研究会の趣旨

 木質材料の物性は、純粋に学問的好奇心の立場のみならず、材料の有効利用の観点からも大変興味深く重要なものである。

 これは、工業的に流通している単結晶あるいはバラツキの少ない多結晶材料とは異なり、長期間かけて進化を遂げてきた生物材料が「理にかなった」複雑な構造をしているためと思われる。すなわち、結晶領域と非結晶領域の混在による複雑な相互作用、分子レベルでの欠陥、空隙構造、不均一な細胞構造、年輪構造など階層ごとに複雑な構造を有している。加えて、生活温度域でさえ活性(吸着や脱着、体積拡散、配列変化など)である。結果として、寸法変化、力学的変化、電磁気的変化、光学的変化などの多くの変化が、比較的低い温度域でさえ生じ易い。

 そこで、レオロジーに限定することなく、多面的な検討を進めることにより、木質物性の理解を深めることを目指す。同時に、微細構造の検討を踏まえて実大材へと理論展開をはかり、産業に貢献する学問を心がける。

2019-2020年度幹事