公開講演会

木とともにある豊かな生活を考える -過去・現在・未来-


木との新しいつきあい方について、
一緒に考えてみませんか?



公開講演会の内容


三内丸山遺跡にみる
豊かな縄文社会と
それを支えた木

岡田康博
青森県教育庁文化財保護主幹


木の香りのある
豊かで健康的な
生活空間

谷田貝光克
東京大学大学院教授


未来の木質住宅と
住まい方を
考える

三澤千代治
ミサワホーム(株)代表取締役社長


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三内丸山遺跡にみる
豊かな縄文社会と
それを支えた木

岡田 康博 

青森県教育庁文化課
三内丸山遺跡対策室文化財保護主幹
[プロフィール] 1957年弘前市生まれ。少年時代から、考古学者の叔父や歴史を教えていた教員の父 親の影響を強く受け、考古学ファンとなる。1981年弘前大学卒業後、青森県教育庁埋 蔵文化財調査センターに入る。県内の遺跡調査の後、1992年から三内丸山遺跡の発掘 調査責任者となり、1995年1月新設された県教育庁文化課三内丸山遺跡対策室に異動、 現在同室文化財保護主幹。「縄文都市を掘る」、「縄文鼎談三内丸山の世界」、「縄 文人がおもしろい」、「縄文の宇宙・弥生の世界」、「縄文時代の商人」、「遥かなる縄文の声」など著書・論文多数。最近は環日本海の先史文化に興味を持っている。

 特別史跡三内丸山遺跡は、今から約5500年前〜4000年前の日本最大の縄文時代拠点 的大集落跡で、長期間にわたって定住生活が営まれていた。平成4年からの発掘調査 で、竪穴住居跡、大型竪穴住居跡、大人の墓、盛り土、子どもの墓、掘立柱建物跡、 大型掘立柱建物跡、貯蔵穴、粘土採掘穴、捨て場、道路跡などが見つかり、集落全体 像の解明が進んでいる。また、膨大な量の縄文土器、石器、土偶、土・石製の装身具、 木器(掘り棒、袋状編み物、編布、漆器など)、骨角器、他地域から運ばれたヒスイ や黒曜石なども出土している。ヒョウタン、ゴボウ、マメなどの栽培植物が出土し、 DNA分析によりクリの栽培化が明らかになるなど、数多くの発見が従来の縄文観を 大きく変えた。
 縄文文化は「木の文化」とも呼ばれ、日本列島に育まれた豊かな森林資源を中心と した、戦略的・多元的資源利用の歴史でもある。

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木の香りのある
豊かで健康的な
生活空間

谷田貝 光克 

東京大学大学院
農学生命科学研究科教授
[プロフィール] 1943年宇都宮市生まれ。東北大学理学部化学科卒業。専門は天然有機物化学。小さいころ野山を走りまわり植物や昆虫に興味を持つ。のちに大学で化学を学び無秩序に生えているように思われる植物がその成分によって様々な働きをしていることに興味を持つ。林野庁森林総合研究所で樹木成分の研究に従事後、1999年から現職。子供のころから関心を持っていた樹木など植物の持つ生物活性物質についての研究、および炭化とその生産物についての研究を行っている。著書に「森林の不思議」、「フィトンチッドと森林浴」、「森のふしぎな働き」、「簡易炭化法と炭化生産物の新しい利用」などがある。

 私たち人間は遠い昔から森林の恵みの中で生きてきた。木の実・山菜を摘み、狩りをし、薬木薬草から薬を作り、住まいを作る木材を得るなど、私たちは常に森林の恵みを利用し続けてきた。森林は私たちにとってかけがえのないものであったのである。ところが様々なものが化石資源などから容易に合成され、生活が便利になるにつれて、私たちを育んできた森林のありがたみ、自然のありがたみを忘れかけていた。それが、近年、化学汚染などによる環境破壊や健康阻害が問題視されるにようになって自然、そして森林の恵みが再認識されだしたのである。森林浴のブームが生じたのもそのような背景があったからであろう。森林には様々な働きがある。木の香りの働きもその一つである。木の香りは森林にあってはストレスを和らげ、気分を快適にする森林浴効果の一つの要因となっているが、木造家屋にあっても心にやすらぎを提供する。それだけでなく、害虫を追い払い、カビや細菌を防ぎ、悪臭を取り去るなど、快適で健康的な室内環境を作り出すのに役立っている。

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未来の木質住宅と
住まい方を
考える

三澤 千代治 

ミサワホーム(株)
代表取締役社長
[プロフィール] 1938年十日町市生まれ。1960年日本大学理工学部建築学科卒業後、木質パネル接着工法を考案し、1967年ミサワホーム株式会社を設立。1971年設立後4年で株式上場、当時上場会社の最年少社長となる。現在、ミサワホームグループ上場・公開会社16社を含む166社の責任者であるとともに、(財)住宅生産振興財団 理事長、(社)住宅生産団体連合会 副会長、(社)プレハブ建築協会 副会長などを務める。「情断大敵」「本物志向」「一家言」など著書の多数ある。

 地球環境の観点からみれば、木質住宅に課せられた課題を果たすことは大変重要なことだと考えている。木材を大量に使うので、地球上の緑を減らさずにいかに計画伐採を行っていくか、ということがまず挙げられる。100年位の長期の計画が必要だろう。 また、省資源設計の推進や超高耐久住宅の実現、木材のリサイクル、ゼロ・エネルギー住宅の推進、全く新しい多機能素材の開発など、地球環境を守る上で取り組まなければならない難題が山積している。
 これらに対して、木質住宅産業界ではさまざまな角度から取り組みを行っている。ミサワホームの例では,木材のリサイクルを目的として1998年にリサイクル木素材を開発し、主にエクステリア素材として実用化に至っている。また、ゼロ・エネルギー住宅を1998年から建設している。多機能素材の開発については、すでに1971年からニューセラミックの開発に着手しており、開発から30年を経過しようやく事業として成り立つようになった。
 今後は、日本の住文化の優れた様式を取り入れつつ、環境を考慮した新しい構法が定着していくと考えている。

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