The 58th Annual Meeting of the Japan Wood Research Society in Tsukuba

第58回日本木材学会大会(つくば)公開シンポジウム

木質バイオマスのマテリアル利用とエネルギー利用:
その環境への貢献



本シンポジウムでは、木質バイオマスの利用が地球温暖化防止にどの程度貢献できるかを考えます。材料、紙パルプ及びエネルギー利用の環境負荷性、エネルギー収支、経済性についてのご講演とパネルディスカッションを通じて、木質バイオマス利用による環境への貢献を考察します。


2008年3月17日(月) 15:00〜17:30

つくば国際会議場(エポカルつくば) 大ホール

入場無料

主催:日本木材学会



演題

(1) 「木材資源循環と二酸化炭素削減」

外崎 真理雄 氏 (森林総合研究所木材特性研究領域長)

京都議定書第一約束期間を迎え、カーボンニュートラルな木質系残廃材のエネルギー利用が加速している。しかし2050年までに我が国は1990年比で7-80%の温室効果ガス排出削減を求められることになる。そのためには社会構造の変革とともに資源利用戦略の大きな転換が求められるだろう。炭素貯蔵機能を持ち、省エネ的に製造でき、残廃材エネルギー利用で化石燃料消費削減につながる、木材製品の利用拡大は温暖化対策として大きな意味を持つ。一方、世界の森林は減少から増加へと動きつつある。トータルとしての炭素収支を最大化するためには、残廃材のエネルギー利用のみでなく省資源のための材料リサイクルとのバランスが重要となる。

(2) 「石油枯渇時代の製紙産業の可能性―過去に学ぶ」

二瓶 啓 氏 (日本製紙連合会常務理事)

石油文明は1930年代の中東での油田発見に始まる。利権は欧米がいまだに影響力を及ぼしており、石油資源を巡る争いは戦争を引き起こした。石油のない日本は液体燃料を作るために森林資源を活用する技術を発達させた。中東をはじめ石油をめぐる情勢は今も不安定である。戦後に開発された石油を原料とするナイロンやテトロンなどを化学繊維というが、昔はこれらを合成繊維と呼び溶解パルプから作った化学繊維と区別した。石油の乏しい時代に経済を牽引した木材化学の果実−化学繊維は合成繊維の登場で衰退したが、石油枯渇の時代に先人の行動に学ぶことは多い。化学業界もバイオマス発底産業への脱皮に向け研究をはじめている。製紙工場は森林資源に縁が深くバイオ技術に欠かせない水資源と排水処理技術を持つ。もうすぐ、積極的にバイオマス産業として成長する時代がくる。

(3) 「木質バイオマスのエネルギー利用とLCA」

美濃輪 智朗 氏 (産業技術総合研究所バイオマス研究センター)

地球温暖化や昨今の原油の高騰などから木質バイオマスのエネルギー利用が注目を集めている。木質バイオマスのエネルギー利用方法としては、チップボイラーやペレット化等による熱利用や、大規模に収集しての発電利用が事業化されている。小規模での熱電気のコジェネ利用としてガス化やスターリングエンジンが実証段階にある。さらには、木質バイオマス中のセルロースからのエタノール製造やBTL(Biomass To Liquid: ガス化経由合成燃料)が開発中である。様々な利用法がある一方で、その環境影響(二酸化炭素排出削減量など)をきちんと評価する必要がある。

パネルディスカッション

パネリスト:
外崎 真理雄 氏 (森林総合研究所木材特性研究領域長)
二瓶 啓 氏 (日本製紙連合会常務理事)
美濃輪 智朗 氏 (産業技術総合研究所バイオマス研究センター)
コーディネーター:
服部 順昭 氏 (東京農工大学教授)


お問い合わせ先

第58回日本木材学会大会事務局
〒305-8687 茨城県つくば市松の里1
独立行政法人森林総合研究所内

お問い合わせは電子メールでお願いします。
※受付を終了いたしました。
E-mail: wood2008@jwrs.org (総務 秦野恭典)


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