ウッディエンス・メールマガジン


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■ ウッディエンス メールマガジン          2008/03/14  No. 007   
■                                    
■  木材の科学は日進月歩! 日本木材学会から最新の情報をお届けします  ■
                                     ■
                      発行 日本木材学会広報委員会 ■
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                      日本木材学会広報委員会長 林知行
                                             現在試行中:広報委員長のブログ
                                 http://koho.cocolog-nifty.com/blog/
■本号の目次■
・会員の研究紹介
◆『スギ心持ち柱材の過熱水蒸気による熱処理及び乾燥方法
       ―割れのない乾燥を目指して― 』
                 森林総合研究所 木材加工研究領域 小林功

◆『選択的白色腐朽菌を用いた木質バイオマスのエネルギー・化学資源化』
                      京都大学生存圏研究所 渡辺隆司

・木材学会大会のプレスリリース

■会員の研究紹介コーナー■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 日本木材学会の研究分科会という組織ではいくつかの共通の研究対象に興味をもつ
会員相互の情報交換や新たな成果を発表するなど、さまざまな活動が行われています。
このコーナーでは、それぞれの研究会から興味深い研究をされている方を順番に紹介
しています。
 今回は《木材と水研究会》から推薦された小林功氏と《バイオマス変換研究会》か
ら推薦された渡辺隆司氏の研究をご紹介します。
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◆『スギ心持ち柱材の過熱水蒸気による熱処理及び乾燥方法
       ―割れのない乾燥を目指して― 』
                 森林総合研究所 木材加工研究領域 小林功
 丸太を使ってログハウス調に仕立てた喫茶店、とくに新しくたてたばかりの頃に入
ったことはありませんか? 喫茶店のなかは冷暖房が完備していますから、暖かくて
も涼しくてもたいてい湿度は低くなっています。よく乾燥された丸太が使われている
場合は問題ありませんが、乾燥が不十分な丸太が使われていると、ときおり「ピシッ
」という音が聞こえることがあります。最近ではこのようなことはまずなくなりまし
たが、20年ほど前でしょうか、まだ筆者が学生だった頃、一度だけですがお目にか
かったことがあります。当時、まだ木材乾燥の知識を十分に持ち合わせていなかった
筆者はかなり驚いたことを覚えています。
 木材の乾燥が進むと収縮し始めます。全体が均等に収縮していけば、ただ丸太が小
さくなるだけですが、木材は均一には縮みません。年輪に沿った方向(円周方向)は
半径方向より大きく縮むのです。このため、収縮が進んでいくと円周方向に短くなり
すぎてしまい、板であれば反りますし、年輪の中心を持つ「心持ち材」であればV字
型の割れが発生します。そして、このような割れは木材の表面に縦の割れとなって現
れるので「表面割れ」と呼ばれ、市場では嫌われます。割れないように乾燥すればい
いのですが、木材が本来持っている性質ですから、非常に難しいのです。ところが近
年、100℃以上の高温条件で熱処理することによって、心持ち材が割れなく乾燥でき
ることがわかってきました。過熱水蒸気処理はこの熱処理法の一つとして開発が進め
られてきました。
 まだ未完成な部分が多いのですが、これまでに行った開発の内容と今後の展望につ
いて、ご紹介したいと思います。

 
◇この続きは下記のリンクからご覧ください。
 http://www.jwrs.org/woodience/mm007/kobayashi.pdf 

◇問い合わせ先:森林総合研究所 木材加工研究領域
                      小林功 TEL 029-829-8306 

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◆ 『選択的白色腐朽菌を用いた木質バイオマスのエネルギー・化学資源化』
                      京都大学生存圏研究所 渡辺隆司
 IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第3次評価報告書では、大気中の二酸化
炭素濃度が2002年の374ppmから2100年には540-970ppmまで増加し、それに伴い平均
気温が1.4〜5.8℃上昇すると予測している。この予測の振れ幅は、非化石燃料の使
用比率に大きく依存している。第4次評価報告書第1 作業部会報告書政策決定者向け
要約では、地球温暖化の原因を人為的活動による温室効果ガスの増加によるとほぼ
断定している。一方、米国のブッシュ大統領による2006年1月31日の声明のように、
米国では原油の生産と輸入量の減少による輸送用燃料の不足が現実問題となってお
り、バイオマスからエタノールや化学品を体系的に生産するバイオリファイナリー
が国家政策として推進されている。特に、非食糧資源であり、量的に豊富なリグノ
セルロースからのエタノールや化学品の生産が強力に推進されている。リグノセル
ロース系バイオマスから酵素糖化・発酵により有用ケミカルスを生産するためには、
植物細胞壁を固めるリグニンによる多糖の被覆を破壊し、酵素や微生物が細胞壁多
糖にアクセスできる状態に変換しなければならない。こうしたことから、リグニン
分解能をもつ白色腐朽菌のバイオマス変換への利用が注目を集めている。中でも、
セルロースを残してリグニンを高選択的に分解する選択的白色腐朽菌は、セルロー
スとリグニンを同時分解する非選択的白色腐朽菌と比べ、バイオマス変換における
有用性が高い。我々は、リグニンを高選択的に分解する選択的白色腐朽菌の木材腐
朽機構の解析とそれを利用した木質バイオマスからのメタン、エタノール、家畜飼
料生産プロセスなどへの応用を研究している。

 ◇この続きは下記のリンクからご覧ください。
 http://www.jwrs.org/woodience/mm007/watanabe.pdf
  
 ◇問い合わせ先:京都大学生存圏研究所 バイオマス変換分野 
                         渡辺隆司 TEL 0774-38-3640 / FAX 0774-38-3681
                                            twatanab@rish.kyoto-u.ac.jp 
                       URL: http://www.rish.kyoto-u.ac.jp/W/LBC/index.html 

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■関連行事情報■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  この欄では木材科学に関するシンポジウム等の情報をご紹介します。
  その他の木材学会の行事予定は http://www.jwrs.org/events/event.html で
  ご覧ください。
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◎   第58回日本木材学会つくば大会
 日 時: 2008年3月17日(月)〜19日(水)
 会 場: つくば国際会議場(エポカルつくば) (茨城県つくば市竹園2-20-3)
 日 程:
日時 	 午前 	    午後        	              夕方
3月17日(月) ポスター発表 学会賞授賞式 公開シンポジウム 	懇親会
3月18日(火)口頭発表       口頭発表             	若手の会
3月19日(水)口頭発表 クロージングセレモニー	研究会会合等 	

 
 懇親会のアトラクション: がまの油売りの口上
  
 お問い合わせ先: お問い合わせは電子メールでお願いします。
              wood2008@jwrs.org (総務 秦野恭典)

 詳細は以下のリンクから
  http://www.jwrs.org/wood2008/

以下の文書はプレスリリース用原稿です。

第58回日本木材学会年次大会(つくば) 主催 日本木材学会 
期日 2008年3月17日(月)〜19日(水) 会場 つくば国際会議場(エポカルつくば)
茨城県つくば市竹園2-20-3 交通 つくばエクスプレス つくば駅から徒歩10分
HP http://www.jwrs.org/wood2008/
参加登録料 12,000円(非会員、要旨集CD代込)、一部無料企画あり
バイオマテリアル利用やバイオエネルギー生産など、広範な木材利用の科学と技術の
成果を社会に広くアピールします。口頭発表297件、ポスター発表256件があります。

主な発表(企画講演)は次の通り。
A.組織構造・培養 3月18日午前〜19日午前 第9会場 (小会議室406)
A18-0900 出土木材の樹種識別からみた縄文時代の木材利用 (森林総研)○能城修一

E.乾燥 3月18日午後〜19日午前 第7会場 (小会議室304)
E18-1500 高温乾燥の研究,今と昔 (長野林総セ)○吉田孝久,(森林総研)小林功

G.居住性・感性 3月18日午前〜午後 第3会場 (中会議室201B)
G18-0915 校舎の木質化に関する各地の取り組みについて
(横浜国立大学教育人間科学部技術教育講座)小林大介 
G18-0925 地域材を使用した室内空間の居住性能をはかる −秋田での取り組みについ
て− (秋田県立大学生物資源科学研究科・木材高度加工研究所)木村彰孝

H.木質構造 3月18日午前〜19日午前 第1会場 (大会議室101)
H18-1300 木質構造信頼性設計のための木材強度データ解析と設計法確立
(秋田県立大学木材高度加工研究所)○中村 昇 

J.接着・化学加工 3月18日午後 第2会場 (中会議室201A)
J18-1300 超臨界二酸化炭素の木材改質処理技術への応用 
(森林総研)○松永正弘

M.抽出成分・微量成分 3月18日午前〜午後 第6会場 (小会議室303)
LM18-0900 バイオマスリファイナリーのプロスペクティブな要素技術
(産総研バイオマス研)寺本好邦

N.保存 3月18日午前〜午後 第8会場 (中会議室405)
N18-1130 木質耐火構造の開発動向と今後の課題 −木質高層ビルへの挑戦−
(森林総研)○原田寿郎

Q.環境・資源 3月18日午前〜午後 第4会場 (中会議室202A)
Q18-1000 地球温暖化防止条約下での木材利用と木材資源の持続性 
宮崎県木技セ)有馬孝禮

R.林産教育・技術移転 3月19日午前 第10会場 (小会議室404)
R19-1015 森林と木材利用に関する児童・生徒の理解と概念の形成に関する基礎的
調査の集計結果報告
 (埼玉大学教育学部)浅田茂裕
R19-1030 中学校技術室の木育施設としての活用について
(宮崎大学教育文化学部)永冨一之

3月17日(月)15:00〜17:30には、入場無料(参加登録不要)の公開シンポジウム
「木質バイオマスのマテリアル利用とエネルギー利用:その環境への貢献」を開催
します。
「木材資源循環と二酸化炭素削減」、
「石油枯渇時代の製紙産業の可能性―過去に学ぶ」、
「木質バイオマスのエネルギー利用とLCA」
の3講演とパネルディスカッションがあります。

お問い合わせは、日本木材学会事務局:TEL 03-3816-0396 office@jwrs.org まで。

3月15日(土)〜19日(水)は
日本木材学会 総務担当常任委員 江前敏晴(えのまえとしはる)soumu@jwrs.orgまで。 


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■日本木材学会の刊行する学術雑誌はインターネットで読むことが出来ます。最新の
学術情報をぜひご覧ください。
◎和文誌:木材学会誌 電子ジャーナル版
    http://www.jstage.jst.go.jp/browse/jwrs/-char/ja/

◎欧文誌: Journal of Wood Science 電子ジャーナル版
    http://www.springerlink.com/content/1611-4663/
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