公共団体や民間事業者にも国の方針に即し
て主体的な取組を促し、住宅など一般建築物への波及効果を含め、木材全体の需要
を拡大することが規定されている。
さらに、最近の各党の公約・マニフェスト(民主党政権政策マニフェスト、民主
党住宅ビジョン、自民党政策バンク、公明党のマニフェスト'09など)においても、
共通して、木材利用、国産材、木造住宅の振興に関する記述が多く見られるため、
今後も、木材利用拡大政策は継続されると考えられる。
このような森林・林業・木材に関連した社会的な急速な動きに対応し、木材の科
学についてわが国を代表する学会である(社)日本木材学会は、社会的な負託に応え
るためにも、また、学会と学会員のポテンシャルの向上のためにも、政策対応の特
別委員会を立ち上げ行動計画を提案することにした。
◇学会大会において発表されたポスターは下記のリンクからご覧ください。
http://www.jwrs.org/woodience/mm019/seisaku.pdf
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◆『ウェブ版『木力検定』のご案内』
井上雅文(東京大学アジア生物資源環境研究センター)
昨年来、森林・林業再生プランや公共建築物における木材利用促進法など、木材
利用を取り巻く状況は著しく変化しようとしています。地球環境貢献(=京都議定
書貢献)を目的に、国が率先して木材需要拡大と木材自給率向上を目指した動きを
活発化させています。
木材需要拡大を推進するとき、“最終的に「木材」を選択するのは消費者である”
ことを忘れてはいけません。そのためにも、木材利用に関して、消費者の理解の醸
成とともに、消費者と木材をつなぐ役割を担う工務店などの営業担当者の知識向上
が重要な課題となります。
そこで、木材に関する正しい知識を楽しみながら習得して戴くことを目的に、ウェ
ブ版『木力検定』を立ち上げました。400問程度の問題から分野ごとにそれぞれ20問
を自動選択して出題する初級(木ムリエ)と中級検定(ウッドコンシェルジュ)を
公開しています。所定問以上の正答を合格とし、合格証書がプリントアウトできま
す。また、回答後には各問の解説を読むことによって知識を広げていただけるよう
工夫しています。一般の消費者には自己学習に、木材産業界には社内教育や営業ツ
ールとしてご活用いただければと願っています。加えて、本ウェブ検定によって蓄
積されるデータは、消費者や業界担当者の知識レベルを継続的に把握するためのツ
ールとして、今後の木材関連の人材育成や広報に資することが期待できると考えて
います。
『木力検定』は、現在、有志によって構成した木力検定委員会が運営しており、
問題の量と質の向上に努めていますが、完成度はまだまだ低い状況です。木材学会
会員の皆さまにも、是非お試しいただき、問題や解説に対するご意見を戴きたく、
さらには新規問題をご提案いただければと願っています。ご意見等は、井上雅文ま
でよろしくお願いいたします。
同時に、消費者の志向性を起点に木材の使い方を提案することを試みた『木ここ
ち心理テスト』も開発しました。近日、ウェブ公開を予定していますので、お試し
いただければ幸いです。
ウェブ版『木力検定』
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■日本木材学会の刊行する学術雑誌はインターネットで読むことが出来ます。最新の
学術情報をぜひご覧ください。
◎和文誌:木材学会誌 電子ジャーナル版
http://www.jstage.jst.go.jp/browse/jwrs/-char/ja/
◎欧文誌: Journal of Wood Science 電子ジャーナル版
http://www.springerlink.com/content/1611-4663/
━━━━<広 告>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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なお、広告は日本木材学会の賛助会員からのみ受け付けます。
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