あっしゅくあてざい
圧縮あて材
compression wood
典型的には針葉樹の枝あるいは傾斜・湾曲した幹の下側にできるあて材。解剖学的な特徴として、仮道管において、横断面で細胞が丸味を帯びる、細胞壁にらせん状の裂目が形成される、著しく木化した細胞壁が形成される点などが挙げられる。圧縮あて材は周囲の組織に比べて密度が高く、濃色であることが多い。
参照: あてざい あて材、ひっぱりあてざい 引張あて材
記述変更
弯曲→湾曲(前者は現在ほとんど使われない)
円味→丸味(後者の方が現在一般的)
比して→比べて(前者は現在ほとんど使われない)
極端に木化された細胞壁→著しく木化した細胞壁(より読みやすい日本語に)
句読点など記述の見直し、一部改訳
同義語としてのGlassy wood, Hard streak, Red wood, Rotholzの削除(現在ではこれらの英語とドイツ語の必要性は低いと判断)
らせんはひらがなのまま
現行用語集「あて材」では「針葉樹類」「広葉樹類」という表現になっているが、「針葉樹」「広葉樹」に統一
参照に「あて材」を追加
材質用語集にもあり(定義同じ)
木材学会会員の意見を受け修文
<旧案>典型的には針葉樹の枝あるいは傾斜・湾曲した幹の下側にできるあて材。解剖学的な特徴として、仮道管において、横断面で細胞が丸味を帯びる、細胞壁にらせん状の裂目が形成される、著しく木化した細胞壁が形成される点などが挙げられる。圧縮あて材は周囲の組織に比べて密度が高く、濃色であることが多い。
<新案>典型的には針葉樹の枝あるいは傾斜・湾曲した幹の下側にできるあて材。解剖学的な特徴として、仮道管において、横断面で細胞が丸味を帯びる、細胞壁にらせん状の裂目が存在する、細胞壁が著しく木化している点などが挙げられる。圧縮あて材は周囲の組織に比べて密度が高く、濃色であることが多い。
あてざい
あて材
reaction wood
幹や枝の本来の位置を保持するために、傾斜あるいは湾曲した幹や枝にできる多少とも特異な解剖学的性質を示す木部。
注: 一般的には、広葉樹では引張あて材となり、針葉樹では圧縮あて材となる。
参照: ひっぱりあてざい 引張あて材、あっしゅくあてざい 圧縮あて材
記述変更
弯曲→湾曲(前者は現在ほとんど使われない)
圧縮あて材と引張あて材の参照を加えた
現行用語集「あて材」では「針葉樹類」「広葉樹類」という表現になっているが、「針葉樹」「広葉樹」に統一
注に「一般的には、」を加え、必ずしも全ての広葉樹あるいは針葉樹がそれぞれ引張あて材と圧縮あて材を作るわけではないことに配慮
材質用語集にもあり(定義同じ)
木材学会会員の意見を受け修文
<旧案>幹や枝を元来の正しい位置に保持しようとするために、その正しい位置が乱された場合に、傾斜あるいは湾曲した幹および枝の部分にできる多少とも特異な解剖学的性質を示す木部。
<新案>幹や枝の本来の位置を保持するために、傾斜あるいは湾曲した幹や枝にできる多少とも特異な解剖学的性質を示す木部。
あみじょうじゅうそしき
網状柔組織
reticulate parenchyma
→ じゅうそしきのはいれつ 柔組織の配列 – 帯状柔組織 – 網状柔組織
記述変更
現行用語集では見出し語だったが、「柔組織の出現タイプ」の小見出しとした
木材学会会員の意見を受け修正
<出現タイプ->配列>
あみじょうせんこうばん
網状穿孔板
reticulate perforation plate
→ せんこうばんのかた 穿孔板の型 – 網状穿孔板
「穿孔板のタイプ」の小見出しとした
木材学会会員の意見を受け修正
<タイプ->型>
いけいさいぼう
異形細胞
idioblast
形と内容物が同一組織の他の構成要素と明らかに異なる細胞。
注: 材における例としては、ある種の結晶細胞、油細胞、粘液細胞などがある。
記述変更
修文
いけいほうしゃそしき
異形放射組織
heterocellular ray
→ ほうしゃそしき 放射組織 – 異形放射組織
いこうざい
移行材
intermediate wood
同義語: transition zone
辺材の最も内側で、色やその他一般的性質が辺材と心材の移行的な特徴を示す部分。
参照: しんざい 心材、へんざい 辺材
記述変更
「辺材と心材の中間的な部分」→「辺材と心材の移行的な特徴を示す部分」(必ずしも「中間的」とはいえない)
同義語としてtransition zoneを追加
※最近の心材形成研究の論文などでは、transition zoneという記述が多い。IAWA用語集と現行用語集を尊重して、intermediate woodを主、transition zoneを従として両方を記載することとした。なお、人によってはintermediate woodとtransition zoneを別物としている場合が稀にあるが、ほとんどの論文ではintermediate woodとtransition zoneはおなじものを指している。
材質用語集にもあり(材質用語集では「白線帯」に言及)
辺材の最も内側で、色やその他一般的性質が辺材と心材の移行的な特徴を示す部分。生材においては、典型的辺材と心材との間で白い帯状に存在する場合が多いため、しばしば白線帯 (はくせんたい) と呼ばれる。
いせいほうしゃそしき
異性放射組織
heterogeneous ray
見出し語から削除
現行用語集で使用を推奨しないとされているため見出し語から削除
いせいほうしゃそしきがた
異性放射組織型
heterogeneous ray tissue
→ ほうしゃそしき 放射組織
いちじしぶ
一次篩部 / 一次師部
primary phloem
最初に形成される篩部。茎と根では明確な形成層が認められる以前に、頂端分裂組織の下に分化する。
記述変更
後半に「、」を挿入
現行用語集ではセミコロンを使っているが「。」に変更
いちじへき
一次壁
primary wall
→ さいぼうへき 細胞壁
いちじへきこういき
一次壁孔域
primary pit-field
同義語: primordial pit
細胞間層および一次壁が薄くなって原形質連絡が密に集合している部分。二次壁が形成される時、この部分には1個以上の壁孔対が発達するのが普通である。
記述変更
修文
原形質連絡の記述追加
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>細胞間層および一次壁が薄くなって原形質連絡が密に集合している部分で、1個以上の壁孔対が発達するのが普通である。
<新案>細胞間層および一次壁が薄くなって原形質連絡が密に集合している部分。二次壁が形成される時、この部分には1個以上の壁孔対が発達するのが普通である。
いちじほうしゃそしき
一次放射組織
primary ray
一次組織中で発生し、形成層の活動によって伸張した放射組織。
注: 普通、内方に髄までたどることのできる放射組織に対して用いられる。
参照: 二次放射組織
記述変更
ふつう→普通、
同義語として掲載のMedullary ray(不賛), Pith ray(不賛)削除(現行用語集でこれら用語の利用に不賛成であるため。また、現行用語集の「放射組織」の注に、「Medullary ray および Pith ray という用語は現在では一次皮層と髄とを結ぶ柔組織のみに用いられる」とあり、一次放射組織の同義語としては記載が不適切と判断)
「→ Hosha-soshikiの注」削除(上記のとおりMedullary ray および Pith rayを削除するなら不要)
用語集改定過程で見出し語からの削除提案があった(一次放射組織と二次放射組織の違いは髄につながっているかどうかだけで、形態的に違わないから)が、削除しない(発生学的に異なっていて、木材解剖学関連書籍等で散見されるから)
いちじもくぶ
一次木部
primary xylem
最初に形成された木部で,頂端分裂組織から分化したもの。
注: 普通、髄の縁の部分に存在する。
記述変更
ふつう→普通、(漢字の方が読みやすいと判断)
いにしゃるじゅうそしき
イニシャル柔組織
initial parenchyma
→ じゅうそしきのはいれつ 柔組織の配列 – 帯状柔組織 – 成長輪界状柔組織
記述変更
イニシアル→イニシャル(現在の日本語の表記の主流に従う)
ここでは見出し語とし、新規項目である「柔組織の出現タイプ」の小見出しの中、「柔組織の出現タイプ–帯状柔組織–成長輪界状柔組織」で定義記述。
柔組織の出現タイプ->柔組織の配列
いぼじょうそう
いぼ状層
warty layer
いぼ状突起を含む薄い層。二次壁最内層として形成されることがある。
注: いぼ状突起とベスチャーとの形態的・組成的類似性から両者を区別せず、いぼ状層の代わりに、ベスチャー層 (vestured layer) とする意見がある。いぼ状層やらせん肥厚について、過去には、三次壁 (tertiary wall) という用語が当てられたことがあった。
参照: いぼじょうとっき いぼ状突起、しゅうしょくこうぞう 修飾構造、べすちゃー ベスチャー
新規採用用語
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>二次壁のさらに内側に生じる、いぼ状突起を含む薄い層。
<新案>いぼ状突起を含む薄い層。二次壁最内層として形成されることがある。
・注で三次壁に言及
いぼじょうとっき
いぼ状突起
wart
二次壁の細胞内腔側表面に生じる微小な突起物。主として、小型の半球形など単純な形状で、細胞内腔および壁孔腔の表面に一様に存在するものを指す。
注: ベスチャーとの形態的・組成的類似性から、ベスチャーといぼ状突起を区別しない意見がある。
参照: いぼじょうそう いぼ状層、しゅうしょくこうぞう 修飾構造、べすちゃー ベスチャー
新規採用用語
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>二次壁からの微小な突起物。主として、小型な半球形など形状が単純で、壁孔室内および内腔表面に一様に存在するものを指す。
<新案>二次壁の細胞内腔側表面に生じる微小な突起物。主として、小型の半球形など単純な形状で、細胞内腔および壁孔腔の表面に一様に存在するものを指す。
いんでんちゃー
インデンチャー
indenture
針葉樹材の放射柔細胞の水平壁と接線壁 (末端壁) との継ぎ目に沿って現われる水平壁の狭い溝。放射断面では接線壁が水平壁と接する部分での水平壁の凹みとして現われる。
注: 針葉樹のみに用いられる。
記述変更
放射組織細胞→放射柔細胞
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>針葉樹材の放射柔細胞の水平壁と接線壁 (末端壁) との継ぎ目に沿って現われる狭い溝。放射断面では接線壁が水平壁と接する部分での水平壁の凹みとして現われる。
<新案>針葉樹材の放射柔細胞の水平壁と接線壁 (末端壁) との継ぎ目に沿って現われる水平壁の狭い溝。放射断面では接線壁が水平壁と接する部分での水平壁の凹みとして現われる。
えぴせりうむ
エピセリウム
epithelium
同義語: epithelial layer
細胞間道あるいは細胞間腔を取り囲む分泌細胞の層。
記述変更
細胞間こう→細胞間腔
木材学会会員の意見を受け修正
とりかこむ->取り囲む
えぴせりうむさいぼう
エピセリウム細胞
epithelial cell
エピセリウムを構成する細胞。
記述変更
エピセリウムの細胞→エピセリウムを構成する細胞
おうがさいぼう
横臥細胞
procumbent ray cell
→ へいふくさいぼう 平伏細胞
おびじょうじゅうそしき
帯状柔組織
banded parenchyma
→ じゅうそしきのはいれつ 柔組織の配列 – 帯状柔組織
記述変更
新規項目「柔組織の出現タイプ」の小見出しとした
木材学会会員の意見を受け修正
<出現タイプ->配列>
おーん
オーン
awn
→ かりとりすがたひこう カリトリス型肥厚
かいこう
開口
削除
現行用語集では「→孔口」とされた上で孔口の同義語(廃)となっている。現在では見出し語とする必要性が低いと考え見出し語からの削除
がいこうこう
外孔口
outer aperture
→ こうこう 孔口
がいじゅひ
外樹皮
outer bark
→ じゅひ 樹皮
がいそくぼうじょうじゅうそしき
外側帽状柔組織
abaxial parenchyma
→ じゅうそしきのはいれつ 柔組織の配列 – 随伴柔組織 – 帽状柔組織
記述変更
新規項目「柔組織の出現タイプ」の中で記述。見出し語としては採用、柔組織の出現タイプ–随伴柔組織–帽状柔組織の中で定義記述。
木材学会会員の意見を受け修正
<出現タイプ->配列>
かいだんじゅうそしき
階段柔組織
scalariform parenchyma
→ じゅうそしきのはいれつ 柔組織の配列 – 帯状柔組織 – はしご状柔組織 / 階段柔組織
記述変更
階段柔組織 → はしご状柔組織 / 階段柔組織
新規項目「柔組織の出現タイプ」の小見出しとした
木材学会会員の意見を受け修正
<出現タイプ->配列>
かいだんせんこうばん
階段穿孔板
scalariform perforation plate
→ せんこうばんのかた 穿孔板の型 – はしご状穿孔板 / 階段穿孔板
記述変更
階段穿孔板 → はしご状穿孔板 / 階段穿孔板
新規項目「穿孔板のタイプ」の小見出しとした
せん孔→穿孔(漢字化)
木材学会会員の意見を受け修正
<タイプ->型>
かいだんへきこう
階段壁孔
scalariform pitting
→ へきこうのそんざいとはいれつ 壁孔の存在と配列 – はしご状壁孔 / 階段壁孔
記述変更
新規項目「壁孔の存在と配列」の小見出しとした
階段壁孔 → はしご状壁孔 / 階段壁孔
かくへきかどうかん
隔壁仮道管
septate tracheid
見出し語としては削除
「ストランド仮道管」の同義語であるが、現行用語集のストランド仮道管の部分では(廃)とされていることから、見出し語より削除し、ストランド仮道管の「古い用語」として記載する。
なお、後続の「隔壁柔細胞」「隔壁繊維状仮道管」「隔壁木繊維」は一つの紡錘形の細胞に隔壁がある、という定義だが、ストランド仮道管は紡錘形のストランド(細胞の集合)の一個一個の細胞として定義されている。
かくへきじゅうさいぼう
隔壁柔細胞
septate parenchyma cell
細胞内腔に1以上の薄い横断壁をもつ軸方向あるいは放射方向の柔細胞。
注: これらの細胞では原形質体は二次壁の形成後に分割される。
記述変更
分たれる→分かれる(説明の平易化、現代化)
注の記述を隔壁木繊維での記述に統一
木材学会会員の意見を受け修正
1またはそれ以上->1以上
かくへきせんいじょうかどうかん
隔壁繊維状仮道管
septate fiber-tracheid
細胞内腔を横切る薄い水平壁をもつ繊維状仮道管。
注: これらの細胞では原形質体は二次壁の形成後に分割される。
注の記述を隔壁木繊維での記述に統一
かくへきもくせんい
隔壁木繊維
septate wood fiber, septate fiber
細胞内腔を横切る薄い水平壁をもつ木部繊維。
注: これらの細胞では原形質体は二次壁の形成後に分割される。
木材学会会員の意見を受け修正
英語同義語にseptate fiberを追加(IAWA hardwood listではこうなっている)
かざい
夏材
summer wood
削除
春材、夏材、秋材は見出し語としないが、早材等の「古い用語」として記載
かどうかん
仮道管
tracheid
同類要素との間に顕著な有縁壁孔をもち、かつ穿孔をもたない木部細胞。
記述変更
現行用語集では繊維状仮道管の注を参照していたが、これは晩材仮道管を「繊維状仮道管」と呼ぶことがある、という記述のためだとおもわれるが、この注は削除したのでここでも参照削除
木材学会会員の意見を受け修正
「顕著な」有縁壁孔
かもめがたよくじょうじゅうそしき
かもめ型翼状柔組織
winged-aliform parenchyma
→ じゅうそしきのはいれつ 柔組織の配列–随伴柔組織–翼状柔組織
IAWA hardwood listとの整合性をとって新規採用
ここでは見出し語として出現するが、柔組織の出現タイプ–随伴柔組織–翼状柔組織の中で定義記述
新規採用用語
木材学会会員の意見を受け修正
lozenge->winged(ミスを修正)
<出現タイプ->配列>
かりとりすがたひこう
カリトリス型肥厚
callitroid thickening
同義語: callitrisoid thickening
カリトリス属 (Callitris、ヒノキ科) に見られるような、壁孔に近接して通常孔口の上下に対で存在する水平方向の肥厚線。通常放射壁上で観察されるが、肥厚線が接線壁に回り込む場合があり、このような状態を接線断面で観察すると麦ののぎ (芒) のように見えることから、オーン (awn) と記載されることがある。
記述変更
Heady & Evans 2000 Callitroid (callitrisoid) thickening in Callitris. IAWA J 21 293–319等を参考に大幅に修文
現行用語集ではカリトリス型肥厚の英語について「注: Callitroidがふつうに用いられるが,Callitrisoidの方が語源上望ましい。」という記述がある。この注はIAWA用語集にはない。IAWA softwood listでは、callitroid thickeningが項目立てされていてcallitrisoid thickeningはシノニムとされている。針葉樹材の識別ではこの辺りの記述はない。上記Heady & Evans 2000ではタイトルのとおりcallitroidを主として用いている。Google scholarでの検索結果はcallitroidが優勢である。よって、近年はcallitroidを主としてもちいることが適切であると判断しつつ、現行用語集の注にも配慮して、callitroidを主、callitrisoidを同義語として記載する。
カリトリス属Callitrisから用語をとっていることから、固有名詞とみなしてCallitroid thickeningとすることも考えられるが、Heady & Evans 2000でもIAWA softwood listでも小文字となっていることから小文字とする
木材学会会員の意見を受け修正
「のぎ」の漢字を追加
かんこう
管孔
pore
道管あるいは道管状仮道管の横断面に対して用いられる便宜上の用語。
参照: どうかんのぶんぷとはいれつ 道管の分布と配列
記述変更
参照に新規項目「道管の分布と配列」を追加
「管孔および関連語について」参照
材質用語集にもあり(定義同じ)
かんこうざい
環孔材
ring-porous wood
早材の道管の径が晩材のそれよりも明らかに大きく、成長輪界に沿って帯状あるいは環状に配列する材。
注: 環孔材においては、大径の道管が配列している部分を孔圏 (pore zone) または早材 (earlywood) と呼び、それらの大径の道管を孔圏 (早材) 道管 (earlywood vessel) と呼ぶ。孔圏道管より小径の道管が配列している部分を孔圏外または晩材 (latewood) と呼び、それら小径の道管を孔圏外 (晩材) 道管 (latewood vessel) と呼ぶ。
参照: どうかんのぶんぷとはいれつ 道管の分布と配列、さんこうざい 散孔材、はんかんこうざい 半環孔材、こうけん 孔圏
記述変更
定義に「成長輪界に沿って」を加え、記述を変更
注を加えた(環孔材における孔圏等の概念について整理)
参照を加えた。
「管孔および関連語について」参照
材質用語集にもあり(材質用語集では注なし)
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>早材の道管が晩材のそれよりも明らかに大きく、成長輪界に沿って帯状あるいは環状に配列する材。
注: 環孔材においては、大きい道管が配列している部分を孔圏 (pore zone) または早材 (earlywood) と呼び、それらの大径の道管を孔圏 (早材) 道管 (earlywood vessel) と呼ぶ。孔圏道管より小径の道管が配列している部分を孔圏外または晩材 (latewood) と呼び、それら小径の道管を孔圏外 (晩材) 道管 (latewood vessel) と呼ぶ。
<新案>早材の道管の径が晩材のそれよりも明らかに大きく、成長輪界に沿って帯状あるいは環状に配列する材。
注: 環孔材においては、大径の道管が配列している部分を孔圏 (pore zone) または早材 (earlywood) と呼び、それらの大径の道管を孔圏 (早材) 道管 (earlywood vessel) と呼ぶ。孔圏道管より小径の道管が配列している部分を孔圏外または晩材 (latewood) と呼び、それら小径の道管を孔圏外 (晩材) 道管 (latewood vessel) と呼ぶ。
・道管の「径」追加
・大きい道管->大径の道管
かんじょうようそ
管状要素
tracheary element
→ つうすいようそ / かんじょうようそ 通水要素 / 管状要素
新規見出し語として採用するが「通水要素 / 管状要素」を参照する
かんりん
乾輪
drought ring
→ しょうがいりん 傷害輪
ぎねんりん
偽年輪
false ring
重年輪中の一つの成長輪。
記述変更
生長輪→成長輪
false annual ring→false ring(現在、より一般的)
材質用語集にもあり(定義同じ)
くさりじょうかんこう
鎖状管孔
pore chain
→ どうかんのぶんぷとはいれつ 道管の分布と配列
記述変更
見出し語とはするが、独立した定義を廃止し、「道管の分布と配列」の注の中で記述
「くさりじょう」→「さじょう」のよみ変更の提案があったが、変更する積極的理由がないため変更しない
「管孔および関連語について」参照
くらすれー
クラスレー
crassula (複数形: crassulae)
隣接する一次壁孔域相互の間にある細胞間層および一次壁の肥厚部。
注: 古い文献では、クラスレーをサニオ線 (bar of Sanio、rim of Sanio) と呼んでいる場合がある。ところが、トラベキュレーについて、サニオ線 (bar of Sanio、beam of Sanio) という用語をあてる文献も存在する。全く異なるものに対して同じ用語を与えることは不適切であり、よって本用語集では、クラスレーおよびトラベキュレーの注に「サニオ線」を記載するものの、「サニオ線」の使用を推奨しない。
記述変更
現行用語集の同義語サニオ線(ただし不賛や廃語)の記述の仕方を変更→注で記述(現在通常はサニオ線という用語は用いられないが、昔は結構使っていたこと、トラベキュレーにおけるbar of sanioとの関係から注記が必要と判断)
日本語のクラスレーは英語の複数形であるので検討が必要という意見があったが、クラスレーで定着していることからこのまま
けいせいそう
形成層
cambium (vascular cambium)
二次木部および二次篩部の間にあって、それらを生ずるために活発に分裂する細胞の層。
注: 上記定義の細胞群による接線方向に存在する層を形成層と呼ぶが、形成層をなす細胞の層は1層なのか複数層なのかについて議論がある。形成層が1層からなるとする場合は、形成層とは形成層始原細胞からなる層で、樹幹外側に篩部母細胞が1~数層、樹幹内側に木部母細胞が1~数層存在して、これら3者で形成層帯を構成する。一方、形成層始原細胞・木部母細胞・篩部母細胞は形態的に見分けがつかず、形成層は未分化の分裂能力をもつ複数の細胞層からなるとする場合は、形成層帯という用語を用いない。
構成変更
形成層を大見出しとし、その小見出しに形成層帯、形成層始原細胞、木部母細胞、篩部母細胞を位置付ける。さらに形成層始原細胞の小見出しとして放射組織始原細胞と紡錘形始原細胞を位置付ける。
形成層
形成層帯
形成層始原細胞
紡錘形始原細胞
放射組織始原細胞
木部母細胞
篩部母細胞
記述変更
注を追加
材質用語集にもあり(定義一文目は同じ、その後のかきぶりが異なる)
けいせいそう・けいせいそうたい
形成層・形成層帯
cambium, cambial zone
二次木部および二次篩部の間にあって、それらを生ずるために活発に分裂する細胞の層。樹木の分裂組織であり、木材を生産する樹木の茎の接線方向に並ぶ細胞群。
形成層の定義および範囲に議論があるため、形成層始原細胞、木部母細胞および篩部母細胞を含めて「形成層帯」という用語が用いられる。
けいせいそうたい
形成層帯
cambial zone
形成層始原細胞およびそれから分裂した木部母細胞と篩部母細胞からなるいろいろな幅の層に対する便宜上の用語。
記述変更
修文(句読点変更)
けいせいそうしげんさいぼう
形成層始原細胞
cambial initial
形成層に存在する細胞分裂能力を持つ未分化の細胞。紡錘形始原細胞と放射組織始原細胞がある。
記述変更
定義変更、紡錘形始原細胞と放射組織始原細胞の記述
現行用語集では、紡錘形始原細胞と放射組織始原細胞を参照しているが、これらを形成層始原細胞の小見出しとするので削除
ほうしゃそしきしげんさいぼう
放射組織始原細胞
ray initial
放射組織を構成する細胞を生ずる形成層始原細胞。接線断面で見た場合、普通はグループをなし、個々の細胞は多少とも等径的である。
記述変更
放射組織細胞→放射組織を構成する細胞
現行用語集では、紡錘形始原細胞を参照しているが小見出しとしてすぐ近くにあるので不要と考え削除
ぼうすいけいしげんさいぼう
紡錘形始原細胞
fusiform initial (fusiform cambial initial)
木部あるいは篩部の軸方向の要素を生ずる形成層始原細胞。接線断面で見た場合、紡錘形を呈する。
記述変更
2文の間のセミコロン;→まる。
放射組織始原細胞と紡錘形始原細胞の書き振りを統一
しぶぼさいぼう
篩部母細胞 / 師部母細胞
phloem mother cell
形成層始原細胞の分裂によって樹幹の外方に生じた未分化の分裂能力を持つ細胞で、これらは篩部細胞に分化する前にさらに接線面分裂 (並層分裂) を行う。
記述変更
行なう→行う
篩部母細胞と木部母細胞の書き振りを統一して変更
木材学会会員の意見を受け修正
「持つ」漢字化
もくぶぼさいぼう
木部母細胞
xylem mother cell
形成層始原細胞の分裂によって樹幹の内方に生じた未分化の分裂能力をもつ細胞で、これらは木部細胞に分化する前にさらに接線面分裂 (並層分裂) を行う。
記述変更
行なう→行う
篩部母細胞と木部母細胞の書き振りを統一して変更
けつごうこうこう
結合孔口
colescent aperture
→ こうこう 孔口 – 結合孔口
けつごうじゅうそしき
結合柔組織
conjunctive tissue
材内篩部と結合した特殊な形の柔組織。
注: ヒルギダマシ属 (Avicennia) で見られるように篩部と木部と網状に連絡した結合柔組織が同心円状の帯状構造をなす場合や、マチン属 (Strychnos) で見られるように結合柔組織が材内篩部を取り囲んで木部の中に散在する場合がある。
参照: ざいないしぶ 材内篩部
記述変更
Avicenia→Avicennia、Stychnos→Strychnos (現行用語集のスペルミス)
「参照: 材内篩部」を追加
説明を加えて注を記述変更
木材学会会員の意見を受け修正
「見られる」漢字化
けっしょう
結晶
crystal
普通に区別される型には、次のようなものがある。
記述変更
ふつう→普通(漢字化)
結晶の小見出しに菱形結晶追加(IAWA hardwood list、IAWA softwood list、針葉樹の識別、広葉樹材の識別にならった)
IAWA hardwood list等にある、「菱形結晶」は非常に扱いの大きい結晶の種類であり採用するが、「細長い結晶」と「その他の結晶」は採用しない(これらの表現は用語集に採用する専門用語とは考えにくいから。細長い結晶は柱晶のうちやや短いものなので柱晶に記述)
針晶などは「acicular」(形容詞のみ)などとされていたが、日本語との対応を考慮して、「acicular crystal」などとする
さしょう
砂晶
crystal sand
非常に細かい結晶の粒状の集まり。
しゅうしょう
集晶
druse (同義語: cluster crystal)
概ね球状を呈する結晶の複合体。個々の結晶が表面から突き出て星形の外観を呈する、有機物の芯を持つ、柄によって細胞壁に付着する、細胞内に遊離するなどのさまざまな形態をとる。
記述変更
往々 → 時には
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>druse 結晶の球状の集まりで、時には有機物の芯をもち、柄によって細胞壁に付着するかあるいは細胞内に遊離している。
<新案>druse (同義語: cluster crystal) 概ね球状を呈する結晶の複合体。個々の結晶が表面から突き出て星形の外観を呈する、有機物の芯を持つ、柄によって細胞壁に付着する、細胞内に遊離するなどのさまざまな形態をとる。
しんしょう
針晶
acicular crystal
小さく細い針状の結晶。束にならない。
注: 柱晶と混同してはならない。
記述変更
「((針状結晶(植)))」削除
木材学会会員の意見を受け修正
束晶との対応のため、「小さく」「束にならない」追加
そくしょう
束晶
raphid (raphide, raphis) (複数形: raphides)
長い針状の結晶が束となったもの。
記述変更
raphide, raphisを、異なる綴方と考え、書き下ろして()に入れて記載
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>針状の結晶で典型的には密集した束状をなす。
<新案>長い針状の結晶が束となったもの。
ちゅうしょう
柱晶
styloid
先端が尖るかまたは四角ばっている大きく長い結晶。長さが幅の4倍以上で細長いものを柱晶、それより短いものを細長い結晶 (elongated crystal) として区別することがある。
IAWA hardwood listで柱晶と同列で記載され、長さが幅の2-4倍とされているelongatedを追加記述
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>典型的にはおよそ長さが幅の4倍ぐらいの細長い結晶で、先端が尖るかまたは四角ばっている。長さがやや短い柱晶を elongated crystal と呼ぶことがある。
<新案>先端が尖るかまたは四角ばっている大きく長い結晶。長さが幅の4倍以上で細長いものを柱晶、それより短いものを細長い結晶 (elongated crystal) として区別することがある。
・「細長い結晶」を見出し語とする提案があったがここに注記するにとどめることとした。
ひしがたけっしょう
菱形結晶
prismatic crystal
同義語: rhomboidal crystal
直方体、斜方六面体あるいは八面体の単独の結晶。
新規採用用語
編集中修文「単独の直方体または斜方六面体あるいは八面体の結晶」→「直方体、斜方六面体あるいは八面体の単独の結晶」
けっしょうさいぼう
結晶細胞
crystalliferous cell
同義語: crystal cell
結晶を内腔に含む細胞。
注: 放射柔細胞および軸方向柔細胞が結晶細胞となる場合が多いが、まれに繊維および道管要素が結晶細胞となる場合もある。
記述変更
全体的に変更(現行用語集のエッセンスを残し、より適切な記述とした)
たしつけっしょうさいぼう
多室結晶細胞
chambered crystalliferous cell
同義語: chambered crystal cell
隔壁によって分けられた室をもつ結晶細胞。
記述変更
修文
結晶細胞の英語をcrystalliferous cell (同義語: crystal cell)としたことに伴う英語の修正
木材学会会員の意見を受け修正
大見出しから結晶細胞の小見出しへ変更
げんけいしつたい
原形質体
protoplast
細胞膜によって囲まれた原形質の集まり。
記述変更
かこまれた→囲まれた(漢字化した方が読みやすい)
細胞壁→細胞膜
げんせいもくぶ
原生木部
protoxylem
最初に形成される一次木部で、環状あるいはらせん状の肥厚を有する通水要素が出現する。
参照: こうせいもくぶ 後生木部
通水要素or管状要素
こうけん
孔圏
pore zone
環孔材において大径の道管が配列している部分。早材に相当する。孔圏の外側を孔圏外と呼び、晩材に相当する。
参照: かんこうざい 環孔材。
新規採用用語
材質用語集にもあり(定義同じ)
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>環孔材において大きい道管が配列している部分。早材に相当する。孔圏の外側を孔圏外と呼び、晩材に相当する。
<新案>環孔材において大径の道管が配列している部分。早材に相当する。孔圏の外側を孔圏外と呼び、晩材に相当する。
・大きい道管->大径の道管
こうこう
孔口
pit aperture
壁孔の開口。
孔口の記述には,次のような用語が用いられる。
記述変更
「訳注:Syn. 開口(廃)。」削除(廃語を同義語としない)
小見出しの並びを50音順ではなく類似語をあつめた並べ方とした
不採用提案
「孔口」を「壁孔口」とする用語変更の提案があったが、壁孔口と壁孔腔が同音異議語となるため、不採用
ないこうこう
内孔口
inner aperture
壁孔道の細胞内腔に面した開口。
がいこうこう
外孔口
outer aperture
壁孔道の壁孔室に面した開口。
記述変更
内孔口と対応した記述に修文
けつごうこうこう
結合孔口
colescent aperture
細胞壁の二次壁内面においてスリット状の孔口が癒合して長い溝状になったもの。
りんないこうこう
輪内孔口
included aperture
正面から見た場合にその輪郭が壁孔縁の内側に囲まれている内孔口。
りんしゅつこうこう
輪出孔口
extended aperture
正面から見た場合にその輪郭が壁孔縁の外側にはみ出している内孔口。
れんずじょうこうこう
レンズ状孔口
lenticular aperture
正面から見た場合に両凸レンズの形をもった孔口。
こうごへきこう
交互壁孔
→ へきこうのそんざいとはいれつ 壁孔の存在と配列 – 交互壁孔
記述変更
新規項目「壁孔の存在と配列」の小見出しとする
こうじゅひ
硬樹皮
hard bark
削除
早樹皮、晩樹皮、硬樹皮、軟樹皮は現在ほとんど用いられることがないため削除
こうせいもくぶ
後生木部
metaxylem
後期に形成された一次木部で、壁孔を有する通水要素が出現する。
参照: げんせいもくぶ 原生木部
通水要素or管状要素
こうへきいけいさいぼう
厚壁異形細胞
同義語: すくれれいど スクレレイド
sclereid
同義語: sclerotic cell
形態は多様であるが、典型的にはあまり伸長しておらず、厚い木化した二次壁を持つ厚壁細胞。
注: 厚壁異形細胞の形は多様で、多面体から多少細長い形状で、しばしば枝分れする。材および樹皮にふつうに見出される型は石細胞である。このような細胞は、たとえば「sclerotic ray cell」というように、しばしば「sclerotic」という言葉で形容される。
記述変更
厚壁異形細胞を主、スクレレイドを従、とした同義語として記載
厚壁細胞を新規に定義して厚壁異形細胞を定義することにしたので、修文。
現行用語集の注を残すことにして、注の記載がわかりにくかったので修文。
「スクレレイド、厚壁組織、厚壁細胞、ファイバースクレレイドについて」参照
こうへきさいぼう
厚壁細胞
sclerenchyma cell
多少なりとも肥厚し、しばしば木化した二次壁を持つ、形態や寸法の変異に富む細胞。
「スクレレイド、厚壁組織、厚壁細胞、ファイバースクレレイドについて」参照
新規採用用語
こうへきそしき
厚壁組織
sclerenchyma
厚壁細胞からなる組織。また、植物体または植物組織における厚壁細胞の総称。厚壁組織は、繊維、繊維状厚壁異形細胞、厚壁異形細胞を含む。
スクレレイド→厚壁異形細胞への変更
「スクレレイド、厚壁組織、厚壁細胞、ファイバースクレレイドについて」参照
新規採用用語
こうへきちろーす
厚壁チロース
sclerotic tylosis
→ ちろーす チロース – 厚壁チロース
記述変更
厚壁チロースはチロースの小見出しとする
ごむどう
ゴム道
gum duct
同義語: gum canal
ゴム質を含む細胞間道。
記述変更
英語の同義語としてgum canalを追加
細胞間道はintercellular canal、樹脂道はresin canalなのにゴム道はgum ductなのでgum canalへの変更を検討したが、resin canalと異なり、gum canalの使用例はgum ductに比べ少ないのでductを主としてcanalを同義語とした
「ゴム」を「ガム」とする意見(gumはsticky substance粘着性物質の意で日本語のゴムrubberではないから)があったが積極的に変更する必要がない(rubber以外のアラビアゴムなどもゴム)と判断
こりつかんこう
孤立管孔
solitary pore
→ こりつどうかん 孤立道管
記述変更
見出し語としては採用し、新規項目孤立道管を参照
「管孔および関連語について」参照
こりつどうかん
孤立道管
同義語: こりつかんこう 孤立管孔
solitary vessel
同義語: solitary pore
横断面において、他の要素に完全に取り囲まれ、孤立している道管。
参照:どうかんのぶんぷとはいれつ 道管の分布と配列、ふくごうどうかん 複合道管
新規項目
「管孔および関連語について」参照
こるくけいせいそう
コルク形成層
phellogen
同義語: cork cambium
周皮を生ずる分裂組織の層。
こるくそしき
コルク組織
phellem
同義語: cork
茎または根においてコルク形成層によって外側に向かって作り出される組織。細胞壁は一般にコルク化し、かつ厚壁性のものでは細胞内腔に向って、さらに木化した層が加わることもある。コルク組織中のコルク化しない細胞は、フェロイド細胞と呼ばれる。
注: corkはphellemに対する非専門語。
記述変更
向って→向かって
木材学会会員の意見を受け修正
「向って」→「向かって」
こるくひそう
コルク皮層
phelloderm
コルク形成層から内側に向かって作り出された細胞によって構成されている、外観においては大体皮層の柔組織に似た組織。木本植物ではこれらの細胞は容積を増し、壁が肥厚して石細胞を形成することもあり、また時には放射方向に長い形をとる。
記述変更
ときに→時に
向って→向かって
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>外観においては大体皮層の柔組織に似た組織であるが、コルク形成層から内側に向かって作り出された細胞によって構成されている。木本植物ではこれらの細胞は容積を増し、壁が肥厚して石細胞を形成することもあり、また時には放射方向に長い形をとる。
<新案>コルク形成層から内側に向かって作り出された細胞によって構成されている、外観においては大体皮層の柔組織に似た組織。木本植物ではこれらの細胞は容積を増し、壁が肥厚して石細胞を形成することもあり、また時には放射方向に長い形をとる。
ざい
材
wood
同義語: xylem
茎および根の強度および水分通導に主として役立つ組織。通水要素を有するのが特徴である。
通道or通導
通水要素or管状要素
材質用語集にもあり(定義異なる)
ざい (もくざい)
材 (木材)
wood
植物の木部。木材利用においては、樹木の樹幹の二次木部、あるいはそれを加工した材料を指す用語。
ざいないしぶ
材内篩部 / 材内師部
interxylary phloem
同義語: included phloem
ある種の広葉樹材の二次木部内に包まれる束状または層状の篩部。主に二つの型が区別できる。
どうしんがたざいないしぶ
同心型材内篩部 / 同心型材内師部
同義語: ひるぎだましがた ヒルギダマシ型
concentric interxylary phloem
同義語: Avicennia type
形成層は短命で、新しい分裂組織がこれに代って内鞘または皮層の中に発生し、若い茎の構造を反復する。このようにして、篩部は接線方向に層をなし、茎に木部と篩部の層が交互に現れる。
さんざいがたざいないしぶ
散在型材内篩部 / 散在型材内師部
同義語: まちんがた マチン型
diffuse interxylary phloem
同義語: foraminate, Strychnos type
単一の永続的な形成層が茎の一生を通じて機能を続け、木部に篩部の条束が単独で散在している。
記述変更
材内篩部、同心型、散在型をまとめて
内部篩部intraxylary phloemと同時にinterxylaryを主とする同義語とした(IAWA bark listにならう)
現行用語集の同心型、散在型の英語に添えられた、Corpus lignosum circumvallatumとCorpus lignosum foraminatum→削除(ラテン語であり、用例も見つからず、積極的に記載する必要性を認めないから)
同心型の定義記載を大幅に変更してわかりやすくした
散在型の定義記載を大幅に変更してわかりやすくした
日本語の同義語の位置変更
散在型の英語をforaminateからdiffuseに変更、foraminateを同義語とした(IAWA bark listにならった)
現行用語集では〜型としているが、他の用語にならって〜型材内篩部という表現にした
材質用語集にもあり(定義同じだが同心型・散在型省略)
ある種の広葉樹材の二次木部内に包まれる束状または層状の篩部。
さいぼう
細胞
cell
少なくともある時期に原形質体を包含する室または区画。細胞は植物組織の構成単位をなす。
記述変更
さいほう→さいぼう
句読点変更 ;→。
さいぼうかんげき
細胞間隙
intercellular space
細胞間の空隙。二つの型が区別できる。
ぶんぴつせいさいぼうかんげき
分泌性細胞間隙
secretory intercellular space
細胞間道および細胞間腔を含み、これらは離生、破生または離破生のいずれかである。
ひぶんぴつせいさいぼうかんげき
非分泌性細胞間隙
non-secretory intercellular space
単なる細胞の間隙。
記述変更
細胞間隙、分泌性細胞間隙、非分泌性細胞間隙をまとめて
非分泌性細胞間隙の英語のinterstitial space削除。この用語はIAWA用語集では(53)の見出し語で「a non-secretary space between cells」と定義されているが、interstitialは「細胞間の」という意味であり、分泌性と非分泌性を対象しているここでの非分泌性のみでの言及は整合性を欠くと判断
さいぼうかんこう
細胞間腔
intercellular cavity
限られた長さを有する細胞間隙で、一般に樹脂、ゴム質等の貯蔵に役立ち、また一般に生立木の受けた傷害に反応して形成される。
参照: さいぼうかんどう 細胞間道
さいぼうかんそう
細胞間層
intercellular layer
隣接する細胞間の層。等方性でセルロースを欠く。
注: 細胞間層はしばしば一次壁との境が漸進的で不明確である。
参照: ふくごうさいぼうかんそう 複合細胞間層
記述変更
句読点変更 ;→。
文部省学術用語集植物学編にあった「中層」の記述削除
注の修文(「それを区別するには特別の技術を要することもある」削除)
同義語(ただし「廃」)のmiddle lamella削除
『middle lamellaについて」参照
さいぼうかんどう
細胞間道
intercellular canal
不確定の長さを有する管状の細胞間隙で、一般にエピセリウムから分泌される樹脂、ゴム質等の貯蔵に役立つ。
注: 軸方向および放射方向のものがある。
参照: じゅしどう 樹脂道、ごむどう ゴム道
記述変更
英語同義語のresin canalとgum ductは同義語というより参照がふさわしいと判断
同義語の細胞間溝は削除(現行用語集で廃語とされているので記載しない)
さいぼうないこう
細胞内腔
lumen (複数形: lumina)
細胞壁に囲まれた内腔。
さいぼうへき
細胞壁
cell wall
各細胞を他から仕切る壁。成熟した細胞では個体発生的に積み重ねられた次のような数層の壁からなる。
いちじへき
一次壁
primary wall
最外層に存在する壁。拡大成長していた時の細胞壁に相当する。ミクロフィブリル配向はランダムであり、内側に隣接する二次壁外層 (S1層) と区別できる。
参照: ふくごうさいぼうかんそう 複合細胞間層
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>最外層に存在する細胞壁。拡大成長していた時の細胞壁に相当する。ミクロフィブリル配向はランダムであり、内側に隣接する二次壁S1層と区別できる。
<新案>最外層に存在する壁。拡大成長していた時の細胞壁に相当する。ミクロフィブリル配向はランダムであり、内側に隣接する二次壁外層 (S1層) と区別できる。
にじへき
二次壁
secondary wall
一次壁の内側に形成される壁。二次壁には通常ミクロフィブリル配向を異にする3つの層が存在し、細胞の外側から外層 (outer layer)、中層 (middle layer)、内層 (inner layer)と呼ぶ。また,外層と中層の間および中層と内層の間には移行層が存在する。
注: 一次壁をP層、二次壁の外層、中層、内層をそれぞれS1層、S2層、S3層と略称する慣行がある。この場合、たとえば二次壁の外層と中層の移行層はS12と呼ぶ。
らめら
ラメラ
lamella (複数形 lamellae)
細胞壁の壁層を構成するミクロフィブリル配向がほぼ等しい薄い層。一次壁、二次壁、二次壁の各層をさらに細分して、またそれらの移行層について、層状構造を議論する場合に用いる用語。
木材学会会員の意見を受け新規採用
さんじへき
三次壁
tertiary wall
削除(下参照)
記述変更
細胞壁、一次壁、二次壁、三次壁をまとめて
細胞壁: 積重ねられた→積み重ねられた
細胞壁: 句読点変更 :→。
一次壁: 現行用語集(IAWA用語集でも)の定義後半に「(二次壁の最初に形成される薄くて著しい異方性をもつ部分と混同してはならない)」という記述がある。これはS1のことだと考えられるが、なににたいして「著しい異方性」といっているのかわからず、さらに二次壁各層は相互に著しい異方性をもっているので、この記述は適切ではないと考える(一次壁が細胞間層と見分けがつかないためS1を一次壁と誤認することをおそれたのか、と推察できる)。よって、上記のとおり修文
二次壁: 2文目と注を追加(2文目で外層,中層,内層を記載の上、注でS1,S2,S3という書き方について記述)
三次壁: 削除(現行用語集の定義「仮道管その他の木部繊維および道管のらせん肥厚に適用されてきた用語; また二次壁の最内層にもあてられてきた」という意味の三次壁は現在用いられることがほとんどなく、また一次壁や二次壁との比較においても概念的に適切ではないと判断)
さいぼうへきのさけめ
細胞壁の裂け目
cell wall check
圧縮あて材の仮道管に見られるような二次壁の裂け目。
記述変更
裂目→裂け目(送り仮名)
さしょう
砂晶
crystal sand
→ けっしょう 結晶 – 砂晶
さにおせん
サニオ線
bar(s) of Sanio, Sanio’s bar
削除
現行用語集でも「廃」となっており、見出し語にする必要はないと判断
クラスレーとトラベキュレーの両方をさす用語となっているが、全然違うものを同じ用語で指すのは回避すべき
サニオ線については、クラスレーとトラベキュレーの項の注で説明
さやさいぼう
さや細胞
sheath cell
接線断面で見た場合に、多列放射組織の外縁に位置し、平伏細胞をさや状に取り囲むように配列した、平伏細胞より大きい直立細胞。
「さや」は漢字化しない(近年の表記の傾向から)
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>接線断面で見た場合に、多列放射組織の平伏細胞群の上下のへりに存在し、かつ周囲をさや状に包む傾向に配列した直立細胞。
<新案>接線断面で見た場合に、多列放射組織の外縁に位置し、平伏細胞をさや状に取り囲むように配列した、平伏細胞より大きい直立細胞。
さんこうざい
散孔材
diffuse-porus wood
成長輪全体にわたって道管の直径および配列が、ほぼ一様かあるいは緩やかな変化しか見せない材。散孔材のうち横断面での道管の配列が放射状のものおよび不規則な形に分布するものを、それぞれ放射孔材および紋様孔材と呼ぶ。
参照: どうかんのぶんぷとはいれつ 道管の分布と配列、かんこうざい 環孔材、はんかんこうざい 半環孔材
記述変更
道管の分布と配列、半環孔材を参照に追加
我が国では放射孔材と紋様孔材という用語が使われることが歴史的に多いので記述追加
「管孔および関連語について」参照
材質用語集にもあり(定義同じ)
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>成長輪全体にわたって道管の大きさおよび配列がほぼ一様かあるいは、ごくゆるやかな変化しか見せない材。散孔材のうち横断面での道管の配列が放射状のものおよび不規則な形に分布するものを、それぞれ放射孔材および紋様孔材と呼ぶ。
<新案>成長輪全体にわたって道管の直径および配列がほぼ一様かあるいは、緩やかな変化しか見せない材。散孔材のうち横断面での道管の配列が放射状のものおよび不規則な形に分布するものを、それぞれ放射孔材および紋様孔材と呼ぶ。
<材質用語集とのすり合わせ時にさらに修正>
成長輪全体にわたって道管の直径および配列が、ほぼ一様かあるいは緩やかな変化しか見せない材。散孔材のうち横断面での道管の配列が放射状のものおよび不規則な形に分布するものを、それぞれ放射孔材および紋様孔材と呼ぶ。
さんざいがたざいないしぶ
散在型材内篩部 / 散在型材内師部
diffuse interxylary phloem
→ ざいないしぶ 材内篩部 / 材内師部
さんざいじゅうそしき
散在柔組織
diffuse parenchyma
→ じゅうそしきのはいれつ 柔組織の配列 – 独立柔組織 – 散在柔組織
新規項目柔組織の出現タイプ–独立柔組織の中で定義記述
柔組織の出現タイプ->柔組織の配列
さんじへき 三次壁
削除
三次壁という用語は採用しないので、ここでの細胞壁への参照は削除
しいき
篩域 / 師域
sieve area
同義語: sieve field
小さい穴がふるい状に集まっている、篩細胞あるいは篩管要素の細胞壁が薄くなった部分。この穴に集合する原形質連絡を通して隣接する篩細胞あるいは篩管要素相互がつながっている。
記述変更
師→篩
「壁の薄くなった部分」→「細胞壁の薄くなった部分」(壁とするより細胞壁とした方がわかりやすい)
「師管要素同志」→「篩管要素同士」(漢字の適正化)
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>篩細胞あるいは篩管要素の細胞壁の薄くなった部分で、小さい穴がふるい状に集まって開いており、隣接する篩細胞あるいは篩管要素同士の原形質体がこの穴を通してつながっている。
<新案>小さい穴がふるい状に集まっている、篩細胞あるいは篩管要素の細胞壁が薄くなった部分。この穴に集合する原形質連絡を通して隣接する篩細胞あるいは篩管要素相互がつながっている。
しかん
篩管 / 師管
sieve tube
篩部における栄養物質を通導する管で、篩管要素が軸方向に連続して構成される。
記述変更
師→篩
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>篩部における栄養物質を通導する管で、篩管要素が軸方向に連続して構成される。
<新案>師管要素が軸方向に連続して構成された、篩部において栄養物質を通導する管状の構造。
しかんようそ
篩管要素 / 師管要素
sieve tube member / sieve tube element
篩管を構成する1個の細胞。一つの篩管を構成する軸方向に連続した篩管要素相互間には篩板が存在するが、篩板は水平の場合から傾斜した場合まで多様である。篩管要素の上下の端以外の側壁上に、分化の程度の低い篩域をもつ場合がある。
記述変更
師→篩
sieve tube elementの追加
「末端壁」を注釈的に挿入、「側壁」の挿入→記述上の工夫
ときに→時に
通道or通導
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>篩部における細長い通導細胞で、これらの細胞が軸方向に上下の端で接して連続した篩管を形成する。上下の細胞の共通の壁 (末端壁) が篩板であって、これは水平の場合から傾斜した場合まで種々である。時に上下の端以外の側壁上に、分化の程度の低い篩域をもつ場合がある。
<新案>篩管を構成する1個の細胞。ひとつの篩管を構成する軸方向に連続した篩管要素相互間には篩板が存在するが、篩板は水平の場合から傾斜した場合まで多様である。篩管要素の上下の端以外の側壁上に、分化の程度の低い篩域をもつ場合がある。
・道管要素の記述を参考に整理して修文
じくほうこうじゅうさいぼう
軸方向柔細胞
axial parenchyma cell
紡錘形始原細胞から生じた柔細胞。紡錘形始原細胞から生じた娘細胞が横面分裂 (水平面分裂) して複数の軸方向柔細胞が形成されて柔組織ストランドを形成するか、横面分裂を行わないで紡錘形柔細胞となる。軸方向柔細胞で構成された組織を軸方向柔組織と呼ぶ。
参照: じゅうさいぼう 柔細胞、じゅうそしきすとらんど 柔組織ストランド、ぼうすいけいじゅうさいぼう 紡錘形柔細胞
新規項目
「柔細胞」の採用と並行して新設
現行用語集の柔組織中の記述と紡錘形柔細胞についての言及をここで
じくほうこうじゅうそしき
軸方向柔組織
axial parenchyma
→ 軸方向柔細胞
記述変更
現行用語集で「不賛」とされている同義語longitudinal parenchyma,vertical parenchymaの削除
軸方向柔細胞を参照することとし、軸方向柔組織の説明を軸方向柔細胞でおこなう
じくほうこうようそ
軸方向要素
axial element
木材解剖学で、放射組織の細胞以外の軸方向に配列している細胞に対して用いる便宜上の用語。
記述変更
現行用語集で「不賛」とされている同義語vertical elements削除
放射組織細胞以外のすべての細胞→放射組織の細胞以外の軸方向に配列している細胞(わかりやすい記述に変更)
しさいぼう
篩細胞 / 師細胞
sieve cell
篩部における細長い通導細胞で、篩管要素と異なり、比較的分化の程度の低い篩域が、特に他の篩細胞と重なり合う先端の部分に多く存在する。
師→篩
師管を構成する要素と異なり→篩管要素と異なり(篩管要素は別に定義されているので、定義された用語を使用)
重り合う→重なりあう(送り仮名)
通道or通導
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>篩部における細長い通導細胞で、篩管要素と異なり、比較的分化の程度の低い篩域が、特に他の篩細胞と重なり合う先端の部分に多く存在する。
<新案>篩部における細長い通導細胞。篩管要素と異なり、比較的分化の程度の低い篩域が、特に他の篩細胞と重なり合う先端の部分に多く存在する。
しばん
篩板 / 師板
sieve plate
篩管要素の末端壁の特殊化した部分で、その部分にはある場合には単一の篩域をもち (単篩板: simple sieve plate)、ある場合には非常に近接した数個の篩域が、多くの場合はしご状あるいは網状に配列している (複合篩板: compound sieve plate)。
記述変更
師→篩
壁の特殊化→末端壁の特殊化
現行用語集では英語しか書いていないが「単篩板」「複合篩板」を追加
しぶ
篩部 / 師部
phloem
維管束植物の主要な同化栄養分通導組織。一次組織にも二次組織にも生じ、通常 (必ずしも「常に」ではない) 木部と関連して存在する。大多数の裸子植物および双子葉植物の茎では二次篩部と二次木部の間には、その両者を派生する形成層が挟まれて存在する。篩部を構成する細胞の基本的な型は篩要素 (篩細胞,篩管要素)、柔細胞、繊維および厚壁異形細胞である。
記述変更
師→篩
"常に"→「常に」
維管束植物の主要な同化栄養分通導組織、→ 維管束植物の主要な同化栄養分通導組織。(コンマを丸に)
「篩要素」という用語を追加して記述(IAWA用語集では、「sieve element」と書いてあるが、現行用語集では「師細胞,師管要素」に置き換わっている)→篩要素という用語の新規提案
通道or通導
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>維管束植物の主要な同化栄養分通導組織。一次組織にも二次組織にも生じ、通常 (必ずしも「常に」ではない) 木部と関連して存在する。大多数の裸子植物および双子葉植物の茎では二次篩部と二次木部の間には、その両者を派生する形成層が挟まれて存在する。篩部を構成する細胞の基本的な型は篩要素 (篩細胞,篩管要素)、柔細胞、繊維およびスクレレイドである。
<新案>維管束植物の主要な同化栄養分通導組織。一次組織にも二次組織にも生じ、通常 (必ずしも「常に」ではない) 木部と関連して存在する。大多数の裸子植物および双子葉植物の茎では二次篩部と二次木部の間には、その両者を派生する形成層が挟まれて存在する。篩部を構成する細胞の基本的な型は篩要素 (篩細胞,篩管要素)、柔細胞、繊維および厚壁異形細胞である。
・スクレレイド->厚壁異形細胞
しぶじゅうそしき
篩部柔組織 / 師部柔組織
phloem parenchyma
篩部に生ずる柔組織。
参照: じゅうそしき 柔組織
記述変更
師→篩
参照追加
しぶほうしゃそしき
篩部放射組織 / 師部放射組織
phloem ray
放射組織のうち、形成層より外側の部分。
記述変更
師→篩
しぶぼさいぼう
篩部母細胞 / 師部母細胞
phloem mother cell
→ けいせいそう 形成層
記述変更
師→篩
形成層の小見出しに移動
しゅういかどうかん
周囲仮道管
vasicentric tracheid
道管の周囲に存在するやや特殊化した仮道管。穿孔を持たず、多数の有縁壁孔を持ち、長さが短く不規則な形状をしていることが多い。
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>道管の周囲に存在する短い不規則な形の仮道管で、軸方向の定まった連なりをなさない。
<新案>道管の周囲に存在する仮道管。穿孔を持たず、有縁壁孔を持ち、不規則な形状をしていることが多い。
<再修正>道管の周囲に存在するやや特殊化した仮道管。穿孔を持たず、多数の有縁壁孔を持ち、長さが短く不規則な形状をしていることが多い。
・修正および再修正については、それぞれ会員対応6と会員対応12を参照
しゅういじゅうそしき
周囲柔組織
vasicentric parenchyma
→ じゅうそしきのはいれつ 柔組織の配列 – 随伴柔組織
新規項目柔組織の出現タイプ–随伴柔組織の中で定義記述。
木材学会会員の意見を受け修正
<出現タイプ->配列>
しゅうごうほうしゃそしき
集合放射組織
aggregate ray
小型の放射組織が多数密集して肉眼では単一の大きな放射組織のように見える放射組織。個々の放射組織は道管要素以外の軸方向要素により隔てられている。
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>小型で幅の狭い放射組織の集まりで、肉眼あるいは低倍率のもとでは単一の大きな放射組織のように見えるもの。
<新案>個々の放射組織が多数密集して肉眼では単一の大きな放射組織のように見える放射組織。個々の放射組織は道管要素以外の軸方向要素により隔てられている。
<再修正>小型の放射組織が多数密集して肉眼では単一の大きな放射組織のように見える放射組織。個々の放射組織は道管要素以外の軸方向要素により隔てられている。
しゅうざい
秋材
autumn wood
→ ばんざい 晩材
削除
理由:春材・夏材・秋材は早材・晩材に完全に置き換えるべきと判断し、見出し語としては削除し、早材や晩材のところで古い用法として記載する。
じゅうさいぼう
柔細胞
parenchyma cell
同義語: parenchymatous cell
通常は薄壁でかつ単壁孔をもつ、顕著に特殊化していない細胞。サイズ、形態、細胞壁構造などの変異に富む。
参照: じゅうそしき 柔組織、じくほうこうじゅうさいぼう 軸方向柔細胞、ほうしゃじゅうさいぼう 放射柔細胞
新規採用
定義文でしばしば「柔細胞」が出現するが、見出し語として採用されていない
現行用語集の柔組織の一文目「煉瓦状または等径的な形を典型とし、かつ単壁孔をもつ細胞」、Esau’s Plant Anatomy Glossaryのparenchyma cell「Typically a not distinct specialized cell… Varies in size, form, and wall structure」などを参考にした
じゅうさいぼうすとらんど
柔細胞ストランド
parenchyma strand
→ じゅうそしきすとらんど 柔組織ストランド
記述変更
柔細胞ストランド→柔組織ストランドへと用語の変更を行うが、柔細胞ストランドは現行用語集にも記載されている用語なので参照とする
しゅうしょう
集晶
druse
→ けっしょう 結晶 – 集晶
しゅうしょくこうぞう
修飾構造
sculpture
同義語: modified structure
壁孔、穿孔板、らせん肥厚、いぼ状突起、ベスチャー等、細胞壁が局所的に欠落あるいは隆起して特異な形態を示す構造の総称。
新規採用用語
三次壁の廃止とともに提案
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>仮道管その他の木部繊維および道管要素のらせん肥厚やいぼ状層 (いぼ状構造) について適用される用語。
<新案>壁孔、穿孔板、らせん肥厚、いぼ状突起、ベスチャー等、細胞壁が局所的に欠落あるいは隆起して特異な形態を示す構造の総称。
じゅうそしき
柔組織
parenchyma
同義語: soft tissue, storage tissue
柔細胞からなる組織。材の横断面における軸方向柔組織の配列は材の識別に重要である。
参照: じゅうさいぼう 柔細胞、じゅうそしきのはいれつ 柔組織の配列
記述変更
新規項目「柔細胞」を用いた表現とした(Esau's Plant Anatomyを参考とした)
新規項目「柔組織の出現タイプ」とその小見出しでの記述(散在柔組織など)への参照をこちらで
記述変更
現行用語集「柔組織」での木部柔組織・師部柔組織の記述は必ずしも必要ないと考え削除
木材学会会員の意見を受け修正
「柔組織の出現タイプ」->「柔組織の配列」
じゅうそしきすとらんど
柔組織ストランド
同義語: じゅうさいぼうすとらんど 柔細胞ストランド
parenchyma strand
二つまたはそれ以上の柔細胞が軸方向に連なったもので、この連なりは単一の紡錘形始原細胞から由来する。
参照: ぼうすいけいじゅうさいぼう 紡錘状柔細胞
記述変更
縦に連なった→軸方向に連なった
柔細胞ストランド→柔組織ストランドへの用語変更
「広葉樹材の識別」「針葉樹材の識別」「樹皮の識別」「木質の形成」では「柔組織ストランド」
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>二つまたはそれ以上の柔細胞が軸方向に連なったもので、この連なりは単一の紡錘形始原細胞から由来する。
<新案>二つ以上の柔細胞が軸方向に連なって、全体として紡錘形の1個の細胞のような外形を呈する柔組織。単一の紡錘形始原細胞から由来し、水平面分裂により生じた柔細胞により柔細胞ストランドが形成される。
じゅうそしきのはいれつ
柔組織の配列
appearance of parenchyma
主に横断面で観察される木部の軸方向柔組織の配列は以下のような用語を用いて表現される。
新規項目
下の各用語を整理してまとめて記載
木材学会会員の意見を受け修正
柔組織の出現タイプ->柔組織の配列
<旧案>主に横断面で観察される木部の軸方向柔組織の出現の仕方のタイプは以下のような用語を用いて表現される。
<新案>主に横断面で観察される木部の軸方向柔組織の配列は以下のような用語を用いて表現される。
・網状柔組織とはしご状柔組織を内包するため、「軸方向柔組織の配列」とはしない
どくりつじゅうそしき
独立柔組織
apotracheal parenchyma
道管と接していない軸方向柔組織。
柔組織の出現タイプとして再整理したために修文
現行用語集の注は整理したため不要
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>道管または道管状仮道管と接触していない軸方向柔組織。
<新案>道管と接していない軸方向柔組織。
さんざいじゅうそしき
散在柔組織
diffuse parenchyma
軸方向柔細胞が繊維の間に不規則に分布する独立柔組織。
柔組織の出現タイプとして再整理したために修文
「横断面で見るとき、」削除(「柔組織の出現タイプ」で横断面での観察を記述しているため不要と判断)
繊維の間に単一な独立型の柔細胞ストランド...→繊維の間に単一であるかまたは二つ集合した独立型の柔組織ストランド...
(「二つ集合」IAWA hardwood listおよび広葉樹の識別から)
(柔細胞ストランド→柔組織ストランド 「柔組織ストランド」の項参照)
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>繊維の間に単一であるかまたは二つ集合した独立型の柔組織ストランドまたは紡錘形柔細胞が不規則に分布する独立柔組織。
<新案>軸方向柔細胞が繊維の間に不規則に分布する独立柔組織。
・道管状仮道管については、道管状仮道管との接触や道管-柔組織間の壁孔対の有無などの詳細は用語集ではなく教科書等に議論を譲るのが妥当と判断し、ここでは道管に限定する
・接触->接している
たんせっせんじょうじゅうそしき
短接線状柔組織
diffuse-in-aggregates parenchyma
同義語: diffuse-zonate parenchyma
軸方向柔細胞が短い接線状に (もしくは接線方向からやや傾斜して) 連なる傾向を示す独立柔組織。
「横断面で見るとき、」削除(「柔組織の出現タイプ」で横断面での観察を記述しているため不要と判断)
柔組織の出現タイプとして再整理したために修文
放射組織から放射組織まで→削除
集まる傾向→連なる傾向
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>短い接線状に (もしくは接線方向からやや傾斜して) 連なる傾向を示す独立柔組織。
<新案>軸方向柔細胞が短い接線状に (もしくは接線方向からやや傾斜して) 連なる傾向を示す独立柔組織。
ずいはんじゅうそしき
随伴柔組織
paratracheal parenchyma
道管に接している軸方向柔組織。独立帯状柔組織などで偶発的に道管と接する場合もあるが、これらは随伴柔組織とは呼ばない。
柔組織の出現タイプとして再整理したために修文
現行用語集の注は整理したため不要
2文目追加
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>道管または道管状仮道管と接触している軸方向柔組織。独立帯状柔組織などで偶発的に道管または道管状仮道管と接する場合もあるが、これらは随伴柔組織とは呼ばない。
<新案>道管に接している軸方向柔組織。独立帯状柔組織などで偶発的に道管と接する場合もあるが、これらは随伴柔組織とは呼ばない。
・道管状仮道管については、道管状仮道管との接触や道管-柔組織間の壁孔対の有無などの詳細は用語集ではなく教科書等に議論を譲るのが妥当と判断し、ここでは道管に限定する
・接触->接している
ずいはんさんざいじゅうそしき
随伴散在柔組織
scanty paratracheal parenchyma
道管の周囲に不完全なさや状に配列するか、あるいは孤立的に現われる随伴柔組織。
しゅういじゅうそしき
周囲柔組織
vasicentric parenchyma
道管の周囲をさや状に完全に取り囲む随伴柔組織。周囲柔組織のさやの厚さは多様で,横断面で円形またはやや楕円形を示す。
柔組織の出現タイプとして再整理したために修文
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>道管の周囲をさや状に完全に取り囲む随伴柔組織。周囲柔組織のさやの厚さはいろいろで,横断面で円形またはやや楕円形を示す。
<新案>道管の周囲をさや状に完全に取り囲む随伴柔組織。周囲柔組織のさやの厚さは多様で,横断面で円形またはやや楕円形を示す。
よくじょうじゅうそしき
翼状柔組織
aliform parenchyma
道管の接線方向の側方に翼状の広がりを持つ随伴柔組織。柔組織がまぶた状または菱形に道管の周囲を取り囲むものをまぶた型翼状柔組織 (lozenge-aliform parenchyma)、カモメの翼のように接線方向に細長く伸長するものをかもめ型翼状柔組織 (winged-aliform parenchyma) と呼ぶ。
柔組織の出現タイプとして再整理したために修文
「横断面で見るとき、」削除(「柔組織の出現タイプ」で横断面での観察を記述しているため不要と判断)
ダイヤモンド状→菱形
接線方向に伸長する→接線方向に細長く伸長する
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>道管の側方に翼状の広がりをもつ随伴柔組織。柔組織がまぶた状または菱形に道管の周囲を取り囲むものを、まぶた型翼状柔組織 (lozenge-aliform parenchyma)、カモメの翼のように接線方向に細長く伸長する場合を、かもめ型翼状柔組織 (winged-aliform parenchyma) と呼ぶ。
<新案>道管の接線方向の側方に翼状の広がりを持つ随伴柔組織。柔組織がまぶた状または菱形に道管の周囲を取り囲むものをまぶた型翼状柔組織 (lozenge-aliform parenchyma)、カモメの翼のように接線方向に細長く伸長するものをかもめ型翼状柔組織 (winged-aliform parenchyma) と呼ぶ。
れんごうよくじゅうそしき
連合翼状柔組織
confluent parenchyma
二つ以上の道管の周囲の随伴柔組織が連合して翼状に配列する軸方向柔組織。しばしば不規則な接線状または斜めの帯を形成する
柔組織の出現タイプとして再整理したために修文
「横断面で見るとき、」削除(「柔組織の出現タイプ」で横断面での観察を記述しているため不要と判断)
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>不規則な接線状または斜めの帯を形成する相互に連合した翼状柔組織。
<新案>二つ以上の道管の周囲の随伴柔組織が連合して翼状に配列する軸方向柔組織。しばしば不規則な接線状または斜めの帯を形成する
ぼうじょうじゅうそしき
帽状柔組織
unilateral paratracheal parenchyma (unilaterally paratracheal parenchyma)
道管の外側もしくは内側の片側のみに半円形に帽子形をなす随伴柔組織。道管の外側に限られるものを外側帽状柔組織 (abaxial parenchyma)、内側に限られるものを内側帽状柔組織 (adaxial parenchyma) と呼ぶ。
柔組織の出現タイプとして再整理したために修文
おびじょうじゅうそしき
帯状柔組織
banded parenchyma
同心円状の線または帯をなす軸方向柔組織。道管と接していないものを独立帯状柔組織 (apotracheal banded parenchyma)、道管と接しているものを随伴帯状柔組織 (paratracheal banded parenchyma) と呼ぶ (よって、多くの道管にわたって連続する連合翼状柔組織は、随伴帯状柔組織ともみなされる)。
柔組織の出現タイプとして再整理したために修文
「横断面で見るとき、」削除(「柔組織の出現タイプ」で横断面での観察を記述しているため不要と判断)
随伴帯状柔組織と連合翼状柔組織は同義語である→多くの道管にわたって連続する連合翼状柔組織は、随伴帯状柔組織ともみなされる
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>同心円状の線または帯をなす軸方向柔組織。道管と明らかに無関係なものを独立帯状柔組織 (apotracheal banded parenchyma)、道管と接触しているものを随伴帯状柔組織 (paratracheal banded parenchyma) と呼ぶ (よって、多くの道管にわたって連続する連合翼状柔組織は、随伴帯状柔組織ともみなされる)。
<新案>同心円状の線または帯をなす軸方向柔組織。道管と接していないものを独立帯状柔組織 (apotracheal banded parenchyma)、道管と接しているものを随伴帯状柔組織 (paratracheal banded parenchyma) と呼ぶ (よって、多くの道管にわたって連続する連合翼状柔組織は、随伴帯状柔組織ともみなされる)。
・道管と無関係、道管と接触->道管と接していない、道管と接する
あみじょうじゅうそしき
網状柔組織
reticulate parenchyma
帯状柔組織が規則的な間隔で配列し、帯状柔組織と放射組織の幅と配列間隔がほぼ同じ場合に、横断面で帯状柔組織と放射組織が作る網状の紋様に対する記述的な用語。
柔組織の出現タイプとして再整理したために修文
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>放射組織と帯状柔組織の帯または線が規則的にほぼ同じ間隔および距離をとり,横断面上に形づくられる網状の紋様に対する記述的な用語。
<新案>帯状柔組織が規則的な間隔で配列し、帯状柔組織と放射組織の幅と配列間隔がほぼ同じ場合に、横断面で帯状柔組織と放射組織が作る網状の紋様に対する記述的な用語。
はしごじょうじゅうそしき / かいだんじゅうそしき
はしご状柔組織 / 階段柔組織
scalariform parenchyma
帯状柔組織が規則的な間隔で配列し、放射組織と比べ帯状柔組織の幅と配列間隔が狭い場合に、横断面で帯状柔組織と放射組織が作るはしご状の紋様に対する記述的な用語。
柔組織の出現タイプとして再整理したために修文
階段→はしご状 / 階段
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>規則的にほぼ同じ間隔および距離をとった帯状柔組織の帯または線の間隔が明らかに放射組織の間隔より狭い場合、横断面上に形づくられるはしご状の紋様に対する記述的な用語。
<新案>帯状柔組織が規則的な間隔で配列し、放射組織と比べ帯状柔組織の幅と配列間隔が狭い場合に、横断面で帯状柔組織と放射組織が作るはしご状の紋様に対する記述的な用語。
せいちょうりんかいじょうじゅうそしき
成長輪界状柔組織
同義語: ねんりんじょうじゅうそしき 年輪状柔組織
marginal parenchyma
1成長期の終わりまたは始めに単独または多様な幅の多少とも連続した層をなして生ずる独立帯状柔組織。1成長期の終わりにできるものをターミナル柔組織 (terminal parenchyma)、始めにできるものをイニシャル柔組織 (initial parenchyma) と呼ぶ。
注: かつてターミナル柔組織とイニシャル柔組織を区別せず、成長輪界状柔組織をすべてターミナル柔組織と呼んだ場合があった。
年輪状柔組織→成長輪界状柔組織
柔組織の出現タイプとして再整理したために修文
イニシャル柔組織とターミナル柔組織を統合
イニシアル→イニシャル(initialは現在イニシャルと表記されることが普通)
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>1成長期の終わりまたは始めに単独またはいろいろの幅の多少とも連続した層をなして生ずる独立帯状柔組織。1成長期の終わりにできるものをターミナル柔組織 (terminal parenchyma)、始めにできるものをイニシャル柔組織 (initial parenchyma) と呼ぶ。
<新案>1成長期の終わりまたは始めに単独または多様な幅の多少とも連続した層をなして生ずる独立帯状柔組織。1成長期の終わりにできるものをターミナル柔組織 (terminal parenchyma)、始めにできるものをイニシャル柔組織 (initial parenchyma) と呼ぶ。
・いろいろ->多様
しゅうだんかんこう
集団管孔
pore cluster
→ ふくごうどうかん 複合道管 – 集団道管
新規項目複合道管への参照とする
「管孔および関連語について」参照
しゅうだんどうかん
集団道管
vessel cluster
→ ふくごうどうかん 複合道管 – 集団道管
新規採用用語
新規項目複合道管の小見出しとして記述
「管孔および関連語について」参照
じゅうねんりん
重年輪
double ring / multiple ring
同義語: multiple annual ring
二つ (あるいはそれ以上) の成長輪からなる年輪。
記述変更
生長→成長
現行用語集でdouble ring or multiple ringとなっているのを、double ring / multiple ringと表記変更
材質用語集にもあり(定義同じ)
しゅうひ
周皮
periderm
幹や根、まれにその他の器官の表皮に代わる二次的な保護組織。コルク組織、コルク形成層およびコルク皮層からなる。
定義は「樹皮の識別」にならった(樹皮関連はその記載がIAWA用語集(や現行木材学会用語集)よりIAWA bark listの方が適切にアップデートされている場合が多い)
じゅうもんこう
重紋孔
→ へきこう 壁孔
削除
紋孔は完全に壁孔に置き換えるべきと考え、重紋孔についても見出し語からの削除を提案
じゅしこう
樹脂溝
resin duct
→ じゅしどう 樹脂道
じゅしどう
樹脂道
同義語: じゅしこう 樹脂溝
resin canal
同義語: resin duct
樹脂を含む細胞間道。
じゅずじょうまったんへき
じゅず状末端壁
nodular end wall
断面でじゅず玉状を呈する柔細胞の末端壁。
記述変更
じゅず状→数珠状という意見あり–ひらがなとした
じゅくざい
熟材
ripewood
→ しんざい 心材
見出し語から削除
理由: 現在では熟材またripewoodという用語はほとんど使われなくなった。また成熟材/未成熟材と紛らわしいこともあり、使用を推奨しないようにするためにも見出し語からは削除することが適切と考えた。なお、心材の項の注として熟材の記載は残す。
参考: IAWA用語集にはripewoodは全くでてこない
じゅひ
樹皮
bark
形成層の外側にあるすべての組織。成木では普通、内樹皮 (inner bark、生活組織) (参照: しぶ 篩部) および外樹皮 (outer bark、主に死滅組織) (参照: りちどーむ リチドーム) に分けられる。
記述変更
非専門語→便宜上の用語の変更提案があったが、樹皮とコルクについては「非専門語」の方が適切と判断
外樹皮を、死滅組織→主に死滅組織
材質用語集にもあり(定義異なる)
じゅひ
樹皮
bark
樹幹の外側にある材以外の組織。主として二次篩部とコルク組織からなる。
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>木部円柱体の外側の全組織を包括する非専門語。成木では普通、内樹皮 (inner bark、生活組織) (参照: しぶ 篩部) および外樹皮 (outer bark、主に死滅組織) (参照: りちどーむ リチドーム) に分けられる。
<新案>形成層の外側にあるすべての組織。成木では普通、内樹皮 (inner bark、生活組織) (参照: しぶ 篩部) および外樹皮 (outer bark、主に死滅組織) (参照: りちどーむ リチドーム) に分けられる。
しゅんざい
春材
spring wood
→ そうざい 早材
削除
春材、夏材、秋材については、早材、晩材の項で古語として紹介することはあってもよいが、そもそも不適切な用語であるため、見出し語からの削除を提案する。
しょうがいさいぼうかんどう
傷害細胞間道
traumatic intercellular canal
生立木が受けた傷害に反応して形成される細胞間道。
注: しばしば大きさは不定で、軸方向または放射方向に走る。
記述変更
大きさは異常で→大きさは不定で
しょうがいじゅうそしき
傷害柔組織
traumatic parenchyma
同義語: wound parenchyma
形成層にあたえられた傷害に起因する、大きさ、形および分布の不規則な柔細胞の組織。
しょうがいりん
傷害輪
traumatic ring
傷害を受けた形成層によって作られた傷害組織の帯。
注: 普通は霜 (一般に遅霜)、旱魃および火災が原因となる。この組織は一般に不規則な形の傷害柔組織を含み、かつゴム質あるいは樹脂の存在によって濃く着色している傾向がある。細胞間道および乾燥割れ (drought crack) が時に存在する。原因が分かっている場合には霜輪、乾輪などと呼ばれる。
記述変更
ひでり→旱魃
おそ霜→遅霜(漢字化)
ふつう→普通(漢字化)
ひでり→日照り(漢字化)
往々→時に(平易化)
わかって→分かって(漢字化)
drought cracks→乾燥割れ(drought crack) 「乾燥割れ」は材質用語集では別の意味(製材等が乾燥によってわれること)で定義
材質用語集にもあり(定義異なる)
気象害、病害、虫害などにより傷害を受けた形成層が生産した帯状または成長輪様の傷害組織。原因により、霜輪 (低温に起因)、乾輪 (乾燥に起因) などと呼ばれることがある。
しようそ
篩要素 / 師要素
sieve element
篩部において同化物質の転流機能を果たしている篩細胞および篩管要素の総称。
参照: しさいぼう 篩細胞、しかんようそ 篩管要素
新規採用用語
師→篩
既出の「師部」において現行用語集の「師細胞,師管要素」という標記を「篩要素(篩細胞、篩管要素)」とする(篩要素はIAWA用語集の「sieve element」に相当)とすることに伴って新規採用
しんざい
心材
heartwood
材の内方にあり樹木の生立時すでに生きた細胞を失い、貯蔵物質 (たとえばデンプン) は消滅するか心材物質に転化してしまっている部分。辺材より色が濃い場合 (着色心材) と辺材と色があまり変わらない場合 (淡色心材) がある。
参照: いこうざい 移行材、へんざい 辺材
記述変更
廃語とされていたduramenの削除
定義に「また一般に水分通導機能が失われて、機械的支持機能だけをもつ。」を追加→材質用語集とすり合わせの上削除
澱粉→デンプン(化学物質名としてカタカナ化)
往々→しばしば
ふつう→普通
辺材参照追加
注の熟材の部分を削除し、着色心材と淡色心材の記述を追加
材質用語集にもあり(定義最後の一文追加)
材の内方にあり樹木の生立時すでに生きた細胞を失い、貯蔵物質 (たとえばデンプン) は消滅するか心材物質に転化してしまっている部分。辺材より色が濃い場合 (着色心材) と辺材と色があまり変わらない場合 (淡色心材) がある。着色心材については、商業的に、赤味・赤身 (あかみ) と呼ばれる場合がある。
しんしょう
針晶
acicular crystal
→ けっしょう 結晶 – 針晶
2022年11月案では見出し語になっていなかったが見出し語に採用
しんせいもくせんい
真正木繊維
libriform wood fiber
細長くて一般に厚壁を持ち、かつ単壁孔をもつ木部細胞。普通は道管要素および柔組織ストランドの長さから推測した形成層始原細胞の長さより明らかに長いことが多い。
参照: せんいじょうかどうかん 繊維状仮道管、もくぶせんい 木部繊維
記述変更
ふつう→普通
ここに木部繊維(と木繊維)について記述することが検討されたが、「木部繊維」の項で記載があるのと、「木繊維」の採用は見送りとなったので削除
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>細長くて一般に厚壁をもち、かつ単壁孔をもつ細胞。普通道管要素および柔組織ストランドの長さから推測した形成層始原細胞の長さより明らかに長い。
<新案>細長くて一般に厚壁を持ち、かつ単壁孔をもつ木部細胞。普通は道管要素および柔組織ストランドの長さから推測した形成層始原細胞の長さより明らかに長いことが多い。
・「持ち」漢字化
・1文目最後「木部細胞」
・普通->普通は
・最後「ことが多い」
じんぴせんい
靭皮繊維
bast fiber
木部以外に生じる繊維。
注: 「靭皮繊維」はかつては主として篩部の繊維の意味で用いられた用語であるが、現在ではその意味では「篩部繊維」が用いられ、「靭皮繊維」は皮層などを含め木部以外の繊維の総称として用いられることが多い。
記述変更
じん皮→靭皮(漢字化)
師部の繊維→木部以外に生じる繊維(現在では師部の繊維にとどまらず、皮層などの繊維についても用いられる)
参考Esau's Plant Anatomy Glossary –Originally phloem fiber, now any extraxylary fiber.
ずい
髄
pith
茎 (幹) の中心部で、主として柔組織からなる。
記述変更
定義修文
材質用語集にもあり(定義異なる)
樹幹または枝の中央にある主として柔細胞からなる組織。形状や大きさは樹木の種によって異なる場合がある。
ずいせん
髄線
削除
放射組織のことだが、見出し語から削除
「放射組織」の項で「古い用語」として記載
ずいはん
髄斑
削除
ピスフレックのことだが、見出し語から削除
「ピスフレック」の項で「古い用語」として記載
ずいはんおびじょうじゅうそしき
随伴帯状柔組織
paratracheal banded parenchyma
→ じゅうそしきのはいれる 柔組織の配列 – 帯状柔組織
見出し語とするが、「柔組織の出現タイプ」を参照
柔組織の出現タイプ->柔組織の配列
ずいはんさんざいじゅうそしき
随伴散在柔組織
scanty paratracheal parenchyma
→ じゅうそしきのはいれつ 柔組織の配列 – 随伴柔組織 – 随伴散在柔組織
見出し語とするが、「柔組織の出現タイプ」を参照
柔組織の出現タイプ->柔組織の配列
ずいはんじゅうそしき
随伴柔組織
paratracheal parenchyma
→ じゅうそしきのはいれつ 柔組織の配列 – 随伴柔組織
見出し語とするが、「柔組織の出現タイプ」を参照
柔組織の出現タイプ->柔組織の配列
すいへいさいぼうかんどう
水平細胞間道
radial intercellular canal
→ ほうしゃさいぼうかんどう 放射細胞間道
水平細胞間道は、放射細胞間道の同義語として扱うこととし、放射細胞間道を主たる用語とする。
すいへいへき
水平壁
transverse wall
→ 図参照
現行用語集にならい、図に水平壁とか側壁の図をいれて、それを参照
すぎがたへきこう
スギ型壁孔
taxodioid pitting
→ ぶんやへきこうのかた 分野壁孔の型 – スギ型壁孔
「壁孔」ではなく、新規項目「分野壁孔のタイプ」を参照することとする
タイプ->型
すくれれいど
スクレレイド
sclereid
→ こうへきいけいさいぼう 厚壁異形細胞
記述変更
「樹皮の識別」にならい、スクレレイドを「厚壁異形細胞 (同義語: スクレレイド)」に変更
見出し語としてスクレレイドを採用し、厚壁異形細胞を参照とする
「スクレレイド、厚壁組織、厚壁細胞、ファイバースクレレイドについて」参照
すとらんどかどうかん
ストランド仮道管
strand tracheid
単一の紡錘形始原細胞に由来するストランド (軸方向に連続する細胞群) を構成する個々の仮道管。針葉樹に認められ、ストランドが仮道管のみからなる場合と柔細胞が混在する場合がある。
古い用語: かくへきかどうかん 隔壁仮道管 septate tracheid
記述変更
セミコロンを丸におきかえ
全体に修文
せいちょうそう
成長層
growth layer
明らかに1成長期間に形成された材または樹皮の層。特に温帯の樹木の二次木部では、しばしば成長層を早材および晩材に分ける。
記述変更
生長→成長
;→。
早樹皮と晩樹皮の削除(用語として採用しない)
特に温帯の木材→特に温帯の樹木の二次木部(早樹皮晩樹皮を削除したので記述変更)
現行用語集
明らかに1生長期間に形成された材または樹皮の層; しばしば、特に温帯の木材では、早材または早樹皮および晩材または晩樹皮に分けられる(IAWA)。
材質用語集にもあり(定義同じ)
せいちょうりん
成長輪
growth ring
材および樹皮において横断面で見た場合の成長層。
記述変更
生長→成長
材質用語集にもあり(定義同じ)
せいちょうりんかい
成長輪界
growth ring boundary
成長輪の外縁。
参照: ねんりんかい 年輪界
記述変更
生長→成長
「年輪界」を新規採用して参照とした(「同義語: 年輪界」という提案もあったが、同義ではないため、参照に変更)
せいちょうりんかいじょうじゅうそしき
成長輪界状柔組織
marginal parenchyma
→ じゅうそしきのはいれつ 柔組織の配列 – 帯状柔組織 – 成長輪界状柔組織
記述変更
年輪状柔組織→成長輪界状柔組織
現行用語集で年輪状柔組織という見出し語があるが、成長輪界状に変更
柔組織の出現タイプ->柔組織の配列
せきさいぼう
石細胞
stone cell
同義語: brachysclereid
ほぼ等径の細胞で顕著な層状構造をなした非常に厚い二次壁をもつ厚壁異形細胞。しばしば分岐壁孔を持つ。
参照: こうへきいけいさいぼう 厚壁異形細胞、こうへきさいぼう 厚壁細胞、こうへきそしき 厚壁組織
記述変更
「例: 厚壁チロース」削除(チロースは細胞ではない)
厚壁異形細胞(スクレレイド)の一種として記述変更(Esau's plant anatomyの定義)
スクレレイドを参照していたが、新規採用用語「厚壁細胞」「厚壁組織」とスクレレイドを厚壁異形細胞としたので変更
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>ほぼ等径の細胞で顕著な層状構造をなした非常に厚い二次壁をもつ厚壁異形細胞。しばしば分岐壁孔が存在する。
<新案>ほぼ等径の細胞で顕著な層状構造をなした非常に厚い二次壁をもつ厚壁異形細胞。しばしば分岐壁孔を持つ。
せっせんへき
接線壁
tangential wall
→ 図参照
2022年11月案では見出し語になっていなかったが見出し語に採用
ぜらちんせんい
ゼラチン繊維
gelatinous fiber
木化の程度が低くセルロースに富むゼラチン状を呈する層 (ゼラチン層) を細胞壁の内層として持つ繊維。引張あて材で顕著に認められる。
古い用語: こうしつせんい 膠質繊維
記述変更
全面的に修文
定義の「膠質状」→「ゼラチン状」
Mucilaginous fibreの削除
現行用語集
sen'i, Zerachin-. ゼラチン繊維 ぜらちんせんい Gelatinous fibre (Syn. Mucilaginous fibre (廃)). —細胞壁の内側の木化の程度が多少とも悪く、かつ膠質状を呈する繊維。訳注: Syn. 膠質繊維。
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>木化の程度が悪くセルロースに富むゼラチン状を呈する層 (ゼラチン層) を細胞壁の内側に持つ繊維。引張あて材で顕著に認められる。
<新案>木化の程度が低くセルロースに富むゼラチン状を呈する層 (ゼラチン層) を細胞壁の内層として持つ繊維。引張あて材で顕著に認められる。
・篩部のゼラチン繊維も含むことができるように、「木部繊維」とはしない。
せんい
繊維
fiber / fibre
長く、通常先端が細く、木化したあるいは木化していない二次壁を持つ細胞。木材解剖学では、道管要素、篩管要素、篩細胞および柔細胞以外の全ての細長い細胞に対する総称として便宜的に用いられる。
注: 英語のつづり (fiber / fibre) については前文参照
記述変更
新規用語「厚壁細胞」を用いて定義しなおし。
現行用語集の注にあった、木部繊維=真正木繊維+繊維状仮道管、という記述は木部繊維の項に移行。
英語のつづりの順番を変え、理由などの詳細は前文(まだ用意されていない)に記述(主な変更内容を参照のこと)
「スクレレイド、厚壁組織、厚壁細胞、ファイバースクレレイドについて」参照
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>長く、通常先端が細く、木化したあるいは木化していない二次壁を持つ厚壁細胞。木材解剖学では道管及び柔組織以外の全ての細長い細胞に対する総称として便宜的に用いられる。
<新案>長く、通常先端が細く、木化したあるいは木化していない二次壁を持つ細胞。木材解剖学では、道管要素、篩管要素、篩細胞および柔細胞以外の全ての細長い細胞に対する総称として便宜的に用いられる。
・道管及び柔組織->道管要素、篩管要素、篩細胞および柔細胞(細胞について言及しているため修正、その他の細胞種も加える、「および」は他の用語に合わせる)
・ここでは木部だけではなく、篩部の繊維についても述べていると考える
・厚壁細胞->細胞(IAWA Hardwood listでわざわざFibre wall thicknessの項目を設けて、very thin-walledからvery thick-walledまで3区分しているので、定義で「..厚壁細胞」などとすると、混乱を招くと考えた)
せんいじょうかどうかん
繊維状仮道管
fiber-tracheid / fibre-tracheid
繊維状の仮道管。普通は、厚壁で細胞内腔が小さく両端が尖り、有縁壁孔対はレンズ状ないし線形の孔口を持つ。
注: 繊維状仮道管と真正木繊維との間には漸進的な中間型が認められ,両者を明確に区分することは困難な場合が多い。
記述変更
fibre → fiber置き換え
セミコロン→丸
ふつう→普通、内こう→内腔
現行用語集にあった詳細な注を簡潔に
現行用語集の「この用語は木本被子植物の繊維状の仮道管に対してのみでなく,裸子植物の晩材部仮道管に対しても用いられる。」削除(現在この使用例はほとんどない)
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>繊維状の仮道管。普通厚壁で細胞内腔が小さく両端が尖り、有縁壁孔対はレンズ状ないし線形の孔口をもつ。
<新案>繊維状の仮道管。普通は、厚壁で細胞内腔が小さく両端が尖り、有縁壁孔対はレンズ状ないし線形の孔口を持つ。
・普通->普通は、
・「持つ」漢字化
せんいじょうこうへきいけいさいぼう
繊維状厚壁異形細胞
同義語: ふぁいばーすくれれいど ファイバースクレレイド
fiber-sclereid / fibre-sclereid
繊維と厚壁異形細胞の中間的な特徴を持つ細長い厚壁細胞。
新規採用用語
fibre → fiber置き換え
スクレレイド→厚壁異形細胞への変更
「スクレレイド、厚壁組織、厚壁細胞、ファイバースクレレイドについて」参照
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>繊維とスクレレイドの中間的な特徴を持つ細長い厚壁細胞。
<新案>繊維と厚壁異形細胞の中間的な特徴を持つ細長い厚壁細胞。
・スクレレイド->厚壁異形細胞
せんいじょうどうかんようそ
繊維状道管要素
fibriform vessel member / fibriform vessel element
比較的直径が小さくて繊維状仮道管に似た形態の道管要素。
記述変更
英語の2語の並べ方変更 or → /
せんけいへきこう
線形壁孔
linear pit
→ へきこう 壁孔 – 線形壁孔
せんこう
穿孔
perforation
→ どうかんせんこう 道管穿孔
新規採用見出し
見出し語として新規採用するが、道管穿孔を参照
せんこうえん
穿孔縁
perforation rim
単穿孔の周囲に縁をなしている穿孔板の残存部。
記述変更
道管穿孔に関連する用語すべてについて、せん孔→穿孔(漢字化)
せんこうばん
穿孔板
perforation plate
1道管内において2個の道管要素が互いに癒合する細胞壁面 (はじめは穿孔がない) に対する便宜上の用語。
参照: どうかんせんこう 道管穿孔
記述変更
道管穿孔に関連する用語すべてについて、せん孔→穿孔(漢字化)
参照追加
せんこうばんのかた
穿孔板の型
types of perforation plate
穿孔板の型は以下のような用語を用いて表現される。
参照: どうかんせんこう 道管穿孔
新規項目
網状、階段、マオウ型を小見出しにするために新規項目を作った
道管穿孔に関連する用語すべてについて、せん孔→穿孔(漢字化)
参照追加
木材学会会員の意見を受け修正
タイプ->型
あみじょうせんこうばん
網状穿孔板
reticulate perforation plate
網目状を呈する多孔穿孔のある穿孔板。ノウゼンカズラ科 Bignoniaceaeのある種のものに好例が見られる。
記述変更
見られるものが好例である→好例が見られる(マオウ型穿孔板と表記を統一)
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>網目状を呈する多孔穿孔のある穿孔板 (ノウゼンカズラ科 Bignoniaceaeのある種のものに好例が見られる)。
<新案>網目状を呈する多孔穿孔のある穿孔板。ノウゼンカズラ科 Bignoniaceaeのある種のものに好例が見られる。
はしごじょうせんこうばん / かいだんせんこうばん
はしご状穿孔板 / 階段穿孔板
scalariform perforation plate
細長くて平行な開口をもつ多孔穿孔のある穿孔板。開口の間に残された細胞壁をbar(s)と呼ぶ。
記述変更
穴→開口
穴の間に残された部分→開口の間に残った細胞壁(修文)
階段穿孔板→はしご状穿孔板 / 階段穿孔板
まおうがたせんこうばん
マオウ型穿孔板
ephedroid perforation plate
円形の開口が小さい群をなしている穿孔板。マオウ属 Ephedra に好例が見られる。
記述変更
穴→開口
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>円形の開口が小さい群をなしている穿孔板 (マオウ属 Ephedra に好例が見られる)。
<新案>円形の開口が小さい群をなしている穿孔板。マオウ属 Ephedra に好例が見られる。
そうかいじょう
層階状
storied / storeyed
材における軸方向の細胞あるいは放射組織が接線断面において水平方向に並んで配列した場合に、これらの細胞あるいは組織に対して用いられる用語。
注: この用語は、たとえば「層階状柔組織」のように特定の組織に対して用いられる場合と、「層階状構造を有する材」というように一般的に用いられる場合とがある。層階状構造の存在は肉眼で認められるリップルマークの原因である。
記述変更
"" → 「」
そうかいじょうけいせいそう
層階状形成層
storied cambium
始原細胞の水平的配列を特徴とする形成層。
そうかいじょうはいれつようそ
層階状配列要素
storied elements
接線面で見た場合に、軸方向の細胞あるいは放射組織が水平方向に規則的に並んで層状に配列したとき、それらの細胞。
参照: りっぷるまーく リップルマーク
記述変更
修文してわかりやすい記述とした
現行用語集: 接線面で見た場合に層状に配列した細胞
リップルマークが層階状配列に起因していることから参照する
そうざい
早材
earlywood
成長輪の中で密度が低く、細胞の径が大きく、成長期の始めに形成された部分。
注1: 早材の英語として、古い用法ではearly woodと2単語での表記が多く、旧国際木材解剖用語集(1975)でも「early wood」とされていたが、近年では「earlywood」と1単語で表記することが国際的に定着している。
注2: 古い文献では、早材について「春材」の記載がしばしば行われていたことから古い用語として記載するが、本用語集では、「春材」、「夏材」および「秋材」の使用は推奨しない。
古い用語: しゅんざい 春材 spring wood
参照: ばんざい 晩材、せいちょうそう 成長層
記述変更
生長→成長
現行用語集はearly woodとなっているが、earlywoodに変更するので、注をいれた
春材などを見出し語から削除するので注をいれた。
材質用語集にもあり(定義同じだが注なし)
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>成長輪の中で密度が低く、細胞が大きく、成長期の始めに形成された部分。
注1: 早材の英語として、古い用法ではearly woodとスペースを入れる記載が多く、旧国際木材解剖用語集(1975)でも「early wood」とされていたが、近年では「earlywood」と一語で表記することが国際的に定着している。
注2: 古い文献では、早材について「春材」の記載がしばしば行われていたことから古い用語として記載するが、本用語集では、「春材」、「夏材」および「秋材」の使用は推奨しない。
<新案>成長輪の中で密度が低く、細胞の径が大きく、成長期の始めに形成された部分。
注1: 早材の英語として、古い用法ではearly woodと2単語での表記が多く、旧国際木材解剖用語集(1975)でも「early wood」とされていたが、近年では「earlywood」と1単語で表記することが国際的に定着している。
注2: 古い文献では、早材について「春材」の記載がしばしば行われていたことから古い用語として記載するが、本用語集では、「春材」、「夏材」および「秋材」の使用は推奨しない。
・細胞が大きく->細胞の径が大きく
・注を修文
そうじゅひ
早樹皮
削除
早樹皮、晩樹皮、硬樹皮、軟樹皮は現在ほとんど用いられることがない
そうりん 霜輪
→ しょうがいりん 傷害輪
frost ring
記述変更
傷害輪の一形態として記述
そくしょう 束晶
→ けっしょう 結晶 – 束晶
raphid
記述変更
結晶の小見出しとして記述
そくへき
側壁
longitudinal wall / lateral wall
→ 図参照
現行用語集と同様、図示
木材学会会員の意見を受け修正
英語にlateral wallを追加
だいようせんい
代用繊維
削除
紡錘形柔細胞のことだが、現行用語集で(廃)とされ、英語のsubstitute fibreは(不賛)とされている。さらに、柔細胞を繊維と呼ぶことも適切ではないため、削除する。なお、近年この用語の使用例は非常に少ない。
たいるさいぼう
タイル細胞
tile cell
放射組織の中で放射方向の細胞列として平伏細胞の間に散在する、明らかに内容物を欠く特殊な直立細胞(まれに方形細胞)。細胞の高さが平伏細胞と同じドリオ (Dorio) 型、平伏細胞よりも高いプテロスペルム (Pterosperum) 型、両者の中間型がある。
注: アオイ科 Malvaceae 中の特定の樹種に出現する。
記述変更
現行用語集には、シナノキ目、アオイ目という記載があるが、APGなどでの目の見直しや参考文献からアオイ科に限って記載していいと判断した。
現行用語集では、「平伏細胞とほぼ同じ高さでありながら」という記載があるが、さまざまな教科書などに平伏細胞より高いプテロスペルム型の記述があることから大幅に修文。なお、DorioやPterosperumは属の名前なのでイタリックとする。
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>放射組織の中で普通平伏細胞の間に混じっていろいろな長さに水平方向に連続している、明らかに内容物を欠く特殊な直立細胞。細胞の高さが平伏細胞と同じドリオ (Dorio) 型、平伏細胞よりも高いプテロスペルム (Pterosperum) 型、両者の中間型がある。
<新案>放射組織の中で放射方向の細胞列として平伏細胞の間に散在する、明らかに内容物を欠く特殊な直立細胞(まれに方形細胞)。細胞の高さが平伏細胞と同じドリオ (Dorio) 型、平伏細胞よりも高いプテロスペルム (Pterosperum) 型、両者の中間型がある。
たいれつへきこう
対列壁孔
opposite pitting
→ へきこうのそんざいとはいれつ 壁孔の存在と配列 – 対列壁孔
記述変更
新規項目壁孔の存在と配列の小見出しとした
たこうせんこう
多孔穿孔
multiple perforation
→ どうかんせんこう 道管穿孔 – 多孔穿孔
記述変更
せん孔→穿孔
道管穿孔の小見出しとした
たーみなるじゅうそしき
ターミナル柔組織
terminal parenchyma
→ じゅうそしきのはいれつ 柔組織の配列 – 帯状柔組織 – 成長輪界状柔組織
記述変更
新規項目柔組織の出現タイプの小見出しである成長輪界状柔組織の中で定義することとし、参照
柔組織の出現タイプ->柔組織の配列
たれつほうしゃそしき
多列放射組織
multiseriate ray
接線断面で見た場合に2細胞以上の幅をもつ放射組織。
参照: たんれつほうしゃそしき 単列放射組織
記述変更
参照追加
たんせっせんじょうじゅうそしき
短接線状柔組織
diffuse-in-aggregate parenchyma
→ じゅうそしきのはいれる 柔組織の配列 – 独立柔組織 – 短接線状柔組織
新規項目「柔組織の出現タイプ」の小見出し「独立柔組織」のさらに小見出しとした
柔組織の出現タイプ->柔組織の配列
たんせんこう
単穿孔
multiple perforation
→ どうかんせんこう 道管穿孔 – 単穿孔
記述変更
せん孔→穿孔
道管穿孔の小見出しとした
たんにんかん
タンニン管
tanniniferous tube / tanniniferous tubule
放射組織に存在する、タンニンを含む放射方向に細長い管状の単一の細胞または管状に放射方向に連続した細胞群。
参照: にゅうかん 乳管
新規採用用語
・Carquist Comparative Wood Anatomy、IAWA hardwood list、広葉樹材の識別、IAWA bark list、樹皮の識別では、タンニン管を乳管と類似としながらも区別しており、IAWA bark list、樹皮の識別ではさらに多くの分類群で発見されることを予想していることから採用
・英語としては、tubeとtubuleの違いが明確ではないため、日本語としては、タンニン管とし、樹皮の識別で採用されたタンニン小管は記載しない
・IAWA hardwood list, hark list, Carquist Comparative Wood Anatomyでは、tubesまたはtubulesと複数形での記載であるが、新用語集では他の用語を単数形で扱っていること、ここで積極的に複数形にする必然性がみつけられないことから単数形で表記する。
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>タンニンを含む単一の細胞または管状に連続した細胞。
<新案>放射組織に存在する、タンニンを含む放射方向に細長い管状の単一の細胞または管状に放射方向に連続した細胞群。
たんへきこう
単壁孔
simple pit
→ へきこう 壁孔 – 単壁孔
たんへきこうつい
単壁孔対
simple pit-pair
→ へきこうつい 壁孔対 – 単壁孔対
記述変更
壁孔対の小見出しとした
たんれつほうしゃそしき
単列放射組織
uniseriate ray
接線断面で見た場合に1細胞幅の放射組織。
参照: たれつほうしゃそしき 多列放射組織
記述変更
参照追加
ちゅうかんせんい 中間繊維
intermeidate fiber
削除
紡錘形柔細胞のことだが、代用繊維とともに見出し語から削除
理由:現行用語集で廃語とされている。柔細胞のことなのに「繊維」とするのは不適切。
ちゅうしょう
柱晶
styloid
→ けっしょう 結晶 – 柱晶
2022年11月案では見出し語になっていなかったが見出し語に採用
ちゅうそう
中層
削除
細胞間層のことだが、木材解剖学における使用例が少ないこと、あまり適切な用語とは考えられないことから、見出し語から削除
ちょうたんぶんれつそしき
頂端分裂組織
→ ぶんれつそしき 分裂組織 – 頂端分裂組織
apical meristem
記述変更
分裂組織の小見出しとすることにした
ちょくりつさいぼう
直立細胞
upright ray cell
広葉樹材の放射組織の細胞の一種で、放射断面での長軸が軸方向のもの。放射組織の上下端に列状に配列することが多い。
参照: ほうしゃそしき 放射組織、ほうけいさいぼう 方形細胞、へいふくさいぼう 平伏細胞
記述変更
直立細胞、平伏細胞、方形細胞はセットで全体的に記述を見直し。詳細
ちろーす
チロース
tylosis (複数形: tyloses)
同義語: tylose
道管の側壁の壁孔を通して、隣接する放射柔細胞または軸方向柔細胞が膨出し、道管の細胞内腔の一部あるいは全部を塞いだもの。
注: チロースは、きわめてわずかな場合から非常に多く泡状に密集している場合、薄壁から厚壁、壁孔のあるものとないもの、デンプン・結晶・樹脂・ゴム質などを含むものと含まないものとがあるなど、多様な形態を示す。
記述変更
膨大→膨出(広葉樹の識別にならった)
澱粉→デンプン(化学物質名としてカタカナ化)
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>道管の側壁の壁孔をとおして、隣接する放射柔細胞または軸方向柔細胞が膨出し、道管の細胞内腔の一部あるいは全部をふさいだもの。注: チロースはきわめてわずかな場合と非常に多く密集している場合、薄壁と厚壁、壁孔のあるものとないもの、デンプン・結晶・樹脂・ゴム質などを含むものと含まないものとがある。
<新案>道管の側壁の壁孔を通して、隣接する放射柔細胞または軸方向柔細胞が膨出し、道管の細胞内腔の一部あるいは全部を塞いだもの。注: チロースは、きわめてわずかな場合から非常に多く泡状に密集している場合、薄壁から厚壁、壁孔のあるものとないもの、デンプン・結晶・樹脂・ゴム質などを含むものと含まないものとがあるなど、多様な形態を示す。
・英語同義語にtylose追加
・修文、記述追加
こうへきちろーす
厚壁チロース
sclerotic tylosis (複数形: sclerotic tyloses)
極端に厚くて層をなし、かつ木化した細胞壁と分岐壁孔を持ったチロース。
記述変更
チロースの小見出しとした
現行用語集の最後にある「石細胞の一種」削除(チロースは細胞ではないから)
ちろそいど
チロソイド
tylosoid
薄壁のエピセリウム細胞が細胞間道の中に膨出したもの。
注: チロソイドは壁孔を通らないことでチロースと異なる。
記述変更
膨大→膨出(針葉樹材の識別を参照)
つうすいようそ / かんじょうようそ
通水要素 / 管状要素
tracheary element
木部における主要な水分通導の要素で、大体において道管要素と仮道管を指す。
注: 一次木部においては通水要素は環状、らせん状あるいは網状の肥厚のみをもち、壁孔を欠くことがある。
記述変更
文部省学術用語集等では、また植物学分野では、tracheary elementに対応する日本語用語として「管状要素」が広く用いられている。
一方、おなじ「管状」の細胞であっても木部繊維、柔細胞は上記定義によるtracheary elementではない。
よって、両用語のどちらを用いてもよいこととし、現行用語集にある通水要素を先に記載した。
どうかん
道管
vessel
道管要素が軸方向に穿孔を介して連続している管状構造。
記述変更
同義語として現行用語集にはtracheaが記載されているが、近年道管という意味でtracheaの使用例がほとんどないので削除
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>道管要素が軸方向に連続して合体し,不確定の長さで分節を持った管状の構造を形成しているもの。同類要素との間に有縁壁孔をもつ。
<新案>道管要素が軸方向に連続して合体し,不確定の長さで分節を持った管状の構造を形成しているもの。個々の道管を構成する道管要素相互間には穿孔が存在し、道管相互間には有縁壁孔が存在する。
<再修正>道管要素が軸方向に穿孔を介して連続している管状構造。
・壁孔の記述は道管要素へ
どうかんじょうかどうかん
道管状仮道管
vascular tracheid
大きさや形および配列が小径の道管要素に似ている仮道管。穿孔を持たず、有縁壁孔を持つ。
記述変更
せん孔→穿孔(漢字化)
細胞→木部細胞(仮道管の記述にあわせた)
現行用語集では同義語としてimperfect vessel memberを記載しているが適切とは考えにくいため削除
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>形および位置が小道管に酷似するが、穿孔をもたない木部細胞。
<新案>形および位置が小径道管に酷似するが、穿孔を持たない木部細胞。
<再修正>大きさや形および配列が小径の道管要素に似ている仮道管。穿孔を持たず、有縁壁孔を持つ。
どうかんせんこう
道管穿孔
vessel perforation
一道管中で、ある道管要素から別の道管要素に通ずる開口。
参照: せんこうばん 穿孔板、せんこうばんのかた 穿孔板の型
記述変更
せん孔→穿孔(漢字化)
IAWA用語集のopeningは現行用語集で穿孔関連では「穴」とされているが、壁孔の場合と同様に「開口」と修正
参照追加
タイプ->型
たんせんこう
単穿孔
simple perforation
一つの穿孔板に普通大型で多少なりとも丸い単一の開口をもつ道管穿孔。
記述変更
修文
せん孔→穿孔(漢字化)
IAWA用語集のopeningは現行用語集で穿孔関連では「穴」とされているが、壁孔の場合と同様に「開口」と修正
多孔穿孔への参照は、道管穿孔の小見出しにするため不要と判断して削除
たこうせんこう
多孔穿孔
multiple perforation
一つの穿孔板に2以上の開口をもつ道管穿孔。
記述変更
修文
せん孔→穿孔(漢字化)
IAWA用語集のopeningは現行用語集で穿孔関連では「穴」とされているが、壁孔の場合と同様に「開口」と修正
単穿孔への参照は、道管穿孔の小見出しにするため不要と判断して削除
どうかんそうごへきこう
道管相互壁孔
→ へきこうのそんざいとはいれつ 壁孔の存在と配列 – 道管相互壁孔
記述変更
新規項目 壁孔の存在と配列の小見出しとする
どうかんのぶんぷとはいれつ
道管の分布と配列
vessel distribution and arrangement
二次木部横断面における道管の出現の状態。道管の分布と配列の特徴を表すために次のような用語が用いられる。
管孔性 (porosity): 主として、散孔材・環孔材・半環孔材を区別する際に用いられる用語。
道管の配列 (vessel arrangement): 散孔材における道管の分布の様式、また、環孔材における孔圏外 (晩材) での道管の分布の様式。接線状 (vessels in tangential bands)、斜線状 (vessels in diagonal pattern)、放射状 (vessels in radial pattern)、火炎状 (vessels in dendritic pattern)、 鎖状 (vessels in chains) などと記述される。
道管の複合 (vessel grouping): 個々の道管が直接接している状態を道管の複合と呼び、複合している複数の道管の集団を複合道管、複合していない道管を孤立道管と呼ぶ。なお、道管側壁のごく一部のみの接触で軸方向に連続して道管同士が接しているわけではない場合は、通常、道管の複合とはしない。
注1: 道管の配列について、国際木材解剖用語集 (1975) では、接近した孤立道管が連なった列を鎖状管孔 pore chain として定義しているが、放射複合道管を含む道管の鎖状の配列を鎖状管孔または鎖状道管とする場合がある。
注2: 国際木材解剖用語集 (1975) では孤立管孔と複合管孔および関連語が定義されているが、本用語集では近年の用法の主流に従って孤立道管や複合道管を採用して孤立管孔等は同義語とする。
参照: さんこうざい 散孔材、かんこうざい 環孔材、はんかんこうざい 半環孔材、こりつどうかん 孤立道管、ふくごうどうかん 複合道管
新規採用用語
IAWA hardwood listと広葉樹の識別の記述を踏まえ、管孔性等の用語を記述
しかし、管孔性と道管の配列の定義は必ずしもここにあるとおりではないため、小見出しにしない(例えば「道管の配列」はここでの管孔性を加えた定義ともできる)
孤立管孔→孤立道管等への変更についてもここで記述
管孔および関連語について」参照
木材学会会員の意見を受け修正
道管の複合について
<旧案>個々の道管が直接接していることを道管の複合とよび、複合している複数の道管の集団を複合道管、複合していない道管を孤立道管とよぶ。なお、道管側壁のごく一部のみの接触で軸方向に連続して道管同士が接しているわけではない場合は、通常、道管の複合とはしない。
<新案>個々の道管が直接接している状態を道管の複合と呼び、複合している複数の道管の集団を複合道管、複合していない道管を孤立道管と呼ぶ。なお、道管側壁のごく一部のみの接触で軸方向に連続して道管同士が接しているわけではない場合は、通常、道管の複合とはしない。
注1について
<旧案>道管の配列について、接近した孤立道管が連なった列を鎖状管孔 pore chain として、国際木材解剖用語集 (1975) では定義してるが、道管の鎖状配列を放射複合道管を含めて鎖状管孔または鎖状道管とする場合がある。
<新案>道管の配列について、国際木材解剖用語集 (1975) では、接近した孤立道管が連なった列を鎖状管孔 pore chain として定義しているが、放射複合道管を含む道管の鎖状の配列を鎖状管孔または鎖状道管とする場合がある
どうかんほうしゃそしきかんへきこう
道管放射組織間壁孔
vessel-ray pitting / ray-vessel pitting.
→ へきこうのそんざいとはいれつ 壁孔の存在と配列 – 道管放射組織間壁孔
記述変更
新規項目 壁孔の存在と配列の小見出しとする
木材学会会員の意見を受け修正
英語にvessel-ray pittingを主たる用語として追加
どうかんようそ
道管要素
vessel element / vessel member
道管を構成する1個の細胞。1本の道管を構成する軸方向に連続した道管要素相互間の細胞壁には穿孔が存在する。放射方向または接線方向に別の道管要素または仮道管と接する時には、それらとの間の細胞壁には有縁壁孔対が存在する。
記述変更
現行用語集では、英語が"vessel member or element"となっているが、上記のように修正(理由 どちらを使ってもよい、優先順位もないと考え、他の用語でつかっている括弧はつかわない、と考えてスラッシュを採用)
2文目に穿孔の存在を記述
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>道管を構成する1個の細胞。ひとつの道管を構成する軸方向に連続した道管要素同士の間の細胞壁には穿孔が存在する。
<新案>道管を構成する1個の細胞。1本の道管を構成する軸方向に連続した道管要素相互間の細胞壁には穿孔が存在する。放射方向または接線方向に別の道管要素または仮道管と接する時には、それらとの間の細胞壁には有縁壁孔対が存在する。
・vessel elementとvessel memberをelementを主とするよう先出し(IAWA hardwood list等ではelementのみを記載しているため)
・定義を修文
・定義に壁孔について記述(「道管」から移行)
どうけいほうしゃそしき
同形放射組織
homocellular ray
→ ほうしゃそしき 放射組織 – 同形放射組織
放射組織関連をまとめて考察し、現行用語集同様放射組織を参照することとした
どうせいほうしゃそしき 同性放射組織
削除
現行用語集で使用を推奨しないとされているため見出し語から削除
どうせいほうしゃそしきがた
同性放射組織型
homogeneous ray tissue
→ ほうしゃそしき 放射組織 – 同性放射組織型
どうしんがたざいないしぶ
同心型材内篩部 / 同心型材内師部
concentric interxylary phloem
→ ざいないしぶ 材内篩部 / 材内師部 – 同心型材内篩部 / 同心型材内師部
どうるいようそ
同類要素
congeneric elements
同じ解剖学的類型の細胞。
どくりつじゅうそしき
独立柔組織
apotracheal parenchyma
→ じゅうそしきのはいれつ 柔組織の配列 – 独立柔組織
記述変更
新規項目「柔組織の出現タイプ」の中で記述
柔組織の出現タイプ->柔組織の配列
どくりつおびじょうじゅうそしき
独立帯状柔組織
banded apotracheal parenchyma
→ じゅうそしきのはいれつ 柔組織の型 – 帯状柔組織
記述変更
新規項目「柔組織の出現タイプ」の中で記述→ここでは見出し語として出現するが、柔組織の出現タイプ–帯状柔組織の中で定義記述
柔組織の出現タイプ->柔組織の配列
とうひがたへきこう
トウヒ型壁孔
piceoid pitting
→ ぶんやへきこうのかた 分野壁孔の型 – トウヒ型壁孔
記述変更
「分野壁孔のタイプ」の中で定義
タイプ->型
とらべきゅれー
トラベキュレー
trabecula (複数形: trabeculae)
細胞壁の一部で、細胞内腔を横切って放射方向に突出した棒状あるいは糸巻状の部分。
注: 古い文献では、トラベキュレーをサニオ線 (bar of Sanio、beam of Sanio) と呼んでいる場合がある。ところが、クラスレーについて、サニオ線 (bar of Sanio、rim of Sanio) という用語をあてる文献も存在する。全く異なるものに対して同じ用語を与えることは不適切であり、よって本用語集では、トラベキュレーおよびクラスレーの注に「サニオ線」を記載するものの、「サニオ線」の使用を推奨しない。
記述変更
現行用語集では、「桿状」となっているが、「棹状」の誤字と判断→テキスト化の際修正済み
現行用語集では、サニオ線を廃語とのみ記述しているが、古い文献に多出することと、クラスレーとの関係が問題となるため丁寧な注をつけた
英語の複数形をカタカナ化して日本語見出しとすること(クラスレーも同様)に疑義の意見があったが、「トラべキュレー」は定着していると考え、見出し語はトラベキュレーとする
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>細胞壁の一部で,細胞内腔を横切って放射方向に突出した棹状あるいは糸巻状の部分。
<新案>細胞壁の一部で、細胞内腔を横切って放射方向に突出した棒状あるいは糸巻状の部分。
・桿状あるいは棹状はより平易な棒状に置き換え可能であり、トラベキュレーの形状からも棒状とすることに問題はない。
とーるす
トールス
torus (複数形: tori)
→ へきこうへき / へきこうまく 壁孔壁 / 壁孔膜
壁孔壁 / 壁孔膜でトールスとマルゴを記述しているので、ここでは→
複数形がやや難解なのでここで表記
ないこうこう
内孔口
inner aperture
→ こうこう 孔口 – 内孔口
ないじゅひ
内樹皮
inner bark
→ じゅひ 樹皮
ないそくぼうじょうじゅうそしき
内側帽状柔組織
adaxial parenchyma
→ じゅうそしきのはいれつ 柔組織の配列 – 随伴柔組織 – 帽状柔組織
新規項目「柔組織の出現タイプ」の中で記述→ここでは見出し語として出現するが、柔組織の出現タイプ–随伴柔組織–帽状柔組織の中で定義記述。
柔組織の出現タイプ->柔組織の配列
ないぶしぶ
内部篩部 / 内部師部
intraxylary phloem
同義語: internal phloem,perimedullary phloem
一次木部の内側に存在する一次篩部。
記述変更
現行用語集では、内部師部の英語として、internal phloemを挙げ、intraxylary phloemを「不賛」としている
一方、IAWA bark listと樹皮の識別では、内部師部はintraxylary phloem (internal phloemとも呼ぶ)という内容の記述になっている。※この点は材内師部interxylary phloemでも同様
以上を勘案して、IAWA bark listにならい、intraxylary phroemを主たる英語とし、internal phloemを同義語とすることに変更する
ないぶへんざい
内部辺材
included sapwood
同義語: internal sapwood
心材に囲まれていながら外観と性質が辺材に類似する材。正常の辺材のように生きた細胞が存在することはないが、貯蔵物質は残っている場合もある。
記述変更
Double sapwood(不賛)を削除
かこまれて→囲まれて(漢字化)
外観と材質が→外観と性質が(材質用語集で「材質」という用語の定義をしていて、内部辺材の定義に「材質」とすると齟齬が発生するため、材質用語集では「性質」とした→組織用語集でもあわせる)
材質用語集にもあり(定義同じ)
なんじゅひ
軟樹皮
soft bark
削除
早樹皮、晩樹皮、硬樹皮、軟樹皮は現在ほとんど用いられることがない
なんようすぎがたへきこう
ナンヨウスギ型壁孔
araucarioid pitting
→ ぶんやへきこうのかた 分野壁孔の型 – ナンヨウスギ型壁孔
柔組織の出現タイプ->柔組織の配列
にじしぶ
二次篩部 / 二次師部
secondary phloem
通常、形成層によって形成される樹皮の部分。
参照: しぶ 篩部 / 師部
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>通常形成層によって形成される樹皮の部分。
<新案>通常、形成層によって形成される樹皮の部分。
にじへき
二次壁
→ さいぼうへき 細胞壁 – 二次壁
にじほうしゃそしき
二次放射組織
secondary ray
形成層の活動によって発生し (すなわち二次木部の出現後に発生)、内方は髄まで達していない放射組織。
参照: 一次放射組織
記述変更
用語集改定過程で見出し語からの削除提案があった(一次放射組織と二次放射組織の違いは髄につながっているかどうかだけで、形態的に違わないから)が、削除しないこととした(発生学的に異なっていて、木材解剖学関連書籍等で散見されるから)
にじもくぶ
二次木部
secondary xylem
形成層によって形成された木部。
にゅうかん
乳管
laticifer
同義語: latex tube
乳液を含む単一の細長い管状の細胞または管状に連続した細胞群。材では、多くの場合放射組織に含まれる (放射乳管) が、軸方向に伸びるものもある。樹皮では、主として軸方向に伸びるが、接線方向に連絡して接線断面で網目状を呈する場合もある。
参照: たんにんかん タンニン管
記述変更
修文
放射乳管をここに統合
放射乳管に対して「軸方向乳管」の記載が提案されたが、Carquist Comparative Wood Anatomyの記載からかなり少数例だと判断したため、「軸方向乳管」という用語のように記載することはしない。
IAWA用語集では、放射乳管をlatex tubeとしているが、Carquist Comparative Wood Anatomyではlatex tubeは垂直方向の乳管をさすこととしている(261p)。IAWA hardwood list, 広葉樹材の識別では、laticiferの同義語としてlatex tubeを記載している。IAWA bark list、樹皮の識別ではletex tubeの記載がない。このような状況を考慮して、laticiferとlatex tubeは同義語として記載することとした。
同義語latex canalについては、現行用語集で不賛、またIAWA用語集等ではcanalは細胞間隙に対して使われる用語なので、laticifer(細胞間隙ではなく細胞)の同義語としては排除した。
Carquist Comparative Wood Anatomy、IAWA hardwood list、広葉樹材の識別、IAWA bark list、樹皮の識別ではタンニン管を区別しているので、タンニン管を新規採用用語として提案する
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>乳液を含む単一の細胞または管状に連続した細胞。多くの場合放射組織に含まれる (放射乳管) が、軸方向に伸びるものもある。
<新案>乳液を含む単一の細長い管状の細胞または管状に連続した細胞群。材では、多くの場合放射組織に含まれる (放射乳管) が、軸方向に伸びるものもある。樹皮では、主として軸方向に伸びるが、接線方向に連絡して接線断面で網目状を呈する場合もある。
・記述修正+記載追加
にゅうせき
乳跡
latex trace
乳液を含む樹木のあるもの (特にキョウチクトウ科ApocynaceaeのAlstonia spp.やDyera spp.) の乾燥した材に現われる放射方向に貫通する裂目状の通路。
参照: にゅうかん 乳管
記述変更
IAWA hardwood listでは乳管に含めるような記述があるが、広葉樹材の識別では訳注として「同一に扱われるべきではない」としていることから新用語集では別項目とする。
現行用語集(IAWA用語集も)にある、「これらは放射乳管の存在を特徴とし、またその起源を葉跡や腋芽跡(葉や腋芽に進入する維管束)に有する。誤ってlatex canalとかlatex ductと呼ばれることがある。」は、不要な記述であり、放射乳管との関係が曖昧な記載で、latex canal等は乳跡を細胞間隙と考えるならばlatex canalと名付けることに特に問題があるとは思えないので、削除。
ねんえきさいぼう
粘液細胞
mucilage cell
放射組織または軸方向柔組織中の特殊化した細胞で粘液を含む。典型的なものは外形が丸味を帯びる。
注: 木本の双子葉植物に限られ、内容物以外の点では油細胞に似ている。
参照: いけいさいぼう 異形細胞、ゆさいぼう 油細胞
記述変更
句読点変更「;」を「。」に
木材学会会員の意見を受け修正
異形細胞、油細胞を参照
ねんりん
年輪
annual ring
材および樹皮において横断面で見た場合の1年の成長層。
参照: 成長輪
記述変更
生長→成長
「および樹皮」の削除提案があったが削除しない(樹皮でも年輪構造が存在するため)
材質用語集にもあり(定義同じ)
ねんりんかい
年輪界
annual ring boundary
年輪の外縁。
参照: せいちょうりんかい 成長輪界
ねんりんじょうじゅうそしき
年輪状柔組織
marginal parenchyma
→ じゅうそしきのはいれつ 柔組織の配列 – 帯状柔組織 – 成長輪界状柔組織
記述変更
新規項目「柔組織の出現タイプ」の小見出し「帯状柔組織」の小見出しとし成長輪界状柔組織に変更
2022年11月の案には年輪状柔組織に英語がなかったので追加
柔組織の出現タイプ->柔組織の配列
はしごじょうじゅうそしき / かいだんじゅうそしき
はしご状柔組織 / 階段柔組織
scalariform parenchyma
→ じゅうそしきのはいれつ 柔組織の配列 – 帯状柔組織 – はしご状柔組織 / 階段柔組織
記述変更
階段柔組織 → はしご状柔組織 / 階段柔組織
新規見出し語
柔組織の出現タイプ->柔組織の配列
はしごじょうせんこうばん / かいだんせんこうばん
はしご状穿孔板 / 階段穿孔板
scalariform perforation plate
→ せんこうばんのかた 穿孔板の型 – はしご状穿孔板 / 階段穿孔板
記述変更
階段穿孔板 → はしご状穿孔板 / 階段穿孔板
新規見出し語
タイプ->型
はしごじょうへきこう / かいだんへきこう
はしご状壁孔 / 階段壁孔
scalariform pitting
→ へきこうのそんざいとはいれつ 壁孔の存在と配列 – はしご状壁孔 / 階段壁孔
記述変更
階段壁孔 → はしご状壁孔 / 階段壁孔
新規見出し語
はじょうもん
波状紋
削除
リップルマークのことだが、波状紋を見出し語に採用する積極的理由がないので見出し語から削除
はせい
破生
lysigenous
細胞の破壊または分解 (溶解) によって形成されることを示す。
参照: 離生、離破性、細胞間隙
記述変更
細胞の破裂→細胞の破壊
現行用語集では、破生 [の]、離生 [の]、離破生 [の]、となっているが、[の]をつける必要が必ずしもないので削除
破生、離生、離破生は相互参照
細胞間隙の形成に関する用語なので、細胞間隙も参照
はんえんへきこう
半縁壁孔
削除
「半縁壁孔対」へ置き換えるため見出し語から削除(理由: 壁孔対であるからこそ「半縁」になりうるので、半縁壁孔というのは適切な表現ではないと判断)
はんえんへきこうつい
半縁壁孔対
half-bordered pit-pair
→ へきこうつい 壁孔対 – 半縁壁孔対
壁孔対の小見出しとする
半縁というのは壁孔対になって初めて意味があるので、半縁壁孔を削除して半縁壁孔対をここに挿入
はんかんこうざい
半環孔材
semi-ring-porous wood
成長輪の内側 (早材) から外側 (晩材) にかけて道管の径がゆるやかに減少するか、または、径の変化が小さい道管が成長輪の内側に密集している材。環孔材と散孔材の中間的な特徴を表す。
参照: どうかんのぶんぷとはいれつ 道管の分布と配列、さんこうざい 散孔材、かんこうざい 環孔材
記述変更
大径道管が「偶発的」という表現が適切ではないと判断し、道管径の減少のパターンと道管の分布密度で定義を変更
新規用語道管の分布と配列への参照追加
「管孔および関連語について」参照
材質用語集にもあり(定義同じ)
ばんざい
晩材
latewood
成長輪の中で密度が高く、細胞の径が小さく、成長期の後半に形成された部分。
注1: 晩材の英語として、古い用法ではlate woodとスペースをいれる記載が多く、旧国際木材解剖用語集(1975)でも「late wood」とされていたが、近年では「latewood」と一語で表記することが国際的に定着している。
注2: 古い文献では、晩材について「夏材」あるいは「秋材」の記載がしばしば行われていたことから古い用語として記載するが、本用語集では、「春材」、「夏材」および「秋材」の使用は推奨しない。
古い用語: かざい 夏材 summer wood、しゅうざい 秋材 autumn wood
参照: そうざい 早材、せいちょうそう 成長層
記述変更
夏材、秋材は見出し語とはせず、晩材の古い用語として記載+注釈(春材とおなじあつかい)を提案
latewoodについて注釈(現行用語集ではlate wood)
参照追加
材質用語集にもあり(定義同じだが注省略)
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>成長輪の中で密度が高く、細胞が小さく、成長期の後半に形成された部分。
注1: 晩材の英語として、古い用法ではlate woodとスペースをいれる記載が多く、旧国際木材解剖用語集(1975)でも「late wood」とされていたが、近年では「latewood」と一語で表記することが国際的に定着している。
<新案>成長輪の中で密度が高く、細胞の径が小さく、成長期の後半に形成された部分。注1: 晩材の英語として、古い用法ではlate woodと2単語での表記が多く、旧国際木材解剖用語集(1975)でも「late wood」とされていたが、近年では「latewood」と1単語で表記することが国際的に定着している。
・細胞が小さく->細胞の径が小さく
・一語->1単語
はんさいぼう
伴細胞
companion cell
篩管要素と同じ篩部母細胞から分化した細胞で、その篩管要素と密接に結合し、核と豊富な細胞質をもつ柔細胞。
注: 伴細胞はその分化に先立って水平その他の面で分裂することがある。
記述変更
稠密な細胞質→豊富な細胞質
定義文最後に「柔細胞」を追加
先だって→先立って
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>篩管要素の姉妹細胞でそれと密接に結合し、核と豊富な細胞質をもつ柔細胞。
<新案>篩管要素と同じ篩部母細胞から分化した細胞で、その篩管要素と密接に結合し、核と豊富な細胞質をもつ柔細胞。
ばんじゅひ
晩樹皮
削除
早樹皮、晩樹皮、硬樹皮、軟樹皮は現在ほとんど用いられることがない
ぴすふれっく
ピスフレック
pith fleck
材の縦断面で木理に沿った筋として現われる、正常材に囲まれ、軸方向に連続した異常な柔組織の束。普通、形成層潜孔虫の幼虫による形成層付近の食害が原因となって生ずる。
古い用語: ずいはん 髄斑
記述変更
ふつう→普通
せん孔虫→穿孔虫
縦の断面では→材の縦断面で
材質用語集にもあり(定義同じ)
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>材に囲まれた不正常な (しばしば傷害による) 柔組織の束で、材の縦断面で木理に沿った筋として現われる。普通形成層の穿孔虫の幼虫が原因となって生ずる。
<新案>材の縦断面で木理に沿った筋として現われる、正常材に囲まれ、軸方向に連続した異常な柔組織の束。普通、形成層潜孔虫の幼虫による形成層付近の食害が原因となって生ずる。
ひそう
皮層
cortex
茎と根において、表皮と維管束系の間もしくは周皮と維管束系の間にある一次基本組織。
記述変更
一次基本組織→基本組織(形成層外側に形成された組織を二次皮層とよぶことがあるため)
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>茎または根の表皮あるいはコルク組織と維管束系の間にある基本組織。
<新案>茎と根において、表皮と維管束系の間もしくは周皮と維管束系の間にある一次基本組織。
ひっぱりあてざい
引張あて材
tension wood
典型的には広葉樹の枝あるいは傾斜・湾曲した幹の上側にできるあて材。解剖学的な特徴として、繊維細胞において、木化の程度が低い、細胞壁の内側にゼラチン層がしばしば存在する点などが挙げられる。
注: 「いんちょうあてざい」と読む場合もある。
参照: あてざい あて材、あっしゅくあてざい 圧縮あて材
記述変更
全体的に修文
木化が見られない→木化の程度が低い(整理時に事務局修正)
英語のところのzugholz(ドイツ語)削除
弯曲→湾曲(後者の方が現在は一般的と判断)
膠質層→ゼラチン層
よみとして「いんちょうあてざい」を注に(現行用語集同様、読みはひっぱりとしたいが、いんちょうとされている方もいるため注に記載)
参照追加
材質用語集にもあり(定義同じ)
ひのきがたへきこう
ヒノキ型壁孔
cupressoid pitting
→ ぶんやへきこうのかた 分野壁孔の型 – ヒノキ型壁孔
柔組織の出現タイプ->柔組織の配列
ひもく
皮目
lenticel
細胞間隙の存在でコルク組織と区別される周皮の特殊化した部分。外見的には多様な形をとるが、しばしばレンズ形である。周皮は他の部分では不透過性であるが、皮目を通してガス交換を行うのに役立っている。
参照: 周皮
記述変更
句読点変更
いろいろの形→いろいろな形
行なう→行う
参照追加
IAWA bark listとの整合性(細胞間隙の存在を強調)をとり、かつ現行用語集の記述(レンズ状とガス交換について)を残すように修文
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>周皮の特殊化した部分で細胞間隙の存在でコルク組織と区別される。外見的にはいろいろな形をとるがしばしばレンズ形である。周皮は他の部分では不透過性であるが、皮目を通してガス交換を行うのに役立っている。
<新案>細胞間隙の存在でコルク組織と区別される周皮の特殊化した部分。外見的には多様な形をとるが、しばしばレンズ形である。周皮は他の部分では不透過性であるが、皮目を通してガス交換を行うのに役立っている。
ひょうひ
表皮
epidermis
植物体の一次組織の最も外側の細胞層。しばしば外側の壁は厚く肥厚し、クチクラ化する。1層または多層の細胞層からなる。
記述変更
全体的に修文
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>植物体の一次組織のうちの最外側の細胞層。しばしば外側の壁は厚く肥厚し、クチクラ化する。1層または多層の細胞層からなる。
<新案>植物体の一次組織の最も外側の細胞層。しばしば外側の壁は厚く肥厚し、クチクラ化する。1層または多層の細胞層からなる。
ふぁいばーすくれれいど
ファイバースクレレイド
fiber-sclereid
→ せんいじょうこうへきいけいさいぼう 繊維状厚壁異形細胞
新規採用用語
厚壁異形細胞を主、スクレレイドを従、とした同義語として記載
「スクレレイド、厚壁組織、厚壁細胞、ファイバースクレレイドについて」参照
ふぃぶりる
フィブリル
fibril
→ みくろふぃぶりる ミクロフィブリル
記述変更
フィブリルは定義せずにミクロフィブリル参照とし、ミクロフィブリルの注で記述。
↑
現行用語集定義:
光学顕微鏡下で可視の,細胞壁の糸状構成物。注: 条件をつけずにこの用語が用いられた場合は“ミクロフィブリル”に対しての“マクロフィブリル”と同義語である。
ふぃぶりるけいかく
フィブリル傾角
削除
「フィブリル→ミクロフィブリル」とした変更にあわせ、「フィブリル傾角」は見出し語としても削除してかわりに「ミクロフィブリル傾角」を採用
ふぇろいどさいぼう
フェロイド細胞
phelloid cell
→ こるくそしき コルク組織
ふくごうかんこう
複合管孔
pore multiple
→ ふくごうどうかん 複合道管
記述変更
新規項目複合道管を参照することとした
「管孔および関連語について」参照
ふくごうさいぼうかんそう
複合細胞間層
compound middle lamella
隣接する細胞の二次壁の間の複合層に対する木材解剖学上の便宜的な用語で、二つの一次壁とそれらに挟まれた細胞間層とからなる。
注: 一次壁を含まない細胞間層を指すmiddle lamellaという用語が、しばしば複合構造である複合細胞間層に対して漠然と用いられてきた。本用語集では、一次壁を含まない「細胞間層 intercellular layer」と、細胞間層と一次壁の複合構造である「複合細胞間層 compound middle lamella」の二つの用語を区別して用いることを推奨する。
参照: さいぼうかんそう 細胞間層
記述変更
middle lamellaの扱いを修正し、注を修文
細胞間層を参照
『middle lamellaについて」参照
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>隣接する細胞の二次壁の間の複合層に対する木材解剖学上の便宜的な用語で、二つの一次壁とそれらに挟まれた細胞間層とからなる。
注: 元来一次壁を含まない細胞間層を指すmiddle lamellaという用語が、しばしば複合構造である複合細胞間層に対して漠然と用いられてきた。本用語集では、一次壁を含まない「細胞間層 intercellular layer」と、細胞間層と一次壁の複合構造である「複合細胞間層 compound middle lamella」の二つの用語を区別して用いることを推奨する。
<新案>隣接する細胞の二次壁の間の複合層に対する木材解剖学上の便宜的な用語で、二つの一次壁とそれらに挟まれた細胞間層とからなる。
注: 一次壁を含まない細胞間層を指すmiddle lamellaという用語が、しばしば複合構造である複合細胞間層に対して漠然と用いられてきた。本用語集では、一次壁を含まない「細胞間層 intercellular layer」と、細胞間層と一次壁の複合構造である「複合細胞間層 compound middle lamella」の二つの用語を区別して用いることを推奨する。
ふくごうどうかん
複合道管
同義語: ふくごうかんこう 複合管孔
vessel multiple
同義語: pore multiple
横断面において複数の道管が密集して集団をなしている状態、またその道管の集合体。道管相互の接触面に沿って細胞壁および細胞の外形が平たくなり、あたかも1個の道管が分割しているように見えることがある。
参照: どうかんのぶんぷとはいれつ 道管の分布と配列、こりつどうかん 孤立道管
新規採用用語
複合管孔→複合道管として記述
複合道管が1個の道管の分割のように見えることは複合道管の定義ではない(形が孤立道管とかわらないことも多い)ので、現行用語集の複合管孔の文をわけた
放射複合管孔→放射複合道管、集団管孔→集団道管としたうえで、現行用語集での複合管孔の記述の中での記載から小見出しとすることにした
新規用語道管の分布と配列への参照追加
「管孔および関連語について」参照
ほうしゃふくごうどうかん
放射複合道管
同義語: ほうしゃふくごうかんこう 放射複合管孔
radial vessel multiple, vessels in radial multiple
同義語: radial pore multiple
横断面において放射列をなしている複合道管。最もよく見られる型の複合道管である。
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>横断面において放射列をなしている複合道管。もっともよくみられるタイプの複合道管である。
<新案>横断面において放射列をなしている複合道管。最もよく見られる型の複合道管である。
しゅうだんどうかん
集団道管
同義語: しゅうだんかんこう 集団管孔
vessel cluster
同義語: pore cluster
横断面において道管の集まり方が不規則で、放射方向と接線方向の両方に広がりをもつ複合道管。
ふるいじょうへきこう
ふるい状壁孔
sieve pitting
→ へきこうのそんざいとはいれつ 壁孔の存在と配列 – ふるい状壁孔
ふれんぞくせいちょうりん
不連続成長輪
discontinuous growth ring
幹の全周に連続していない成長輪。
材質用語集にもあり(定義同じ)
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>幹の全周を囲っていない成長輪。
<新案>幹の全周に連続していない成長輪。
ぶんきへきこう
分岐壁孔
ramiform pit
→ へきこう 壁孔 – 分岐壁孔
ぶんぴつせいさいぼうかんげき
分泌性細胞間隙
secretory intercellular space
→ さいぼうかんげき 細胞間隙 – 分泌性細胞間隙
ぶんや
分野
cross-field
二次木部の放射断面を見た場合に、放射組織の細胞と軸方向の仮道管が交差し接触する矩形の領域を示す便宜上の用語。
注: 主として針葉樹の早材の放射柔細胞と軸方向仮道管の間の領域について用いられる。
記述変更
現行用語集: 放射断面で見た場合に放射組織の細胞と軸方向の仮道管との接触面が作る矩形の部分に与えられた便宜上の用語。主として針葉樹に対して用いられる。
針葉樹に限るのではないか、早材に限るのではないか、放射柔細胞と軸方向仮道管に限るのではないか、という意見があった→定義としては針葉樹に限らず、早材に限らず、放射柔細胞に限らない記載とするが、注を追加
「分野」は、通常(特に識別において)針葉樹早材の放射柔細胞と軸方向の仮道管の間に適用される考え方であるが、広葉樹や早材の晩材や放射仮道管を排除しているものではない。この考えは、たとえば、現行用語集では「主として針葉樹に対して」とあり、針葉樹の識別では「早材部に限定し…観察すべき」とし、Panshin & de Zeeuwでは「cross fields are differentiated as ray parenchyma and ray tracheid cross field」としていることなどから支持される。そもそも、cross-field=交差した領域、であり、針葉樹早材に限定しにくい。
現行用語集やその他の文献の記述を参照すると、「分野」は、必ずしも針葉樹限定ではなく、放射仮道管を排除しているわけでもなく、早材限定でもない、と考えられるが、通常針葉樹の早材の放射柔細胞と軸方向仮道管に対して用いられるため、上記の注を付した。
「領域」としたのは、このような部分を表すためには「部分」とするより「領域」とした方がわかりやすいと判断した(領域という表現は「針葉樹の識別」などから)。
ぶんやへきこう
分野壁孔
cross-field pitting
分野に存在する放射柔細胞の単壁孔と仮道管の有縁壁孔からなる半縁壁孔対。
参照: ぶんや 分野、へきこう 壁孔
記述変更
現行用語集: 放射断面において放射組織細胞の細胞壁とそれに接する軸方向仮道管の細胞壁によって作られた四角形の中に現れる壁孔の状態。
直前に出てくる「分野」をもちいた簡易な表現に修正
現行用語集では「壁孔の状態」とされているが、「分野に形成される半縁壁孔対」として定義しなおし。
分野壁孔の種類(スギ型、ヒノキ型等)の例示は、「分野壁孔のタイプ」を新設したので削除。
ぶんやへきこうのかた
分野壁孔の型
types of cross-field pitting
針葉樹の早材における分野壁孔の形態と配列にはいくつかの型が認められ、針葉樹の識別に重要である。
木材学会会員の意見を受け修正
分野壁孔のタイプ->分野壁孔の型
まどじょうへきこう
窓状壁孔
window-like pitting
同義語: fenestriform pitting
分野あたり通常1~2個の単壁孔対のように見える大きな四角形の壁孔対が分野のほぼ全域を占める。マツ属 Pinus に見られ、日本産のマツ属全樹種はこの型である。
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>分野あたり通常1~2個の単壁孔対のように見える大きな四角形の壁孔対が分野のほぼ全域をを占める。日本産の全樹種を含むマツ属 Pinus に見られる。
<新案>分野あたり通常1~2個の単壁孔対のように見える大きな四角形の壁孔対が分野のほぼ全域を占める。マツ属 Pinus に見られ、日本産のマツ属全樹種はこの型である。
・2文目修文
まつがたへきこう
マツ型壁孔
pinoid pitting
分野あたり通常3個以上の単壁孔対のように見えるやや小型で不定形の壁孔対が存在する。個々の壁孔対の形状や大きさは分野あたりの壁孔対の数により多様である。窓状の分野壁孔をもつ樹種以外のマツ属 Pinus に見られる。
とうひがたへきこう
トウヒ型壁孔
piceoid pitting
仮道管側の有縁壁孔の孔口は、幅が壁孔縁の幅よりかなり狭く、多くは孔口の長軸が壁孔縁よりはみ出して見える輪出孔口で、スリット状を呈する。典型的なものはトウヒ属 Picea に見られる。
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>仮道管側の有縁壁孔の孔口は、幅が壁孔縁の幅よりかなり小さく、多くは孔口の長軸が壁孔縁よりはみ出してみえる輪出孔口で、スリット状を呈する。
<新案>仮道管側の有縁壁孔の孔口は、幅が壁孔縁の幅よりかなり狭く、多くは孔口の長軸が壁孔縁よりはみ出して見える輪出孔口で、スリット状を呈する。
・幅が「小さく」->「狭く」
・「見える」漢字化
ひのきがたへきこう
ヒノキ型壁孔
cupressoid pitting
仮道管側の有縁壁孔の孔口は、幅が壁孔縁の幅より狭く、孔口の長軸が壁孔縁より内側にある輪内孔口で、卵円形を呈する。孔口の長軸の角度は垂直から水平まで多様である。典型的なものはヒノキ Chamaecyparis obtusa に見られる。
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>仮道管側の有縁壁孔の孔口は、幅が壁孔縁の幅より小さく、孔口の長軸が壁孔縁より内側にある輪内孔口で、卵円形を呈する。
<新案>仮道管側の有縁壁孔の孔口は、幅が壁孔縁の幅より狭く、孔口の長軸が壁孔縁より内側にある輪内孔口で、卵円形を呈する。
・幅が「小さく」->「狭く」
すぎがたへきこう
スギ型壁孔
taxodioid pitting
仮道管側の有縁壁孔の孔口は、幅が壁孔縁の幅より広く、孔口の長軸が壁孔縁より内側にある輪内孔口で、卵円形または円形を呈する。典型的なものはスギ Cryptomeria japonica に見られる。
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>仮道管側の有縁壁孔の孔口は、幅が壁孔縁の幅より大きく、孔口の長軸が壁孔縁より内側にある輪内孔口で、卵円形または円形を呈する。
<新案>仮道管側の有縁壁孔の孔口は、幅が壁孔縁の幅より広く、孔口の長軸が壁孔縁より内側にある輪内孔口で、卵円形または円形を呈する。
・幅が「大きく」->「広く」
なんようすぎがたへきこう
ナンヨウスギ型壁孔
araucarioid pitting
仮道管側の有縁壁孔の孔口の多くは、ヒノキ型と同様、狭い輪内孔口で卵円形を呈するが、分野あたり3個以上の壁孔対が密集して交互状に通常3列以上に配列し、密集した個々の壁孔対の輪郭はしばしば多角形を示す。ナンヨウスギ科 Araucariaceaeに見られる。
「分野壁孔のタイプ」記述変更
分野壁孔のタイプは、現行用語集では「壁孔」の小見出しとなっているが、「分野壁孔のタイプ」という新規項目を設けてそれぞれのタイプを小見出しとする。
現行用語集では〜型という表記だが、〜型壁孔と変更。
分野壁孔のタイプは針葉樹の識別で重要な概念であることを記載。
分野壁孔のタイプは早材について言及されるべきである記述を加える。
これに伴い、スギ型壁孔、ヒノキ型壁孔、トウヒ型壁孔、マツ型壁孔にあった「早材における分野壁孔の1型式。」などや「注: 針葉樹のみに用いられる。」を削除。
IAWA softwood list、針葉樹の識別に記載のあるナンヨウスギ型(現行用語集にない)と窓状壁孔(現行用語集ではマツ型を参照)を項目立て。
スギ型とヒノキ型では、IAWA用語集ではそれぞれSequiaとCupressusが例示されているのに対し、現行用語集ではそれぞれ「スギ」と「ヒノキ」を典型例としてあげている。上では、現行用語集の記述を尊重し、この例示を採用した。なお、IAWA softwood listや針葉樹の識別ではより多くの例示があるが、簡潔な記載にとどめた。
窓状はIAWA hardwood list、針葉樹の識別では、Sylvestris節とStrobus節でみられる、とされている。しかし、この節分類は最近使われないことが多く、現行用語集では日本産マツ属はすべて窓状と記載されていることから、上記のような記述とした。
小見出しの並びは針葉樹の識別の記載順とした(こちらの方が対比しやすくわかりやすい)。
小見出しごとの違いがわかりやすいように、現行用語集と針葉樹の識別での記載を整理して修文。
分野壁孔の定義が「半縁壁孔対」なので、針葉樹の識別で単壁孔ともされている窓状とマツ型を「単壁孔のように見える」として記載。
会員意見では、壁孔輪や輪接孔口という用語を用いた記述を推奨していたが、これらの用語は採用しない。輪接孔口は針葉樹材の識別でも用いられていない。
会員意見では、ヒノキではトウヒ型壁孔が多い、としているが、ヒノキではヒノキ型壁孔も見られるため、記述は間違いではない上に、ヒノキ型という名称であるため変更しない。
ぶんれつそしき
分裂組織
meristem
活発に細胞分裂を行ないうる組織で、その分裂によって植物体に新しい細胞を追加する。
参照: けいせいそう 形成層
記述変更
頂端分裂組織を小見出しとしたので参照から削除
ちょうたんぶんれつそしき
頂端分裂組織
apical meristem
シュート (苗条) および根の先端に存在する分裂組織。
記述変更
分裂組織の小見出しとした
修文-現在用いられることの少ない概念である「成長点」を用いた定義を避け、「シュート」という用語を用いて簡潔に定義することとした。
苗条→シュートとするが、シュートの古い用語である苗条は、現行用語集での記載と用語としてのかつての使用頻度が多かったことからカッコ内に記載。
へいそくへきこうつい
閉塞壁孔対
aspirated pit pair
→ へきこうつい 壁孔対 – 閉塞壁孔対
記述変更
「閉そく」→「閉塞」
へいふくさいぼう
平伏細胞
procumbent ray cell
広葉樹材の放射組織の細胞の一種で、放射断面での長軸が放射方向のもの。
古い用語: おうがさいぼう 横臥細胞
参照: ほうしゃそしき 放射組織、ちょくりつさいぼう 直立細胞、ほうけいさいぼう 方形細胞
記述変更
直立細胞、平伏細胞、方形細胞はセットで全体的に記述を見直し。詳細
へきこう
壁孔
pit
細胞の二次壁の孔隙およびその孔隙を外側において閉じる壁の総称。内側は細胞内腔に向かって開いている。主要部分は壁孔腔および壁孔壁からなる。
古い用法: 紋孔
参照: へきこうのそんざいとはいれつ 壁孔の存在と配列、へきこうつい 壁孔対、ぶんやへきこう 分野壁孔
壁孔の記述には次のような用語が用いられる:
記述変更
コロンを丸に
注となっていた3文目を本文に
壁孔こう→壁孔腔
小見出しのうち、分野壁孔の種類は「分野壁孔のタイプ」に移行
たんへきこう
単壁孔
simple pit
細胞の二次壁の肥厚につれて、すなわち細胞内腔に向って、壁孔腔が次第に広がるか、全く大きさを変えないか、あるいは徐々にわずかに狭くなる壁孔。壁孔腔の大きさは、細胞内腔に進むにつれてほとんど変化しない。
参照: へきこうこう 壁孔腔
記述変更
壁孔腔の大きさの変化についてよりわかりやすくかつ正確な定義を目指して修文
せんけいへきこう
線形壁孔
linear pit
正面から見た場合に細長くおよそ均一な幅の孔口をもつ壁孔。
記述変更
「幅の変化がほとんどない」→「およそ均一な幅の」
はんえんへきこう
半縁壁孔
削除
理由: 半縁壁孔対は対になって初めて意味を持つものであるため、「半縁壁孔」という用語は不要と判断。壁孔対の小見出しとして「半縁壁孔対」をおく。
ぶんきへきこう
分岐壁孔
ramiform pit
石細胞に見られるように、細い管状の壁孔腔が接合した単壁孔。
べすちゃーどへきこう
ベスチャード壁孔
vestured pit
壁孔腔の全面または一部がベスチャーでおおわれている壁孔。
参照: べすちゃー ベスチャー
記述変更
二次壁からの突起物→ベスチャー(ベスチャーは新規採用用語とする)
有縁壁孔→壁孔(ベスチャーのところで「主として有縁壁孔に…生じるものを指す」としたため、ここでは有縁壁孔に限定しないようにした)
参照追加
もうへきこう
盲壁孔
blind pit
隣接する細胞に対になる壁孔がない壁孔。
注: 普通は細胞間隙に面した部分に現われる。
記述変更
(同義語: air pit (不賛))を削除
「壁孔対」という用語を念頭に、「隣接する細胞に対応する」を「隣接する細胞に対になる」に変更
「盲壁孔」の盲という字の使用について、差別用語だから使用を検討する必要があるのではないかという意見あり。
木材学会会員の意見を受け修正
「普通」漢字化
ゆうえんへきこう
有縁壁孔
bordered pit
壁孔壁におおいかぶさるように二次壁の縁 (壁孔縁) が孔隙に張り出している壁孔。
古い用法: 重紋孔
注: 有縁壁孔の縁 (壁孔縁) の存在により壁孔腔の壁孔壁側はドーム状の空間である壁孔室を形成する。針葉樹早材仮道管の有縁壁孔を光学顕微鏡で観察すると、放射断面では壁孔縁が作るリング状構造として観察され、横断面では壁孔縁が内腔側へのアーチ状の張り出しとして観察される。走査型電子顕微鏡で内腔側から有縁壁孔を立体観察した場合は、中央頂部に孔口があるドーム状構造として観察される。
記述変更
有縁壁孔の立体構造からは「アーチ状」という表現はかならずしも適切ではないと判断し、また「アーチ状におおわれた」という表現は広葉樹でしばしば観察される壁孔縁の小さい(狭い)有縁壁孔にそぐわないと考え、定義を修文。
しかし、現行用語集を尊重してアーチ状などの表現を注として記述。この際「有縁」の語源である壁孔縁によるリング状構造への言及と立体視した場合のドーム状構造についても記述。
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>孔隙に張り出して壁孔壁におおいかぶさる二次壁の縁をもつ壁孔。
<新案>壁孔壁におおいかぶさるように二次壁の縁 (壁孔縁) が孔隙に張り出している壁孔。
へきこうえん
壁孔縁
pit border
記述変更
二次壁がアーチ状におおいかぶさった→孔隙にアーチ形に張り出した二次壁の
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>有縁壁孔で孔隙にアーチ形に張り出した二次壁の部分。
<新案>有縁壁孔で孔隙に張り出した二次壁の部分。
へきこうこう
壁孔腔
pit cavity
壁孔壁から細胞内腔に至るまでの全空間。有縁壁孔では壁孔室と壁孔道を合わせた孔隙全体を指す。
参照: へきこうどう 壁孔道、へきこうしつ 壁孔室
記述変更
壁孔こう→壁孔腔(漢字化)
理解が容易となるよう、2文目を加えた
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>壁孔壁から細胞内腔に至るまでの全空間。壁孔室と壁孔道を合わせた孔隙全体をさす。
<新案>壁孔壁から細胞内腔に至るまでの全空間。有縁壁孔では壁孔室と壁孔道を合わせた孔隙全体を指す。
へきこうしつ
壁孔室
pit chamber
有縁壁孔において壁孔壁と壁孔縁との間の空間。壁孔道を含まない。
参照: へきこうこう 壁孔腔
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>壁孔壁と、アーチ状におおいかぶさった壁孔縁との間の空間。
<新案>有縁壁孔において壁孔壁と壁孔縁との間の空間。壁孔道を含まない。
へきこうつい
壁孔対
pit-pair
隣接する二つの細胞の間で相対応する二つの壁孔。
小見出しの順番を理解しやすいように修正 単壁孔対→有縁壁孔対→半縁壁孔対→>ちょっと違うので最後に閉塞壁孔対とした
たんへきこうつい
単壁孔対
simple pit-pair
隣接する二つの細胞の間で単壁孔同士が一つの対をなしたもの。
ゆうえんへきこうつい
有縁壁孔対
bordered pit pair
隣接する二つの細胞の間で有縁壁孔同士が一つの対をなしたもの。
はんえんへきこうつい
半縁壁孔対
half-bordered pit-pair
隣接する二つの細胞の間で単壁孔と有縁壁孔が一つの対をなしたもの。
へいそくへきこうつい
閉塞壁孔対
aspirated pit-pair
トールスが側方に片寄って一方の孔口を閉じた状態になっている有縁壁孔対。
記述変更
閉そく→閉塞(漢字化)
へきこうどう
壁孔道
pit canal
有縁壁孔において細胞内腔から壁孔室に至る通路。
注: 厚壁の細胞の単壁孔は,一般に壁孔道類似の壁孔腔をもつ。
参照: へきこうこう 壁孔腔
「厚壁の細胞における」→「厚壁の細胞の」
「壁孔こう」を「壁孔腔」に変更
へきこうのそんざいとはいれつ
壁孔の存在と配列
pitting
壁孔の存在様式や配列様式の記述には次のような用語が用いられる。
新規採用用語
現行用語集には英和の部にIAWA用語集のpitting(123)の訳として「壁孔(存在と配列)」があるが、和英の部にはない。よって新規に作成し、その下に小見出しとしてにpittingを並べる
IAWA用語集のpittingの定義は「A collective term for pits or pit-pairs」で、訳すと「複数の壁孔または壁孔対の総称」となるがこのように書くとよくわからないので、上記のように説明した上で、… pittingに相当する用語を小見出しとすることを提案
木材学会会員の意見
壁孔の存在と配列->壁孔の形状と配列様式
検討結果:小見出しのうち、はしご状壁孔などは「配列」とするのが適切だが、「道管相互壁孔」などは配列や形状ではなく、存在様式という方がより適切と判断し、また現行用語集を尊重して「pitting」に対応する日本語として「壁孔の存在と配列」を採用。
はしごじょうへきこう / かいだんへきこう
はしご状壁孔 / 階段壁孔
scalariform pitting
水平方向に細長い壁孔が梯子状に連続して並ぶ壁孔の配列。
記述変更
階段壁孔→はしご状壁孔 / 階段壁孔
修文
ここではpittingを「配列」とした
こうごへきこう
交互壁孔
alternate pitting
比較的等径の壁孔が斜め方向に列をなして並ぶ壁孔の配列。
注: 壁孔が密集している場合には、壁孔縁の輪郭は正面から見た場合に六角形になる傾向がある。
記述変更
修文
ここではpittingを「配列」とした
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>比較的等径の壁孔が斜め方向に列をなして何列も蜂の巣状に並ぶ壁孔の配列。
<新案>比較的等径の壁孔が斜め方向に列をなして並ぶ壁孔の配列。
たいれつへきこう
対列壁孔
opposite pitting
2個以上の壁孔が水平方向に列をなして並ぶ壁孔の配列。
注: 壁孔が密集している場合には,壁孔縁の輪郭は正面から見た場合に四角形になる傾向がある。
記述変更
修文
ここではpittingを「配列」とした
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>2個以上の壁孔が水平方向に列をなして何列も並ぶ壁孔の配列。
<新案>2個以上の壁孔が水平方向に列をなして並ぶ壁孔の配列。
ふるいじょうへきこう
ふるい状壁孔
sieve pitting
小型の壁孔がふるいの目のように群をなして集まった配列。
記述変更
ここではpittingを「配列」とした
小見出しの順番として、配列はpittingの小見出しの中で先に集めた
「ふるい」を漢字にする提案があったが、ひらがなのままにする
どうかんそうごへきこう
道管相互壁孔
intervessel pitting / intervascular pitting
狭義には道管要素相互の間の壁孔 (intervessel pitting)。広義には通水要素相互の間の壁孔 (intervascular pitting)。
記述変更
(a)、(b)は必ずしも必要ではないと判断して削除
修文
ここではpittingを「壁孔の状態」と考えたが、日本語の定義としては上記の書き方が適切と判断。
現行用語集ではintervascular pitting = 道管相互壁孔となっている。
IAWA hardwood lilstではintervessel pittingを採用、Panshin & de Zeeuw では、本文でintervessel pittingを用いているが巻末の用語集では、intervascularを主としintervesselを併記している。
Esau’s plant anatomy 3rd edのGlossaryでは、intervascularを採用しているが、定義は道管同士ではなくbetween tracheary elementsになっている。
佐野(2009)木材誌55 119-128は「管状要素間壁孔」「intertracheary pits」としている。
以上を勘案して、intervessel pittingの英語用語としての採用
intervascular pittingの日本語を道管相互壁孔とすると上記のような記載が適切だと判断した(intervascular pittngの訳語として通水要素間壁孔などの採用はしにくい-使用例が少なく、現行用語集では明確にintervascular pitting = 道管相互壁孔としていることを尊重)
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>intervascular pitting / intervessel pitting 広義には通水要素同士の間の壁孔 (intervascular pitting)。狭義には道管要素同士の間の壁孔 (intervessel pitting)。
<新案>intervessel pitting / intervascular pitting 狭義には道管要素相互の間の壁孔 (intervessel pitting)。広義には通水要素相互の間の壁孔 (intervascular pitting)。
・英語の順番を入れ替えてintervesselを優先的とする。これに伴い、広義と狭義の記述の順番も入れ替え
どうかんほうしゃそしきかんへきこう
道管放射組織間壁孔
vessel-ray pitting / ray-vessel pitting
道管要素と放射組織の細胞の間の壁孔。
記述変更
現行用語集では(IAWA用語集も)英語はray-vessel pittingだが日本語は道管放射組織間壁孔で、「放射組織細胞と道管要素の間」と記述。
広葉樹の識別では(IAWA hardwood listも)英語はvessel-ray pittingで日本語は道管放射組織間壁孔で、「放射組織細胞と道管要素の間」と記述。
放射組織→放射柔細胞の提案と、定義にでてくる順番を「道管要素と放射組織の細胞(あるいは放射柔細胞)」とする提案あり。
以上を勘案して、
・ray-vessel pittingとvessel-ray pittingの両方併記(現行用語集を尊重してray-vessel pittingを先にした)。
・現行用語集や広葉樹の識別を尊重し、「放射柔細胞」ではなく「放射組織の細胞」と定義した。
・日本語の「道管放射組織間壁孔」を尊重して、定義でも道管要素を先に書くこととした。
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>ray-vessel pitting / vessel-ray pitting
<新案>vessel-ray pitting / ray-vessel pitting
ぶんやへきこう
分野壁孔
→ ぶんやへきこう 分野壁孔
ここで大見出し「分野壁孔」を参照するとわかりにくいのでこれは削除
※分野壁孔cross-field pittingもpittingだが、大見出しの分野壁孔をここから参照するとわけがわからないので、独立した項目として大見出しとし、壁孔の存在と配列からの参照はしない。
へんぷくへきこう
片複壁孔
unilaterally compound pitting
隣接細胞間で、片方の細胞の1個の壁孔と他の細胞の2個以上の小型の壁孔が対をなしていること。
記述変更
修文
ここではpittingを「壁孔の状態」と考えたが、日本語の定義としては上記の書き方が適切と判断して提案。
へきこうへき / へきこうまく
壁孔壁 / 壁孔膜
pit membrane
壁孔腔を外側で閉じる細胞間層と一次壁からなる部分。針葉樹の有縁壁孔では、一般に中央部の肥厚した部分をトールス、それを取り囲む部分をマルゴと言う。
注: 本用語集では、「壁孔壁」と「壁孔膜」は同義語として併記する。他の用語の記述中では便宜的に壁孔壁を使用する。
記述変更
壁孔こう→壁孔腔(漢字化)
マルゴの記述を追加
修文
鋸歯状トールスの記述削除(壁孔壁にはいろいろなタイプが認められるが、鋸歯状トールスのみとりあげる必要性が低いと判断)
「壁孔膜」の扱いについて
現行用語集では、前文にあるとおり、壁孔壁とするか壁孔膜とするか議論がわかれたので両方を使用してよいこととし、「壁孔壁(壁孔膜)」という見出しになっている。
1)多数の教科書等で壁孔膜が優先的に利用されている、2)Google Scholarの検索結果では壁孔膜がやや優勢、であるという意見が出た。現行用語集と逆に「壁孔膜(壁孔壁)」とする提案あり。
「壁孔壁」と「壁孔膜」の併記でよいのではないか。植物学用語集では「壁孔膜」で、水分通導をやっている理学部系の人などは「壁孔膜」を使う人が多い印象もある。ゼラチン繊維のように、実情に即さないにも拘わらず、使われ続けている用語もある。「..膜」も残しておいてよいのではないか。
以上を受け、「壁孔壁 / 壁孔膜」とした。現行用語集での優先度合い(先にくる)により順番を決定。スラッシュをつかって、どちらをつかってもいいことを示し、他の用語の定義において利用する場合は壁孔壁を使用することとして注に記載とした。
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>壁孔腔を外側で閉じる細胞間層と一次壁からなる部分。一般に中央部の肥厚した部分をトールス、それを取り囲む部分をマルゴと言う。
<新案>壁孔腔を外側で閉じる細胞間層と一次壁からなる部分。針葉樹の有縁壁孔では、一般に中央部の肥厚した部分をトールス、それを取り囲む部分をマルゴと言う。
へきこうまく
壁孔膜
壁孔壁を「壁孔壁 / 壁孔膜」としたことに伴い、またあいうえお順だと壁孔膜が壁孔壁の次にくることもあり、壁孔膜単独の見出しは廃止を提案。
べすちゃー
ベスチャー
vesture
二次壁からの微小な突起物。形状は単純な粒子状から複雑な分岐状まで多様であるが、主として有縁壁孔の孔口付近または壁孔縁から壁孔室に面して生じる複雑な形状のものを指す。
注: いぼ状突起との形態的・組成的類似性から、ベスチャーといぼ状突起を区別しない意見がある。
参照: いぼじょうとっき いぼ状突起、しゅうしょくこうぞう 修飾構造
新規採用用語
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>二次壁からの微小な突起物。主として有縁壁孔の孔口付近または壁孔縁から壁孔室に面して生じる、分岐するなど形状が複雑なものを指す。
<新案>二次壁からの微小な突起物。形状は単純な粒子状から複雑な分岐状まで多様であるが、主として有縁壁孔の孔口付近または壁孔縁から壁孔室に面して生じる複雑な形状のものを指す。
べすちゃーどへきこう
ベスチャード壁孔
vestured pit
→ へきこう 壁孔 – ベスチャード壁孔
壁孔の小見出しを参照。なお、壁孔の小見出しのベスチャード壁孔においては上記の新規用語「ベスチャー」を用いてベスチャード壁孔を定義している。「壁孔腔の全面または一部がベスチャーでおおわれている壁孔。」
へんざい
辺材
sapwood
材の外方にあり心材をとりかこむ通常淡色の層で、樹木の生立時に生きた細胞と貯蔵物質 (たとえばデンプン) を持っている部分。
参照: いこうざい 移行材、しんざい 心材
記述変更
心材の記述と対応した記述の追加「材の外方にあり心材をとりかこむ」案→削除
生きた細胞の例示「軸方向柔細胞、放射柔細胞」→分化中木部を考慮して削除
澱粉→デンプン(化学物質の標記と考えカタカナ化)
通導機能の記載案→削除
現行用語集で(廃)となっているalburnumの削除
移行材への参照追加
材質用語集にもあり(定義最後の一文追加)
材の外方にあり心材をとりかこむ通常淡色の層で、樹木の生立時に生きた細胞と貯蔵物質 (たとえばデンプン) を持っている部分。商業的に、白太 (しらた) と呼ばれることがある。
へんぷくへきこう
片複壁孔
unilaterally compound pitting
→ へきこうのそんざいとはいれつ 壁孔の存在と配列 – 片複壁孔
ほうけいさいぼう
方形細胞
square ray cell
広葉樹材の放射組織の細胞の一種で、放射断面形状がほぼ正方形のもの。放射組織の上下端に列状に配列することが多い。
参照: ほうしゃそしき 放射組織、ちょくりつさいぼう 直立細胞、へいふくさいぼう 平伏細胞
記述変更
直立細胞、平伏細胞、方形細胞はセットで全体的に記述を見直し。詳細
ほうしゃかどうかん
放射仮道管
ray tracheid
放射組織の一部を構成する仮道管。
ほうしゃこうざい
放射孔材
radial-porous wood
→ さんこうざい 散孔材
記述変更
新規採用用語
見出し語として新規採用し、散孔材を参照、散孔材の項で放射孔材を記載
「管孔および関連語について」参照
ほうしゃさいぼうかんどう
放射細胞間道
同義語: すいへいさいぼうかんどう 水平細胞間道
radial intercellular canal
紡錘形放射組織に含まれる、放射方向に木理を横切ってのびる管状の細胞間道。
記述変更
間げき→間隙
放射細胞間道を主たる用語として採用し、水平細胞間道を同義語とした(広葉樹の識別との整合性を図った)
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>放射方向に木理を横切ってのびる管状の細胞間隙で、紡錘形放射組織中に含まれる。
<新案>紡錘形放射組織に含まれる、放射方向に木理を横切ってのびる管状の細胞間道。
ほうしゃじゅうさいぼう
放射柔細胞
ray parenchyma cell
放射組織始原細胞から生じ、放射組織を構成する柔細胞。放射柔細胞で構成された組織を放射柔組織と呼ぶ。
参照: じゅうさいぼう 柔細胞、ほうしゃそしき 放射組織、ほうしゃかどうかん 放射仮道管、ちょくりつさいぼう 直立細胞、ほうけいさいぼう 方形細胞、へいふくさいぼう 平伏細胞
新規採用項目
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>放射組織始原細胞から生じ、放射組織を構成する柔細胞。放射柔細胞で構成された組織を放射柔組織と呼ぶ。放射組織は放射柔細胞のみによって構成される場合と、放射柔細胞に加え放射仮道管やエピセリウム細胞などで構成される場合がある。
<新案>放射組織始原細胞から生じ、放射組織を構成する柔細胞。放射柔細胞で構成された組織を放射柔組織と呼ぶ。
・旧案の3文目は放射組織に移す
ほうしゃじゅうそしき
放射柔組織
ray parenchyma
同義語: radial parenchyma
→ ほうしゃじゅうさいぼう 放射柔細胞
記述変更
放射柔細胞中で記述することに変更
ほうしゃそしき
放射組織
ray
木部および篩部の中を放射方向に伸びたリボン状の細胞群。放射組織は放射柔細胞のみによって構成される場合と、放射柔細胞に加え放射仮道管やエピセリウム細胞などで構成される場合がある。一般的に、接線方向の幅が軸方向の高さに比べて顕著に狭い。
注: 「射出線」および「髄線」について、国際木材解剖用語集 (1975) では「現在では一次皮層と髄とを結ぶ柔組織に対して限定的に用いられる」とされているが、現在ではほとんど用いられることがない古い用語である。
古い用語: しゃしゅつせん 射出線 medullary ray、ずいせん 髄線 pith ray
注を修文
放射組織全体についての記述変更
現行組織用語集では、放射組織は長い説明が付属していてその中で異性放射組織などが小見出しとして記述されている。
現行用語集の内容を説明しつつ、整理してかつ必要な修正をいれた。
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>木部および篩部の中を放射方向に伸びたリボン状の細胞群。
<新案>木部および篩部の中を放射方向に伸びたリボン状の細胞群。放射組織は放射柔細胞のみによって構成される場合と、放射柔細胞に加え放射仮道管やエピセリウム細胞などで構成される場合がある。一般的に、接線方向の幅が軸方向の高さに比べて顕著に狭い。
どうけいほうしゃそしき
同形放射組織
homocellular ray
同じ形態の細胞によって構成されている木部放射組織。広葉樹においては、全て平伏細胞であるか、あるいは全て方形ないし直立細胞であり、針葉樹においては全て柔細胞である。
注: 方形細胞と直立細胞は、同じ形態の細胞とみなされる。
針葉樹類->針葉樹、広葉樹類->広葉樹
木材学会会員の意見を受け修正
「全て」漢字化
いけいほうしゃそしき
異形放射組織
heterocellular ray
異なった形態の細胞によって構成されている木部放射組織。広葉樹では平伏細胞と方形あるいは直立細胞の両者からなり、針葉樹では柔細胞と仮道管の両者からなる。
針葉樹類->針葉樹、広葉樹類->広葉樹
どうせいほうしゃそしきがた
同性放射組織型
homogeneous ray tissue
樹種を特徴づける放射組織の配列を示す型の一つ。放射組織の全てが平伏細胞のみで構成されている。針葉樹には用いない。
注: 「同性放射組織」のように型を省いた用語は、国際木材解剖用語集 (1975) 以降に議論された経緯を踏まえ、本用語集では使用しないこととする。
木材学会会員の意見を受け修正
「全て」漢字化
いせいほうしゃそしきがた
異性放射組織型
heterogeneous ray tissue
樹種を特徴づける放射組織の配列を示す型の一つ。異なった型の細胞 (平伏細胞、直立細胞、方形細胞) によって構成されている。針葉樹には用いない。
注1: 一部の放射組織で同形の細胞のみで構成されている場合でも、樹種全体で見たときに異なった型の細胞で構成されている放射組織が存在する場合(例えば、同形の単列放射組織が異形の多列放射組織に伴って出現)はこれに属する。
注2: 「異性放射組織」のように「型」を省いた用語は、国際木材解剖用語集 (1975) 以降に議論された経緯を踏まえ、本用語集では使用しないこととする。
ほうしゃそしきしげんさいぼう
放射組織始原細胞
ray initial
→ けいせいそう 形成層 – 形成層始源細胞 – 放射組織始原細胞
記述変更
「形成層」の小見出し「形成層始原細胞」の小見出しとする
ほうしゃにゅうかん
放射乳管
見出し語としては削除→「乳管」で放射乳管についても記述
ほうしゃふくごうかんこう
放射複合管孔
radial pore multiple
→ ふくごうどうかん 複合道管 – 放射複合道管
新規採用用語
見出し語として採用し、「複合道管」を参照し、小見出し「放射複合道管」をみる
管孔および関連語について」参照
ほうしゃふくごうどうかん
放射複合道管
radial pore multiple
→ ふくごうどうかん 複合道管 – 放射複合道管
新規採用用語
見出し語として採用し、「複合道管」の小見出しとする
管孔および関連語について」参照
ほうしゃへき
放射壁
radial wall
→ 図参照
2022年11月案では見出し語になっていなかったが見出し語に採用
ぼうじょうじゅうそしき
帽状柔組織
unilaterally paratracheal parenchyma
→ じゅうそしきのはいれつ 柔組織の配列 – 随伴柔組織 – 帽状柔組織
新規項目柔組織の出現タイプ–随伴柔組織の中で定義記述。
柔組織の出現タイプ->柔組織の配列
ぼうすいけいしげんさいぼう
紡錘形始原細胞
fusiform (cambial) initial
→ けいせいそう 形成層 – 形成層始原細胞 – 紡錘形始原細胞
記述変更
「形成層」の小見出し「形成層始原細胞」の小見出しとする
ぼうすいけいじゅうさいぼう
紡錘形柔細胞
fusiform parenchyma cell
形成層の紡錘形始原細胞から細分することなしに由来した軸方向の柔細胞。
参照: じゅうさいぼう 柔細胞、じゅうそしき 柔組織、じゅうそしきすとらんど 柔組織ストランド
記述変更
現行用語集で廃語となっている同義語代用繊維と中間繊維を削除
参照追加
柔細胞ストランド→柔組織ストランド(見出し語の変更)
ぼうすいけいほうしゃそしき
紡錘形放射組織
fusiform ray
同義語: lenticular ray
接線断面において文字どおり紡錘形の放射組織。特に針葉樹における樹脂道を含んだ放射組織に対して用いられる。
ぼうすいそしき
紡錘組織
prosenchyma
削除
繊維、仮道管、道管要素など紡錘形の細胞の総称であるが、現在ほとんど用いられない用語なので削除
また、繊維や仮道管は確かに紡錘形のものであるが、これらは「組織」とすべきではなく、細胞あるいは細胞の種類である
まおうがたせんこうばん
マオウ型穿孔板
ephedroid perforation plate
→ せんこうばんのかた 穿孔板の型 – マオウ型穿孔板
記述変更
新規見出し語「穿孔板のタイプ」を参照
漢字化 せん孔→穿孔
タイプ->型
まつがたへきこう
マツ型壁孔
pinoid pitting
→ ぶんやへきこうのかた 分野壁孔の型 – マツ型壁孔
記述変更
新規見出し語「分野壁孔のタイプ」を参照
タイプ->型
まったんへき
末端壁
end wall
次の二つの場合に対して木材解剖学で用いる便宜上の用語。柔細胞の長軸に直角の細胞壁、すなわち、放射組織の細胞の接線壁または軸方向柔細胞の水平壁。二つの道管要素の間の斜めまたは水平な壁。
参照: 図参照
記述変更
句読点修正、修文
(a), (b)は必ずしも必要ないと判断して削除
まどじょうへきこう
窓状壁孔
window-like pitting
→ ぶんやへきこうのかた 分野壁孔の型 – 窓状壁孔
見出し語としては新規採用
新規見出し語「分野壁孔のタイプ」を参照
タイプ->型
まぶたがたよくじょうじゅうそしき
まぶた型翼状柔組織
winged-aliform parenchyma
→ じゅうそしきのはいれつ 柔組織の配列 – 随伴柔組織 – 翼状柔組織
新規採用用語(IAWA hardwood listとの整合性をとった)
ここでは見出し語として出現するが、柔組織の出現タイプ–随伴柔組織–翼状柔組織の中で定義記述。
出現タイプ->配列
まるご
マルゴ
margo
→ へきこうへき / へきこうまく 壁孔壁 / 壁孔膜
2022年11月案では見出し語になっていなかったが見出し語に採用
みくろふぃぶりる
ミクロフィブリル
microfibril
木材の主成分であるセルロースの分子集合単位であり、電子顕微鏡や原子間力顕微鏡で観察される幅がナノメートルオーダーの糸状構造。木材の場合は一般に幅2-3nm程度。一本のミクロフィブリルは複数のセルロース分子鎖が長軸に沿って平行に充填されてできており、結晶性を示す。
注: 光学顕微鏡で細胞壁中に観察されるミクロフィブリルが束になった幅1 um程度の糸状構造物を指して、フィブリル fibril またはマクロフィブリル macrofibril という用語が使われる場合がある。
新規採用用語
現行用語集にあった「フィブリル」の定義をやめ、「ミクロフィブリル」として定義し、「フィブリル」は見出し語としてて残してミクロフィブリルを参照することとする
材質用語集にもあり(定義同じ)
みくろふぃぶりるけいかく
ミクロフィブリル傾角
microfibril angle
細胞の長軸とミクロフィブリル配向の方向とのなす角度。
新規採用用語
現行用語集にあった「フィブリル傾角」を見出し語から削除して、「ミクロフィブリル傾角」として定義
材質用語集にもあり(定義同じ)
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>細胞の長軸とミクロフィブリルの方向とのなす角度。
<新案>細胞の長軸とミクロフィブリル配向の方向とのなす角度。
むこうざい
無孔材
non-pored wood
道管を欠く材。針葉樹の特徴。
参照: ゆうこうざい 有孔材、むどうかんこうようじゅ 無道管広葉樹
記述変更
不賛となっているnon-porus woodを削除、修文
むどうかんこうようじゅ
無道管広葉樹
vesselless hardwood, vesselless woody dicotyledons
道管を持たない広葉樹 (木本被子植物)。通水要素は穿孔を持たない。ヤマグルマ属 (Trochodendron, ヤマグルマ科) やDrimys属 (シキミモドキ科) などの少数の樹種が知られている。
参照: むこうざい 無孔材、ゆうこうざい 有孔材
新規採用項目(無孔材、有孔材の修正に伴って追加)
ボランティア案から、2文目をIAWA hardwood listにならう書き方へ修正、樹種の例示の記載の不備を修正(科名など)
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>道管を持たない広葉樹 (木本被子植物)。無道管広葉樹の材は穿孔をもたない通水要素と柔組織で構成される。
<新案>道管を持たない広葉樹 (木本被子植物)。通水要素は穿孔を持たない。
・無道管広葉樹でも繊維を持つものがあるため修文
もうへきこう
盲壁孔
blind pit
→ へきこう 壁孔 – 盲壁孔
もくせんい
木繊維
wood fiber
→ しんせいもくせんい 真正木繊維、もくぶせんい 木部繊維
新規見出し語とする提案があったが不採用(木部繊維と木繊維の両方があると紛らわしいので用語集としてはどちらか一方を採用した方がいい、師部繊維と対応して木部繊維がふさわしい)
もくぶ
木部
xylem
同義語: wood
→ ざい 材
もくぶじゅうそしき
木部柔組織
xylem parenchyma
同義語: wood parenchyma
木部に生ずる柔組織。
参照: じゅうそしき 柔組織、じゅうそしきのはいれつ 柔組織の配列
記述変更
ふつう→普通
参照追加
軸方向柔組織放射柔組織の記述は必ずしも必要ないと判断
出現タイプ->配列
もくぶせんい
木部繊維
wood fiber
木部の繊維。特に、裸子植物の仮道管と木本被子植物の真正木繊維および繊維状仮道管の総称。
記述変更
2文目は「繊維」から移行(木部繊維のことは木部繊維の項で扱うのが適切だと判断)
もくぶほうしゃそしき
木部放射組織
xylem ray
同義語: wood ray
放射組織のうち、形成層より内側の部分。
参照: 篩部放射組織
記述変更
現行用語集 Wood or xylem ray → xylem ray 同義語: wood ray
木部柔組織にならった表記に修正
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>放射組織のうち、形成層の内側の部分。
<新案>放射組織のうち、形成層より内側の部分。
もくぶぼさいぼう
木部母細胞
xylem mother cell
→ けいせいそう 形成層
記述変更
形成層の小見出しとした
もんこう
紋孔
pit
→ へきこう 壁孔
削除
紋孔は壁孔の古い用語だが、近年使用例がほとんどない
よって、壁孔の項で「古い用語」として記載するが、見出し語から削除する
もんようこうざい
紋様孔材
figured-porous wood
→ さんこうざい 散孔材
記述変更
新規採用用語
見出し語として新規採用し、散孔材を参照、散孔材の項で放射孔材を記載
「管孔および関連語について」参照
ゆうえんへきこう
有縁壁孔
bordered pit
→ へきこう 壁孔 – 有縁壁孔
ゆうえんへきこうつい
有縁壁孔対
bordered pit-pair
→ へきこうつい 壁孔対 – 有縁壁孔対
記述変更
壁孔対の小見出しとした
ゆうこうざい
有孔材
pored wood
道管を持つ材。針葉樹に対比した場合に広葉樹の一般的な特徴。ただし、道管を持たない広葉樹もある (無道管広葉樹)。
参照: むこうざい 無孔材、むどうかんこうようじゅ 無道管広葉樹
記述変更
不賛となっているporus woodを削除、修文、無道管広葉樹の記述
ゆさいぼう
油細胞
oil cell
放射柔組織または軸方向柔組織中の特殊化した細胞で油を含む。しばしば外形が丸味を帯び、大きく膨らんだ異形細胞となる。軸方向に著しく長く伸びる場合がある。
注: 木本の双子葉類に限られ、内容物以外の点では粘液細胞に似ている。
参照: いけいさいぼう 異形細胞、ねんえきさいぼう 粘液細胞
記述変更
円味→丸味
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>放射柔組織または軸方向柔組織中の特殊化した細胞で油を含む。典型的なものは外形が丸味を帯びる。
<新案>放射柔組織または軸方向柔組織中の特殊化した細胞で油を含む。しばしば外形が丸味を帯び、大きく膨らんだ異形細胞となる。軸方向に著しく長く伸びる場合がある。
・異形細胞と粘液細胞を参照する
ようそ
要素
element
個々の細胞に対して用いられる一般名。
注: 木材解剖学で、特に道管とそれらの構成単位である個々の細胞 (道管要素) を区別するのに用いられる。
よくじょうじゅうそしき
翼状柔組織
aliform parenchyma
→ じゅうそしきのはいれつ 柔組織の配列 – 随伴柔組織 – 翼状柔組織
新規見出し語
柔組織の出現タイプ–随伴柔組織の中で定義記述。
出現タイプ->配列
らせんひこう
らせん肥厚
spiral thickening
細胞壁の二次壁の内腔面の全域あるいは一部に存在するらせん状の隆起。
参照: さいぼうへき 細胞壁。
らせん→螺旋の漢字化の意見があったが不採用(現在の用法では「らせん」とひらがなでかかれることが多いと判断)。 学術会議「高等学校の生物教育における重要用語の選定について」においても「二重らせん」はひらがな。
現行用語集では、注で「注: しばしば一次木部のらせんと区別するために三次らせん(tertiary spirals)と呼ばれるが,これは誤りである。」としているがこの用語は見ることがないためこの部分削除(IAWA用語集にも記述なし)
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>細胞壁の二次壁内面上の全面あるいは一部に存在するらせん状の隆起。
<新案>細胞壁の二次壁の内腔面の全域あるいは一部に存在するらせん状の隆起。
らめら
ラメラ
lamella (複数形 lamellae)
→ さいぼうへき 細胞壁
木材学会会員の意見を受け新規採用
りせい
離生
schizogenous
隣接する細胞の共通の壁が分離することによって組織要素が離れて生ずることを示す。
参照: 破生、離破生、細胞間隙
記述変更
現行用語集では、破生 [の]、離生 [の]、離破生 [の]、となっているが、[の]をつける必要が必ずしもないので削除
破生、離生、離破生は相互参照
細胞間隙の形成に関する用語なので、細胞間隙も参照
りせつかどうかん
離接仮道管
disjunctive tracheid (古い用語: conjugate tracheid)
分化の途中で引き離されたことにより、横に隣接する仮道管と一部でしか接していない仮道管; 相互の連絡は管状の通路によって保たれる。
削除
最近のこの用語の使用例がほとんどない
IAWA hardwood list、softwood list、bark listでdisjunctive tracheidの使用例がない
Carquist Comparative Wood Anatomyにも記載がない
Google Scholorでも仮道管にたいするdisjunctive使用例は1例のみ
disjunctive ray cell wallとかdisjunctive parenchymaは多数ある
少数の使用例はみつかる
以上から、削除
りせつじゅうそしき
離接柔組織
disjunctive parenchyma
分化の過程で細胞相互の接触が部分的に引離された柔細胞からなる組織。細胞相互の接触は管状の突起によって保たれる。
記述変更
セミコロンを丸に
引離された→引き離された(より一般的な送り仮名とする)
英語廃語のConjugate parenchymaを削除
りちどーむ
リチドーム
rhytidome
最も内側の周皮およびそれによって外側に孤立させられた組織。しばしば皮層あるいは篩部の組織の小塊を含む。外樹皮に対する専門語。
注: リチドームははげ落ちて樹皮が平滑になる場合と,繊維質あるいはコルク質の厚い層となって残っている場合とがある。
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>コルク組織およびそれによって外側に孤立させられた組織。しばしば皮層あるいは篩部の組織の小塊を含む。外樹皮に対する専門語。
<新案>最も内側の周皮およびそれによって外側に孤立させられた組織。しばしば皮層あるいは篩部の組織の小塊を含む。外樹皮に対する専門語。
りっぷるまーく
リップルマーク
ripple marks
放射組織や軸方向要素が層階状配列することにより、接線断面では接線方向の細い縞として現れる模様。
材質用語集にもあり(定義異なる)->会員意見による修正により材質用語集と同じ定義となった
リップルマークについては材質用語集改定で用語として採用することとしたが、「材面の特徴(杢)」カテゴリーに入れることとした。
放射組織や軸方向要素が層階状配列することにより、接線断面では接線方向の細い縞として現れる微細な杢。
木材学会会員の意見を受け修正
<旧案>ある種の材の接線面上に見られる細い水平の縞で、放射組織あるいは軸方向要素、またはこれらの両者が層階状配列をなすことが原因となっている。
<新案>放射組織や軸方向要素が層階状配列することにより、接線断面では接線方向の細い縞として現れる模様。
りはせい
離破生
schizo-lysigenous
隣接する細胞の共通の壁が分離することによって組織要素が離れて生じ,さらに周囲の組織が破壊することによって発達することを示す。
参照: 破生、離生、細胞間隙
記述変更
現行用語集では、破生 [の]、離生 [の]、離破生 [の]、となっているが、[の]をつける必要が必ずしもないので削除
破生、離生、離破生は相互参照
細胞間隙の形成に関する用語なので、細胞間隙も参照
りんしゅつこうこう
輪出孔口
extended aperture
→ こうこう 孔口 – 輪出孔口
りんないこうこう
輪内孔口
included aperture
→ こうこう 孔口 – 輪内孔口
れんごうよくじゅうそしき
連合翼状柔組織
confluent parenchyma
→ じゅうそしきのはいれつ 柔組織の配列 – 随伴柔組織 – 連合翼状柔組織
新規項目
柔組織の出現タイプ–随伴柔組織の中で定義記述。
出現タイプ->配列
れんずじょうこうこう
レンズ状孔口
lenticular aperture
→ こうこう 孔口 – レンズ状孔口